TDKの沿革(1930〜2025年)

TDKの創業から現在までの主要な出来事・経営判断・組織変化を年月順に一覧できる沿革(社史年表)ページです。 各年の売上高・純利益などの業績推移と、歴史的意義の解説をあわせて掲載しています。 社史・報道資料などの公開情報をもとに重要事項を判断の上、作成しています。

年度売上高純利益年月区分出来事歴史的意義
1930
1-12月
世界初の酸化物磁性体「フェライト」の発明
東京工業大学の加藤与五郎博士と武井武博士が世界初の酸化物磁性体「フェライト」を発明。1932年に特許を取得。TDK創業の原点となった基礎研究。
1935
1-12月
フェライト工業化の決断
「98敗の男」と「私財を投じた大企業社長」が組んだ創業の構造
1937
1-12月
フェライトコアの製品化に世界で初めて成功
TDKは世界に先駆けてフェライトコアを製品化し、日本の無線通信機やラジオに採用された。蒲田工場を新設し、本格的な量産を開始。
1946
1-12月
GHQがスーパーヘテロダイン令を交付
GHQが雑音の少ないスーパーヘテロダイン方式のラジオ生産のみを認める通達を交付。この方式には中間周波トランスが必要で、部品としてフェライトコアが不可欠であった。TDKはラジオ部品メーカーとして戦後の急成長を遂げる。
1951
1-12月
セラミックコンデンサーの生産開始
フェライトの焼成技術を応用し、セラミックコンデンサーの生産を開始。現在の受動部品事業(売上構成比25.4%)の起点となった。
1953
1-12月
磁気テープ製品第1号を発売
1951年に開発に着手した磁気テープの最初の製品を発売。保磁力は不十分だったが、磁気テープ事業の出発点となった。
1957
1-12月
NHKの放送用テープとして認定
磁気テープの品質向上に注力した結果、NHKの放送用テープとして認定され、200巻を受注。品質の公的認定を得た。
FY60
1960/3
売上高
14.7億円
当期純利益
1.48億円
FY62
1962/3
東京証券取引所に株式上場
FY63
1963/3
売上高
43億円
当期純利益
2.53億円
FY64
1964/3
売上高
55.7億円
当期純利益
2.43億円
FY65
1965/3
売上高
58.3億円
当期純利益
2.9億円
FY66
1966/3
売上高
93.3億円
当期純利益
4.5億円
米国ニューヨークに現地法人を設立
TDK Electronics Corporationを設立。海外拠点展開の起点。
FY67
1967/3
売上高
112億円
当期純利益
5.7億円
FY68
1968/3
売上高
176億円
当期純利益
17.8億円
FY69
1969/3
売上高
278億円
当期純利益
26.6億円
世界初の音楽用カセットテープ「SDカセット」を発表
ニューヨークのCEショウに世界初の音楽用カセットテープ「SD(Super Dynamic)カセット」を出品。1966年にフィリップスと特許契約を結び国産第1号カセットテープを生産したTDKが、自社ブランドで音楽用途に特化した製品を開発。1969年に国内発売。
FY70
1970/3
売上高
311億円
当期純利益
28.5億円
FY71
1971/3
売上高
296億円
当期純利益
15.7億円
FY72
1972/3
売上高
379億円
当期純利益
25.9億円
FY73
1973/3
売上高
516億円
当期純利益
51.2億円
FY74
1974/3
売上高
560億円
当期純利益
35.5億円
FY75
1975/3
売上高
515億円
当期純利益
15.7億円
米国預託証券(ADR)を発行
国際資本市場への進出。後のニューヨーク証券取引所上場(1982年)の布石。
FY76
1976/3
売上高
829億円
当期純利益
68.1億円
FY77
1977/3
売上高
952億円
当期純利益
91.5億円
FY78
1978/3
売上高
1,156億円
当期純利益
112億円
VHS用ビデオテープの大増産
月産3,000巻の会社が5万巻を即受注した「逆算なき決断」
FY79
1979/3
売上高
1,442億円
当期純利益
142億円
FY80
1980/3
売上高
1,882億円
当期純利益
189億円
売上高営業利益率20.1%を記録
過去最高水準の収益性。1970年代後半から1982年にかけて営業利益率19%前後を維持し、超高収益体質を実現した。
FY81
1981/3
売上高
2,313億円
当期純利益
223億円
FY82
1982/3
売上高
2,607億円
当期純利益
248億円
磁気テープで世界シェア31.5%、首位を獲得
オーディオテープとビデオテープを合わせた生産金額ベースで世界首位。市場規模4,170億円。ソニー21.5%、日立マクセル18.0%を大きく引き離した。
FY83
1983/3
売上高
3,099億円
当期純利益
254億円
ニューヨーク証券取引所に上場
日本企業として8番目のNYSE上場。1983年にはロンドン証券取引所にも上場。
社名を「ティーディーケイ株式会社」に変更
旧社名「東京電気化学工業株式会社」から変更。ブランドの世界統一を図った。
FY84
1984/3
売上高
3,652億円
当期純利益
301億円
FY85
1985/3
国内初の「完全無担保普通社債」を発行
当時の日本では社債発行には銀行の担保保証が一般的だったが、TDKの財務体質の良さが認められ、国内初の完全無担保普通社債の発行が実現した。
FY87
1987/3
香港のSAE Magneticsを買収、HDD用ヘッド事業に参入
香港のHDD用磁気ヘッド製造会社SAE Magnetics (H.K.) Ltd.を買収。テープ市場の成熟化を見据えた先手の事業転換であり、磁性技術をHDD用ヘッドに応用する戦略的M&A。
FY92
1992/3
売上高
5,348億円
当期純利益
215億円
FY93
1993/3
売上高
5,263億円
当期純利益
183億円
FY94
1994/3
売上高
4,573億円
当期純利益
54.8億円
FY95
1995/3
売上高
4,851億円
当期純利益
130億円
FY96
1996/3
売上高
5,414億円
当期純利益
276億円
FY97
1997/3
売上高
6,206億円
当期純利益
602億円
divestiture
黒字子会社を売却し、磁気ヘッドに集中投資
「黒字だから持ち続ける」を否定した事業売却の設計思想
FY98
1998/3
売上高
6,966億円
当期純利益
583億円
FY99
1999/3
売上高
6,762億円
当期純利益
460億円
FY00
2000/3
売上高
6,744億円
当期純利益
507億円
FY01
2001/3
売上高
6,899億円
当期純利益
439億円
FY02
2002/3
売上高
5,642億円
当期純利益
-257億円
上場来初の営業赤字に転落
ITバブル崩壊と中国の台頭により、営業赤字437億円に転落。構造改革費用360億円を計上し、853名を人員削減。澤部肇社長が「売上が伸びなくても利益が出る体質」への転換を推進。
FY03
2003/3
売上高
6,048億円
当期純利益
120億円
FY04
2004/3
売上高
6,557億円
当期純利益
421億円
FY05
2005/3
売上高
6,578億円
当期純利益
333億円
FY06
2006/3
売上高
7,951億円
当期純利益
441億円
acquisition
リチウムイオン電池メーカーATLを買収
約87億円が1兆円を生んだ背景にある「小さく入って大きく育てる」M&Aの設計
FY07
2007/3
売上高
8,620億円
当期純利益
701億円
FY08
2008/3
売上高
8,636億円
当期純利益
714億円
acquisition
TDKブランド記録メディア事業の売却と磁気テープ生産撤退
世界一のブランドを「段階的に手放す」撤退設計
FY09
2009/3
売上高
7,243億円
当期純利益
-631億円
ドイツの電子部品メーカーEPCOSを買収
約1,700億円でEPCOS AGを買収。TDK過去最大の買収。携帯電話向け高周波部品(SAWフィルター等)の事業基盤を獲得し、受動部品事業を大幅に強化した。
FY10
2010/3
売上高
8,051億円
当期純利益
135億円
FY11
2011/3
売上高
8,719億円
当期純利益
452億円
FY12
2012/3
売上高
8,144億円
当期純利益
-24.5億円
FY13
2013/3
売上高
8,418億円
当期純利益
11.9億円
FY14
2014/3
売上高
9,845億円
当期純利益
162億円
磁気テープ事業からの撤退を発表
2014年3月に子会社メディアテックを清算し、磁気テープの生産から完全撤退。1953年の製品第1号発売から60年の歴史に幕を下ろした。
FY15
2015/3
売上高
10,825億円
当期純利益
494億円
FY16
2016/3
売上高
11,522億円
当期純利益
648億円
FY17
2017/3
売上高
11,782億円
当期純利益
1,450億円
FY18
2018/3
売上高
12,717億円
当期純利益
634億円
米国InvenSenseを約1,427億円で買収
MEMS(微小電気機械システム)センサメーカーを買収し、センサ事業を強化。2016年のMicronas買収(磁気センサ)と合わせ、センサ応用製品事業の基盤を構築した。
FY19
2019/3
売上高
13,818億円
当期純利益
822億円
FY20
2020/3
売上高
13,630億円
当期純利益
577億円
FY21
2021/3
売上高
14,790億円
当期純利益
793億円
FY22
2022/3
売上高
19,021億円
当期純利益
1,836億円
2023
1-12月
連結売上高2兆円を突破
2023年3月期の連結売上高は2兆1,808億円。ATLのリチウムイオン電池事業の成長により、初の売上高2兆円超を達成。
2025
1-12月
創業90周年、売上高2兆2,048億円
2025年3月期の連結売上高は2兆2,048億円、営業利益2,242億円(営業利益率10.2%)。フェライトの工業化から始まった企業は、エナジー応用製品が売上の過半を占める電子部品メーカーに変貌した。
  1. 世界初の酸化物磁性体「フェライト」の発明

    東京工業大学の加藤与五郎博士と武井武博士が世界初の酸化物磁性体「フェライト」を発明。1932年に特許を取得。TDK創業の原点となった基礎研究。

  2. フェライト工業化の決断
    「98敗の男」と「私財を投じた大企業社長」が組んだ創業の構造
  3. フェライトコアの製品化に世界で初めて成功

    TDKは世界に先駆けてフェライトコアを製品化し、日本の無線通信機やラジオに採用された。蒲田工場を新設し、本格的な量産を開始。

  4. GHQがスーパーヘテロダイン令を交付

    GHQが雑音の少ないスーパーヘテロダイン方式のラジオ生産のみを認める通達を交付。この方式には中間周波トランスが必要で、部品としてフェライトコアが不可欠であった。TDKはラジオ部品メーカーとして戦後の急成長を遂げる。

  5. セラミックコンデンサーの生産開始

    フェライトの焼成技術を応用し、セラミックコンデンサーの生産を開始。現在の受動部品事業(売上構成比25.4%)の起点となった。

  6. 磁気テープ製品第1号を発売

    1951年に開発に着手した磁気テープの最初の製品を発売。保磁力は不十分だったが、磁気テープ事業の出発点となった。

  7. NHKの放送用テープとして認定

    磁気テープの品質向上に注力した結果、NHKの放送用テープとして認定され、200巻を受注。品質の公的認定を得た。

  8. 東京証券取引所に株式上場
  9. 米国ニューヨークに現地法人を設立

    TDK Electronics Corporationを設立。海外拠点展開の起点。

  10. 世界初の音楽用カセットテープ「SDカセット」を発表

    ニューヨークのCEショウに世界初の音楽用カセットテープ「SD(Super Dynamic)カセット」を出品。1966年にフィリップスと特許契約を結び国産第1号カセットテープを生産したTDKが、自社ブランドで音楽用途に特化した製品を開発。1969年に国内発売。

  11. 米国預託証券(ADR)を発行

    国際資本市場への進出。後のニューヨーク証券取引所上場(1982年)の布石。

  12. VHS用ビデオテープの大増産
    月産3,000巻の会社が5万巻を即受注した「逆算なき決断」
  13. 売上高営業利益率20.1%を記録

    過去最高水準の収益性。1970年代後半から1982年にかけて営業利益率19%前後を維持し、超高収益体質を実現した。

  14. 磁気テープで世界シェア31.5%、首位を獲得

    オーディオテープとビデオテープを合わせた生産金額ベースで世界首位。市場規模4,170億円。ソニー21.5%、日立マクセル18.0%を大きく引き離した。

  15. ニューヨーク証券取引所に上場

    日本企業として8番目のNYSE上場。1983年にはロンドン証券取引所にも上場。

  16. 社名を「ティーディーケイ株式会社」に変更

    旧社名「東京電気化学工業株式会社」から変更。ブランドの世界統一を図った。

  17. 国内初の「完全無担保普通社債」を発行

    当時の日本では社債発行には銀行の担保保証が一般的だったが、TDKの財務体質の良さが認められ、国内初の完全無担保普通社債の発行が実現した。

  18. 香港のSAE Magneticsを買収、HDD用ヘッド事業に参入

    香港のHDD用磁気ヘッド製造会社SAE Magnetics (H.K.) Ltd.を買収。テープ市場の成熟化を見据えた先手の事業転換であり、磁性技術をHDD用ヘッドに応用する戦略的M&A。

  19. divestiture
    黒字子会社を売却し、磁気ヘッドに集中投資
    「黒字だから持ち続ける」を否定した事業売却の設計思想
  20. 上場来初の営業赤字に転落

    ITバブル崩壊と中国の台頭により、営業赤字437億円に転落。構造改革費用360億円を計上し、853名を人員削減。澤部肇社長が「売上が伸びなくても利益が出る体質」への転換を推進。

  21. acquisition
    リチウムイオン電池メーカーATLを買収
    約87億円が1兆円を生んだ背景にある「小さく入って大きく育てる」M&Aの設計
  22. acquisition
    TDKブランド記録メディア事業の売却と磁気テープ生産撤退
    世界一のブランドを「段階的に手放す」撤退設計
  23. ドイツの電子部品メーカーEPCOSを買収

    約1,700億円でEPCOS AGを買収。TDK過去最大の買収。携帯電話向け高周波部品(SAWフィルター等)の事業基盤を獲得し、受動部品事業を大幅に強化した。

  24. 磁気テープ事業からの撤退を発表

    2014年3月に子会社メディアテックを清算し、磁気テープの生産から完全撤退。1953年の製品第1号発売から60年の歴史に幕を下ろした。

  25. 米国InvenSenseを約1,427億円で買収

    MEMS(微小電気機械システム)センサメーカーを買収し、センサ事業を強化。2016年のMicronas買収(磁気センサ)と合わせ、センサ応用製品事業の基盤を構築した。

  26. 連結売上高2兆円を突破

    2023年3月期の連結売上高は2兆1,808億円。ATLのリチウムイオン電池事業の成長により、初の売上高2兆円超を達成。

  27. 創業90周年、売上高2兆2,048億円

    2025年3月期の連結売上高は2兆2,048億円、営業利益2,242億円(営業利益率10.2%)。フェライトの工業化から始まった企業は、エナジー応用製品が売上の過半を占める電子部品メーカーに変貌した。

参考文献・出所

TDK株式会社 有価証券報告書(2025年3月期)
有価証券報告書 沿革
日経ビジネス「集中投資のために
あえて黒字子会社を売る」
永田清寿『TDK世界一の秘密』東都書房
素野福次郎『私の履歴書:経済人24』
證券月報 第482号
TDKの歴史(公式サイト)
TDK統合報告書 2025
日経ビジネス「挑戦する魂を鍛え直す」澤部肇社長インタビュー
有価証券報告書(2025年3月期)
永田清寿『TDK世界一の秘密』
有価証券報告書