カシオ計算機の沿革・歴史的証言
1946年〜2025年
カシオ計算機の1946年〜2025年の主要な出来事・経営判断・組織変化を年月順に並べた沿革(社史年表)と、経営者・当事者の歴史的証言
| 年度 | 売上高 | 純利益 | 年月 | 区分 | 出来事 | 歴史的意義 |
|---|---|---|---|---|---|---|
1946 1-12月 | 会社設立 | 東京都三鷹市に樫尾製作所創業 樫尾忠雄ら樫尾4兄弟が創業 | 戦後復興期に生まれた個人事業が、世界初の電動計算機メーカーへ発展する起点 | |||
1957 1-12月 | 世界初の小型純電気式計算機14-Aを商品化、カシオ計算機株式会社を設立 東京都武蔵野市で会社設立 | 機械式・リレー式が主流だった時代に純電気式の小型計算機を実現。電卓メーカー『カシオ』の始まり | ||||
1960 1-12月 | 設備投資 | 東京都東大和市に東京工場完成 | 量産体制の整備 | |||
1965 1-12月 | 電子式卓上計算機発売 | リレー式から電子式へ。電卓市場の競争激化期に参入 | ||||
1970 1-12月 | 組織再編 | 米Casio,Inc.設立、東証二部に上場 ニューヨーク州に販売子会社 | 海外販売拠点と株式公開を同時達成 | |||
1972 1-12月 | 『カシオミニ』を発売しパーソナル電卓市場を確立、東証一部に指定替 ハンブルグにCasio Computer GmbH設立 | 1万円を切る水準の低価格電卓で個人向け市場を創造。電卓戦争で勝ち残る | ||||
1973 1-12月 | 設備投資 | 八王子工場(現八王子技術センター)完成 | ||||
1974 1-12月 | 電子腕時計発売、本店を東大和から新宿へ移転 | 時計事業の開始。後のG-SHOCKにつながる主力事業の起点 | ||||
1975 1-12月 | 組織再編 | ロンドンに英Casio Electronicsを設立 | ||||
FY80 1980/3 | 組織再編 | 香港Casio Computer (HK)、山形カシオを設立 羽村技術センターも同年完成 | ||||
電子楽器『カシオトーン』発売 | 楽器事業の起点。オンリーワン型の新規事業モデル | |||||
FY84 1984/3 | 耐衝撃腕時計『G-SHOCK』DW-5000Cを発売 | 『落としても壊れない時計』という常識外れの発想で世界的ブランドに。後の主力事業の柱 | ||||
FY92 1992/3 | 売上高 3,834億円 | 当期純利益 105億円 | ||||
FY93 1993/3 | 売上高 4,317億円 | 当期純利益 70億円 | ||||
FY94 1994/3 | 売上高 3,838億円 | 当期純利益 53億円 | ||||
FY95 1995/3 | 売上高 4,017億円 | 当期純利益 50億円 | ||||
FY96 1996/3 | 売上高 4,119億円 | 当期純利益 7億円 | 組織再編 | 広東省深圳市にカシオ電子(深圳)を設立 | 中国製造の本格化 | |
FY97 1997/3 | 売上高 4,591億円 | 当期純利益 37億円 | ||||
FY98 1998/3 | 売上高 5,020億円 | 当期純利益 117億円 | 組織再編 | 本店を新宿から渋谷へ移転 | ||
FY99 1999/3 | 売上高 4,511億円 | 当期純利益 -85億円 | ||||
FY00 2000/3 | 売上高 4,103億円 | 当期純利益 62億円 | ||||
FY01 2001/3 | 売上高 4,439億円 | 当期純利益 65億円 | ||||
FY02 2002/3 | 売上高 3,821億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -249億円 | 組織再編 | シンガポールの拠点を統合しCasio Singapore Pte営業開始 | ||
当期純損失▲249億円 デジタル家電競争激化とITバブル崩壊 | 電卓から情報機器への多角化モデルの限界が露呈 | |||||
FY03 2003/3 | 売上高 4,405億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 56億円 | ||||
FY04 2004/3 | 売上高 5,235億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 141億円 | 設備投資 | 八王子技術センター竣工 | ||
FY05 2005/3 | 売上高 5,590億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 215億円 | ||||
FY06 2006/3 | 売上高 5,803億円 | 当期純利益 237億円 | 組織再編 | 広東省中山市にカシオ電子科技(中山)を設立 | ||
FY07 2007/3 | 売上高 6,207億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 251億円 | ||||
FY08 2008/3 | 売上高 6,230億円 | 当期純利益 121億円 | ||||
FY09 2009/3 | 売上高 5,180億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 -231億円 | 当期純損失▲231億円 リーマンショックとデジカメ事業の不振 | カシオの多角化モデルの最大の危機。事業整理の本格化 | ||
FY10 2010/3 | 売上高 4,279億円 | 当期純利益 -209億円 | 営業赤字▲293億円・純損失▲210億円 | |||
FY11 2011/3 | 売上高 3,416億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 56億円 | 組織再編 | TFT液晶ディスプレイ事業を凸版印刷との共同出資のオルタステクノロジーに移管 | 半導体系デバイス事業からの実質撤退 | |
合弁設立 | 携帯電話端末事業をNECカシオモバイルコミュニケーションズに統合 NECと合弁 | 携帯電話事業からの撤退路線の第一歩。最終的にスマホ市場で敗退 | ||||
FY12 2012/3 | 売上高 3,016億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 25億円 | 組織再編 | WLP関連事業をテラプローブに事業譲渡 | 半導体パッケージ事業からの撤退 | |
FY13 2013/3 | 売上高 2,977億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 118億円 | 組織再編 | タイ・ナコンラチャシマ県に新工場が稼動 Casio (Thailand) Co., Ltd. | 東南アジア生産体制の強化 | |
FY14 2014/3 | 売上高 3,217億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 159億円 | 社長交代 | 社長交代(樫尾和雄→樫尾和宏) 創業家内での事業承継 | 創業家3代目の社長就任 | |
組織再編 | カシオ(中国)貿易にカシオ(広州)商貿の営業機能を統合 | |||||
FY15 2015/3 | 売上高 3,383億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 264億円 | ||||
FY16 2016/3 | 売上高 3,522億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 311億円 | 営業利益421億円・当期純利益311億円 時計事業中心の高収益モデルが定着 | G-SHOCKを軸とした時計事業の高収益化が数字で明確化 | ||
FY17 2017/3 | 売上高 3,212億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 184億円 | 組織再編 | 広東省韶関市にカシオ電子(韶関)を設立 | ||
FY18 2018/3 | 売上高 3,147億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 195億円 | ||||
FY19 2019/3 | 売上高 2,981億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 221億円 | 組織再編 | デジタルカメラ事業から撤退 コンパクトデジカメ市場縮小 | スマートフォン拡大によるデジカメ需要消失を受けた撤退判断 | |
設備投資 | 山形県東根市に山形カシオ新工場が稼動 | |||||
FY20 2020/3 | 売上高 2,807億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 175億円 | ||||
FY21 2021/3 | 売上高 2,274億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 120億円 | ||||
FY22 2022/3 | 売上高 2,523億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 158億円 | ||||
FY23 2023/3 | 売上高 2,638億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 130億円 | 株式上場 | 東証プライム市場へ移行 | ||
社長交代 | 社長交代(樫尾和宏→増田裕一) 非創業家出身初の社長CEO | カシオ初の非創業家社長CEO。ガバナンス転換の象徴的イベント | ||||
FY24 2024/3 | 売上高 2,688億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 119億円 | ||||
FY25 2025/3 | 売上高 2,617億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 80億円 | 組織再編 | ランサムウェア攻撃でサプライチェーンが一時停止 クリスマス商戦期の製品供給に遅延 | サイバーセキュリティリスクが経営アジェンダに | |
通期売上2,617億円・営業利益142億円・純利益80億円 構造改革による資産整理 | ||||||
社長交代 | 社長交代(増田裕一→高野晋) 非創業家社長の電撃退任と『3代社長の懐刀』への交代 | 『非創業家社長』の短命退任。ガバナンスと創業家支配の関係が注目される | ||||
株主対応 | サウンド・電子辞書事業の構造改革と資本コスト基準での事業選別を表明 時計・教育関数を2本柱に再定義 | 『資本コストを上回る収益が確保できるか』を事業存続基準に |
- 東京都三鷹市に樫尾製作所創業
樫尾忠雄ら樫尾4兄弟が創業
戦後復興期に生まれた個人事業が、世界初の電動計算機メーカーへ発展する起点 - 世界初の小型純電気式計算機14-Aを商品化、カシオ計算機株式会社を設立
東京都武蔵野市で会社設立
機械式・リレー式が主流だった時代に純電気式の小型計算機を実現。電卓メーカー『カシオ』の始まり - 東京都東大和市に東京工場完成量産体制の整備
- 電子式卓上計算機発売リレー式から電子式へ。電卓市場の競争激化期に参入
- 米Casio,Inc.設立、東証二部に上場
ニューヨーク州に販売子会社
海外販売拠点と株式公開を同時達成 - 『カシオミニ』を発売しパーソナル電卓市場を確立、東証一部に指定替
ハンブルグにCasio Computer GmbH設立
1万円を切る水準の低価格電卓で個人向け市場を創造。電卓戦争で勝ち残る - 八王子工場(現八王子技術センター)完成
- 電子腕時計発売、本店を東大和から新宿へ移転時計事業の開始。後のG-SHOCKにつながる主力事業の起点
- ロンドンに英Casio Electronicsを設立
- 香港Casio Computer (HK)、山形カシオを設立
羽村技術センターも同年完成
- 電子楽器『カシオトーン』発売楽器事業の起点。オンリーワン型の新規事業モデル
- 耐衝撃腕時計『G-SHOCK』DW-5000Cを発売『落としても壊れない時計』という常識外れの発想で世界的ブランドに。後の主力事業の柱
- 広東省深圳市にカシオ電子(深圳)を設立中国製造の本格化
- 本店を新宿から渋谷へ移転
- シンガポールの拠点を統合しCasio Singapore Pte営業開始
- 当期純損失▲249億円
デジタル家電競争激化とITバブル崩壊
電卓から情報機器への多角化モデルの限界が露呈 - 八王子技術センター竣工
- 広東省中山市にカシオ電子科技(中山)を設立
- 当期純損失▲231億円
リーマンショックとデジカメ事業の不振
カシオの多角化モデルの最大の危機。事業整理の本格化 - 営業赤字▲293億円・純損失▲210億円
- TFT液晶ディスプレイ事業を凸版印刷との共同出資のオルタステクノロジーに移管半導体系デバイス事業からの実質撤退
- 携帯電話端末事業をNECカシオモバイルコミュニケーションズに統合
NECと合弁
携帯電話事業からの撤退路線の第一歩。最終的にスマホ市場で敗退 - WLP関連事業をテラプローブに事業譲渡半導体パッケージ事業からの撤退
- タイ・ナコンラチャシマ県に新工場が稼動
Casio (Thailand) Co., Ltd.
東南アジア生産体制の強化 - 社長交代(樫尾和雄→樫尾和宏)
創業家内での事業承継
創業家3代目の社長就任 - カシオ(中国)貿易にカシオ(広州)商貿の営業機能を統合
- 営業利益421億円・当期純利益311億円
時計事業中心の高収益モデルが定着
G-SHOCKを軸とした時計事業の高収益化が数字で明確化 - 広東省韶関市にカシオ電子(韶関)を設立
- デジタルカメラ事業から撤退
コンパクトデジカメ市場縮小
スマートフォン拡大によるデジカメ需要消失を受けた撤退判断 - 山形県東根市に山形カシオ新工場が稼動
- 東証プライム市場へ移行
- 社長交代(樫尾和宏→増田裕一)
非創業家出身初の社長CEO
カシオ初の非創業家社長CEO。ガバナンス転換の象徴的イベント - ランサムウェア攻撃でサプライチェーンが一時停止
クリスマス商戦期の製品供給に遅延
サイバーセキュリティリスクが経営アジェンダに - 通期売上2,617億円・営業利益142億円・純利益80億円
構造改革による資産整理
- 社長交代(増田裕一→高野晋)
非創業家社長の電撃退任と『3代社長の懐刀』への交代
『非創業家社長』の短命退任。ガバナンスと創業家支配の関係が注目される - サウンド・電子辞書事業の構造改革と資本コスト基準での事業選別を表明
時計・教育関数を2本柱に再定義
『資本コストを上回る収益が確保できるか』を事業存続基準に
歴史的証言
樫尾忠雄
1964年7月、シャープは電子式計算機を発売した。そのコンパクトさ。しかも、性能はリレー式に見劣りしないという。「これはえらいことになった」。背中に冷水を浴びせられた気持ちだった
同業者
5万円以下の電卓を市販するなんて、まったくメチャクチャですわ。こんなに安い価格の電卓を出されたのでは、早晩値崩れをきたすことは火をみるより明らかですよ
樫尾忠雄
当社は新しいものをつくれば売れるということではなく、どうすればより社会に寄与できるか、つまり一般の利用者が何を望んでいるか、どのような商品がより多くの人々に使ってもらえるか、ということを前提にしてきた
樫尾忠雄
12,800円のカシオミニを発表したが、いい話だけでなくいろいろな反響があった。業界からは、なぜ混乱させるような価格で出すのかと批判もいただいている。当社は、なんとか需要を開拓したい。必要としている人々に製品を届けるのがメーカーの使命であると考え、家庭向け商品の開発に取り組んできた
樫尾忠雄
当社のデジタル電子腕時計への進出について、電卓競争が厳しく、経営の多角化を余儀なくされたとお考えの向きもあると思う。しかし、事実は電子の応用技術の開発が、この事業化に乗り出すきっかけとなったのである
業界の反応
6ケタ表示(10万円単位までしか計算できない)のような、おもちゃみたいな電卓が作れるか
日経ビジネス
1972年8月に発売した6ケタ電卓『カシオミニ』。当時の常識、電卓は8ケタ以上の事務所用で価格は3万円以上、を破る12,800円で個人向けに売り出したところ、わずか1年半の間に200万台を越すベストセラーとなった
月刊経済
今回、同社がデジタル表示式の全電子ウオッチに進出したということは一つの賭けでもある。時計業界進出によってつなぎの資金をつけることはできるが、これに失敗すれば、銀行なり、商社の管理下に置かれることになる
日経ビジネス
LSIの時代が来た時、電卓メーカーには一つの選択が待っていた。LSIメーカーの作る標準品を使うか、特注品(カスタムメード)を発注するかである。多くのメーカーはスタンダードLSIの価格の安さに魅せられスタンダードを選んだ。カスタムを選択したのは世界の電卓メーカーの中で、カシオ計算機、シャープ、これにTIの3社だった
日経ビジネス
電卓で培った低価格戦略を武器に時計、楽器と多角化に成功
日経ビジネス
カシオはエレクトロニクス技術を駆使することで、低価格・多機能化を実現。既存メーカーの壁を徐々に崩した
参考文献・出所
有価証券報告書
日経ビジネス 1975/04/14
月刊経済 1975/01
実業往来 1971/09
証券アナリストジャーナル 1972/10
証券アナリストジャーナル 1974/09
証券アナリストジャーナル 1976/03
日経ビジネス 1979/10/08
日経新聞 私の履歴書 1991/08/23
日経ビジネス 1992/06/29
週刊東洋経済 2007/03/31
週刊東洋経済 2016/04/02
日経産業新聞 2016/09/01
東洋経済オンライン 2022
財界オンライン 2024/01/30
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