サッポロビールの沿革(1906〜2023年)

サッポロビールの創業から現在までの主要な出来事・経営判断・組織変化を年月順に一覧できる沿革(社史年表)ページです。 各年の売上高・純利益などの業績推移と、歴史的意義の解説をあわせて掲載しています。 社史・報道資料などの公開情報をもとに重要事項を判断の上、作成しています。

年度売上高純利益年月区分出来事歴史的意義
1906
1-12月
大日本麦酒を設立
市場安定のための三社合同が生んだ寡占と分割の帰結
1949
1-12月
日本麦酒を発足
統合体制の解体がもたらした競争上の出遅れ
東京証券取引所に株式上場
ニッポンビールの販売開始(柴田社長の大誤算)
既存ブランド封印が招いた長期的シェア喪失
FY55
1955/12
売上高
244億円
当期純利益
9.7億円
FY56
1956/12
売上高
239億円
当期純利益
10.6億円
FY57
1957/12
売上高
280億円
当期純利益
10.7億円
国際飲料株式会社を設立
サッポロビールの商標を復活
遅すぎた商標復活が埋められなかった8年の空白
FY58
1958/12
売上高
327億円
当期純利益
10.5億円
FY59
1959/12
売上高
379億円
当期純利益
11.9億円
FY60
1960/12
売上高
460億円
当期純利益
16.3億円
FY61
1961/12
売上高
652億円
当期純利益
20.8億円
大阪工場を新設
関西地区に拠点を新設。競合のアサヒビールに対する牽制
厚木工場を新設(清涼飲料専門工場)
FY62
1962/12
売上高
691億円
当期純利益
21.3億円
FY63
1963/12
売上高
768億円
当期純利益
17.1億円
FY64
1964/12
売上高
870億円
当期純利益
16.1億円
商号をサッポロビール株式会社に変更
FY65
1965/12
売上高
885億円
当期純利益
16.2億円
FY66
1966/12
売上高
908億円
当期純利益
18.3億円
FY67
1967/12
売上高
1,082億円
当期純利益
21億円
FY68
1968/12
売上高
1,162億円
当期純利益
21.2億円
ビールの国内シェアで25%を割り込む
サッポロビールの商号復活は、シェアの回復に寄与せず。ビール市場が拡大する中で、設備投資に先行したキリンの優位性を崩せなかった。 この結果、1968年度にサッポロビールのシェアは25%を割り込んだ
FY69
1969/12
売上高
1,245億円
当期純利益
22.7億円
FY70
1970/12
売上高
1,333億円
当期純利益
21億円
FY71
1971/12
売上高
1,366億円
当期純利益
18.9億円
仙台工場を新設
ヱビスビールの商標を復活
懸案であった「エビスビール」の商標を復活。復活にあたって、原料ホップを変更して味に変化を加え、価格帯を10円高く設定して高級路線を打ち出した。
FY72
1972/12
売上高
1,483億円
当期純利益
16億円
FY73
1973/12
売上高
1,622億円
当期純利益
13.8億円
FY74
1974/12
売上高
1,598億円
当期純利益
15.2億円
丸勝葡萄酒株式会社を買収
ワイン醸造に参入
FY75
1975/12
売上高
1,913億円
当期純利益
19.5億円
FY76
1976/12
売上高
1,752億円
当期純利益
20.1億円
FY77
1977/12
売上高
2,084億円
当期純利益
30.2億円
ビールの国内シェアで20%前後に低迷
1971年のエビスビール復活を機に「サッポロビール」「ヱビスビール」の2ブランドで攻勢を図るも、キリンビールに対抗できず。辛うじてサッポロビールはシェアの低下を20%前後で食い止めたが、キリンの独走を阻止できなかった。
FY78
1978/12
売上高
2,439億円
当期純利益
35.1億円
FY79
1979/12
売上高
2,512億円
当期純利益
31.1億円
FY80
1980/12
売上高
2,765億円
当期純利益
34億円
静岡工場を新設
FY81
1981/12
売上高
3,304億円
当期純利益
38.1億円
FY82
1982/12
売上高
3,478億円
当期純利益
39.9億円
FY83
1983/12
売上高
3,621億円
当期純利益
37.7億円
FY84
1984/12
売上高
3,799億円
当期純利益
44.2億円
SAPPORO U.S.A., INC. を設立
ニューヨークに現地法人を設立
FY91
1991/12
売上高
5,566億円
当期純利益
33.3億円
FY92
1992/12
売上高
5,771億円
当期純利益
31.8億円
FY93
1993/12
売上高
6,017億円
当期純利益
34.2億円
FY94
1994/12
売上高
6,639億円
当期純利益
32.9億円
divestiture
恵比寿ガーデンプレイスを開業
不動産事業の本格化が生んだ安定と資産効率の矛盾
FY95
1995/12
売上高
6,626億円
当期純利益
24億円
FY96
1996/12
売上高
6,655億円
当期純利益
38.1億円
FY97
1997/12
売上高
6,589億円
当期純利益
-245億円
FY98
1998/12
売上高
6,057億円
当期純利益
-111億円
FY99
1999/12
売上高
5,729億円
当期純利益
44.3億円
FY00
2000/12
売上高
5,640億円
当期純利益
13億円
FY01
2001/12
売上高
5,572億円
当期純利益
43.8億円
FY02
2002/12
売上高
5,117億円
当期純利益
11.6億円
FY03
2003/12
売上高
4,795億円
当期純利益
24.1億円
持ち株会社に移行。サッポロホールディングスに商号変更
FY04
2004/12
売上高
4,949億円
当期純利益
46.4億円
FY05
2005/12
売上高
4,536億円
当期純利益
36.2億円
FY06
2006/12
売上高
4,350億円
当期純利益
23.3億円
焼酎事業を買収
SLEEMAN BREWERIES LTD.を買収
カナダのビール醸造会社「スリーマンビール」の買収を決定。株式100%を306億円で買収した(取得総額)。同社はカナダ3位のビール醸造会社であり、サッポロHDは海外でのビール事業の展開を目論む
FY07
2007/12
売上高
4,490億円
当期純利益
55億円
acquisition
Steel Partnersが買収提案
買収は阻止したが構造問題は市場に可視化された
大阪工場の閉鎖を決定
ビールの製造拠点である大阪工場(1961年稼働・大阪府茨木市岩倉町2-1)について、2008年3月末に閉鎖する方針を決定。閉鎖の理由は「稼働率の低下」と「設備の老朽化」であった。 なお、大阪工場を巡ってはスティールパートナーズが工場閉鎖を提言していたが、サッポロHDは閉鎖の発案は自社にあると主張した。
alliance
モルガン・スタンレーと戦略的業務・資本提携を締結
買収防衛のための提携が残したコストと空転
FY08
2008/12
売上高
4,145億円
当期純利益
76.4億円
サッポロ飲料の経営改革に着手
鈴木英世氏が子会社サッポロ飲料の社長に就任。不採算事業の撤退で黒字化
FY09
2009/12
売上高
3,875億円
当期純利益
45.3億円
FY10
2010/12
売上高
3,892億円
当期純利益
107億円
ベトナム現地法人の株式取得
スティールパートナーズがサッポロHDの全株式を売却
FY11
2011/12
売上高
4,494億円
当期純利益
31.6億円
acquisition
ポッカコーポレーションを買収
934億円の投下が問い続ける飲料事業の採算性
FY12
2012/12
売上高
4,924億円
当期純利益
53.9億円
恵比寿ガーデンプレイスを再取得
2007年10月、サッポロHDはスティール・パートナーズへの買収対策として、モルガン・スタンレーの運用ファンドに恵比寿ガーデンプレイスの株式15%を500億円で売却していた。この取引は不動産価値の希薄化を通じてスティールの買収動機を削ぐことを目的としたものであった。 しかし2009年2月にスティールが買収撤回を公表し、2010年には全株式を売却して撤退した。提携の前提が消失する中、モルガン・スタンレー側は「不動産価値の向上が完了した」として持分の売却意向を示すようになった。 2012年3月、サッポロHDは恵比寿ガーデンプレイスの株式15%を405億円で買い戻した。これにより保有比率は100%に復帰し、完全子会社の地位が回復した。同時にモルガン・スタンレーとの「戦略的業務・資本提携」は正式に解消された。 資金調達は社債100億円(償還期限3年・年利0.64%)とみずほ銀行からの借入210億円で賄われた。500億円で売却し405億円で再取得する一連の取引は、防衛策として機能した一方で、事業構造の改善には結び付かず、実質的な防衛コストとして処理された。
防衛目的の売却から405億円での買い戻しへ
FY13
2013/12
売上高
5,098億円
当期純利益
94.5億円
FY14
2014/12
売上高
5,187億円
当期純利益
3.4億円
恵比寿ファーストスクエアを竣工
サッポロ不動産開発は、保有する東京都渋谷区恵比寿一丁目のビル(土地は明治時代に取得し、社宅として活用。その後、高度経済成長期にビルを建設)について建て替えを決定。2014年にオフィスビル「恵比寿ファーストスクエア」として竣工した。
FY15
2015/12
売上高
5,337億円
当期純利益
61億円
FY16
2016/12
売上高
5,418億円
当期純利益
94.6億円
FY17
2017/12
売上高
5,515億円
当期純利益
109億円
FY18
2018/12
売上高
4,939億円
当期利益
85.2億円
FY19
2019/12
売上高
4,918億円
当期利益
43.5億円
FY20
2020/12
売上高
4,347億円
当期利益
-160億円
最終赤字に転落。ポッカ設備で110億円の減損
2020年12月期、サッポロHDは当期純損失160億円を計上し、1998年以来約22年ぶりの最終赤字に転落した。直接的な要因は新型コロナウイルスの影響による酒類事業の需要急減であったが、背景には飲料事業の構造的な不振があった。 酒類事業は飲食店向け業務用需要の蒸発によって赤字に転じ、食品・飲料事業も2010年代を通じた売上低迷が続いていた。不動産事業は引き続き黒字を維持したものの、酒類と飲料の両事業の赤字を不動産単独でカバーすることはできなかった。 サッポロHDは同期に食品飲料事業で110億円の減損損失を計上した。対象は子会社ポッカサッポロフード&ビバレッジの名古屋工場および群馬工場の建物・機械装置であり、2010年代の積極投資で増強した生産設備の回収断念を意味した。 ただし、ポッカ買収時に計上したのれん184億円については減損が見送られた。設備の減損にとどめ、買収判断そのものの評価には踏み込まない形となった。帳簿上の処理としては部分的な損切りであるが、実質的には2011年の買収戦略が当初の期待に応えられていないことを示す計上であった。
22年ぶりの最終赤字が示した事業構造の脆さ
FY21
2021/12
売上高
4,371億円
当期利益
123億円
不動産売却により売却益232億円を計上
子会社の「サッポロ不動産開発」が保有する土地の一部売却を実施。対象は東京恵比寿の「恵比寿ファーストスクエア(2014年竣工)」。売却先は三井不動産系の投資ファンド「三井不動産デジタル・アセットマネジメント」。サッポロHDは固定資産売却益として232億円を計上
FY22
2022/12
売上高
4,784億円
当期利益
54.5億円
STONE BREWING CO.,LLCを買収
米国のビール醸造会社STONE BREWINGの株式100%を約226億円で買収。海外のビール事業において、2006年のSLEEMAN BREWEIES社(カナダ)の買収以来、2度目の大規模な買収へ
FY23
2023/12
shareholder
3D InvestmentがサッポロHDに株主提案
16年越しに繰り返された資本効率への問い
  1. 大日本麦酒を設立
    市場安定のための三社合同が生んだ寡占と分割の帰結
  2. 日本麦酒を発足
    統合体制の解体がもたらした競争上の出遅れ
  3. 東京証券取引所に株式上場
  4. ニッポンビールの販売開始(柴田社長の大誤算)
    既存ブランド封印が招いた長期的シェア喪失
  5. 国際飲料株式会社を設立
  6. サッポロビールの商標を復活
    遅すぎた商標復活が埋められなかった8年の空白
  7. 大阪工場を新設

    関西地区に拠点を新設。競合のアサヒビールに対する牽制

  8. 厚木工場を新設(清涼飲料専門工場)
  9. 商号をサッポロビール株式会社に変更
  10. ビールの国内シェアで25%を割り込む

    サッポロビールの商号復活は、シェアの回復に寄与せず。ビール市場が拡大する中で、設備投資に先行したキリンの優位性を崩せなかった。 この結果、1968年度にサッポロビールのシェアは25%を割り込んだ

  11. 仙台工場を新設
  12. ヱビスビールの商標を復活

    懸案であった「エビスビール」の商標を復活。復活にあたって、原料ホップを変更して味に変化を加え、価格帯を10円高く設定して高級路線を打ち出した。

  13. 丸勝葡萄酒株式会社を買収

    ワイン醸造に参入

  14. ビールの国内シェアで20%前後に低迷

    1971年のエビスビール復活を機に「サッポロビール」「ヱビスビール」の2ブランドで攻勢を図るも、キリンビールに対抗できず。辛うじてサッポロビールはシェアの低下を20%前後で食い止めたが、キリンの独走を阻止できなかった。

  15. 静岡工場を新設
  16. SAPPORO U.S.A., INC. を設立

    ニューヨークに現地法人を設立

  17. divestiture
    恵比寿ガーデンプレイスを開業
    不動産事業の本格化が生んだ安定と資産効率の矛盾
  18. 持ち株会社に移行。サッポロホールディングスに商号変更
  19. 焼酎事業を買収
  20. SLEEMAN BREWERIES LTD.を買収

    カナダのビール醸造会社「スリーマンビール」の買収を決定。株式100%を306億円で買収した(取得総額)。同社はカナダ3位のビール醸造会社であり、サッポロHDは海外でのビール事業の展開を目論む

  21. acquisition
    Steel Partnersが買収提案
    買収は阻止したが構造問題は市場に可視化された
  22. 大阪工場の閉鎖を決定

    ビールの製造拠点である大阪工場(1961年稼働・大阪府茨木市岩倉町2-1)について、2008年3月末に閉鎖する方針を決定。閉鎖の理由は「稼働率の低下」と「設備の老朽化」であった。 なお、大阪工場を巡ってはスティールパートナーズが工場閉鎖を提言していたが、サッポロHDは閉鎖の発案は自社にあると主張した。

  23. alliance
    モルガン・スタンレーと戦略的業務・資本提携を締結
    買収防衛のための提携が残したコストと空転
  24. サッポロ飲料の経営改革に着手

    鈴木英世氏が子会社サッポロ飲料の社長に就任。不採算事業の撤退で黒字化

  25. ベトナム現地法人の株式取得
  26. スティールパートナーズがサッポロHDの全株式を売却
  27. acquisition
    ポッカコーポレーションを買収
    934億円の投下が問い続ける飲料事業の採算性
  28. 恵比寿ガーデンプレイスを再取得

    2007年10月、サッポロHDはスティール・パートナーズへの買収対策として、モルガン・スタンレーの運用ファンドに恵比寿ガーデンプレイスの株式15%を500億円で売却していた。この取引は不動産価値の希薄化を通じてスティールの買収動機を削ぐことを目的としたものであった。 しかし2009年2月にスティールが買収撤回を公表し、2010年には全株式を売却して撤退した。提携の前提が消失する中、モルガン・スタンレー側は「不動産価値の向上が完了した」として持分の売却意向を示すようになった。 2012年3月、サッポロHDは恵比寿ガーデンプレイスの株式15%を405億円で買い戻した。これにより保有比率は100%に復帰し、完全子会社の地位が回復した。同時にモルガン・スタンレーとの「戦略的業務・資本提携」は正式に解消された。 資金調達は社債100億円(償還期限3年・年利0.64%)とみずほ銀行からの借入210億円で賄われた。500億円で売却し405億円で再取得する一連の取引は、防衛策として機能した一方で、事業構造の改善には結び付かず、実質的な防衛コストとして処理された。

    防衛目的の売却から405億円での買い戻しへ
  29. 恵比寿ファーストスクエアを竣工

    サッポロ不動産開発は、保有する東京都渋谷区恵比寿一丁目のビル(土地は明治時代に取得し、社宅として活用。その後、高度経済成長期にビルを建設)について建て替えを決定。2014年にオフィスビル「恵比寿ファーストスクエア」として竣工した。

  30. 最終赤字に転落。ポッカ設備で110億円の減損

    2020年12月期、サッポロHDは当期純損失160億円を計上し、1998年以来約22年ぶりの最終赤字に転落した。直接的な要因は新型コロナウイルスの影響による酒類事業の需要急減であったが、背景には飲料事業の構造的な不振があった。 酒類事業は飲食店向け業務用需要の蒸発によって赤字に転じ、食品・飲料事業も2010年代を通じた売上低迷が続いていた。不動産事業は引き続き黒字を維持したものの、酒類と飲料の両事業の赤字を不動産単独でカバーすることはできなかった。 サッポロHDは同期に食品飲料事業で110億円の減損損失を計上した。対象は子会社ポッカサッポロフード&ビバレッジの名古屋工場および群馬工場の建物・機械装置であり、2010年代の積極投資で増強した生産設備の回収断念を意味した。 ただし、ポッカ買収時に計上したのれん184億円については減損が見送られた。設備の減損にとどめ、買収判断そのものの評価には踏み込まない形となった。帳簿上の処理としては部分的な損切りであるが、実質的には2011年の買収戦略が当初の期待に応えられていないことを示す計上であった。

    22年ぶりの最終赤字が示した事業構造の脆さ
  31. 不動産売却により売却益232億円を計上

    子会社の「サッポロ不動産開発」が保有する土地の一部売却を実施。対象は東京恵比寿の「恵比寿ファーストスクエア(2014年竣工)」。売却先は三井不動産系の投資ファンド「三井不動産デジタル・アセットマネジメント」。サッポロHDは固定資産売却益として232億円を計上

  32. STONE BREWING CO.,LLCを買収

    米国のビール醸造会社STONE BREWINGの株式100%を約226億円で買収。海外のビール事業において、2006年のSLEEMAN BREWEIES社(カナダ)の買収以来、2度目の大規模な買収へ

  33. shareholder
    3D InvestmentがサッポロHDに株主提案
    16年越しに繰り返された資本効率への問い

参考文献・出所

有価証券報告書 沿革
日経ビジネス
日本ビール産業史
日経新聞朝刊
サッポロホールディングス社史
有価証券報告書
サッポロHD IR
Bloomberg
決算説明資料
IR 決算説明QA FY25-3Q 2025/11
IR 決算説明QA FY25通期 2026/2/13
サッポロHD プレスリリース 事業持株会社体制移行 2025/9
サッポロHD プレスリリース 株式分割 2025/9