沿革年表 1949〜2026年における重要度別の出来事(合計38件)
| 年月 | 区分 | 社長/CEO | 出来事 | 年度 | 売上高 | 純利益 |
|---|---|---|---|---|---|---|
重要事項 | 日本電装を設立 歴史的意義yutaka sugiura デンソーの設立は、トヨタ自動車にとって経営危機下の不採算部門の切り離しであった。資本金1500万円に対して1.5億円の負債を引き継ぎ、自己資本比率5%で発足した事実がそれを物語る。社名に「トヨタ」を使うことすら許されなかった点は、トヨタがデンソーの存続を保証しない姿勢の表れであった。設立3か月で473名を解雇するほどの経営難に陥ったが、朝鮮特需という偶発的な外部要因が業績を好転させた。 | 1949 1-12月 | ||||
企業再建案を発表。473名の解雇 会社設立直後の1950年3月、デンソーは経営が行き詰まり人員削減を決定。従業員約1400名のうち473名を解雇する再建案を発表し、残留社員にも10%の賃金カットを実施した。労使対立も発生し、設立時から前途多難なスタートとなった。「一番早く潰れる」との悪評も立ったため、岩月取締役が「日本電装は潰れるか」と題する論文を執筆し火消しに注力した。 | FY50 1950/12 | 売上高 4.79億円 | 当期純利益 -0.01億円 | |||
朝鮮特需により業績好転 1950年に勃発した朝鮮特需により自動車の需要が増加し、電装部品を手がけるデンソーの業績が好転。主にトヨタ自動車からの発注により売上を拡大した | ||||||
設備投資で新鋭機械を導入 生産性改善のために1.6億円の設備機械(巻線・研削・歯切盤・自動盤・計器など)の購入を決定。新鋭工作機械を海外から輸入 | FY51 1951/12 | 売上高 7.57億円 | 当期純利益 0.72億円 | |||
FY52 1952/12 | 売上高 11.48億円 | 当期純利益 0.98億円 | ||||
東証1部に株式上場 1951年の上場直後の筆頭株主上位3名の構成は「互恵会」「帝国銀行」「林虎雄(デンソー当時社長)」であり、トヨタ自動車は筆頭株主ではなかった。1953年時点の販売先の売上構成は「トヨタ自動車向け60%」「三輪車メーカー(ダイハツ・マツダなど)向け17%」「いすゞ・オオタ向け11%」「代理店12%」(出所:証券24(12))であり、トヨタ自動車を中心としつつも三輪車メーカーを中心にトヨタ以外の自動車メーカーとの取引にも注力した。 | FY53 1953/12 | 売上高 15.85億円 | 当期純利益 1.73億円 | |||
重要事項業務提携 | ロバートボシュと業務資本提携を締結 歴史的意義yutaka sugiura ボシュとの提携の本質は、株式10%の割当と配当連動型ロイヤリティーという対価設計にある。デンソーの業績が向上するほどボシュの収益も増える構造は、技術供与側にとって持続的な利益還元を保証する仕組みであった。この提携を通じてデンソーは4年間でカーヒーター・噴射ポンプ・スパークプラグ・カーエアコンへと製品を拡充し、電装品専業から総合自動車部品メーカーへの転換を果たした。約60年にわたる資本関係の継続がこの提携の実効性を裏付けている。 | |||||
FY54 1954/12 | 売上高 17.48億円 | 当期純利益 1.72億円 | ||||
FY55 1955/12 | 売上高 18.41億円 | 当期純利益 1.73億円 | ||||
FY56 1956/12 | 売上高 33.5億円 | 当期純利益 2.82億円 | ||||
FY57 1957/12 | 売上高 46.7億円 | 当期純利益 3.89億円 | ||||
電気洗濯機から撤退 販路構築に苦戦して撤退を決定。製造設備を愛知工場に譲渡し、設備の清算を完了 | FY58 1958/12 | 売上高 47.4億円 | 当期純利益 3.94億円 | |||
FY59 1959/12 | 売上高 67.6億円 | 当期純利益 5.52億円 | ||||
FY60 1960/12 | 売上高 110.3億円 | 当期純利益 9.35億円 | ||||
本社工場を増設(北工場竣工) 北工場(第5工場・第6工場)を新設して噴射ポンプおよびメーター計器の生産に従事。ただし本社工場は北工場の新設をもって拡張が難しくなり、これ以降の増産は西三河地区(安城・刈谷・西尾など)に工場を新設する形で対応した | FY61 1961/12 | 売上高 140.4億円 | 当期純利益 11.84億円 | |||
FY62 1962/12 | 売上高 150.9億円 | 当期純利益 12.78億円 | ||||
FY63 1963/12 | 売上高 197.1億円 | 当期純利益 12.21億円 | ||||
FY64 1964/12 | 売上高 253億円 | 当期純利益 11.3億円 | ||||
池田工場を新設(刈谷市) 本社近くに10万㎡の土地を取得して池田工場を新設。カーヒーター、カークーラーの増産に対応した(1970年の西尾製作所の新設でカーエアコンは西尾に移設)。 | FY65 1965/12 | 売上高 278億円 | 当期純利益 12.3億円 | |||
FY66 1966/12 | 売上高 341億円 | 当期純利益 15.61億円 | ||||
FY67 1967/12 | 売上高 442億円 | 当期純利益 20.35億円 | ||||
FY68 1968/12 | 売上高 601億円 | 当期純利益 26.8億円 | ||||
安城工場を新設(安城製作所) 本社以外では初となる量産工場として新設。不二越の旧安城工場の跡地を取得して活用。電装品(オルターネーター、スターター)の事業部を移設して量産を開始 | FY69 1969/12 | 売上高 775億円 | 当期純利益 35.4億円 | |||
西尾製作所を新設(エアコン増産) カーエアコン・カーヒーター・噴射ポンプの量産拠点として新設 | FY70 1970/12 | 売上高 930億円 | 当期純利益 42億円 | |||
海外進出 | 米国に初の海外現地法人を設立 米国にニッポンデンソー・オブ・ロスアンゼルス株式会社(現デンソー・プロダクツ・アンド・サービス・アメリカズ)を設立した。デンソーとして初の海外現地法人となり、グローバル展開の出発点となった。 | FY71 1971/12 | 売上高 1,134億円 | 当期純利益 49億円 | ||
海外進出 | タイに現地法人を設立 タイにニッポンデンソー・タイランド株式会社(現デンソー・タイランド)を設立した。アジア地域への現地生産展開の初手となった。 | FY72 1972/12 | 売上高 1,262億円 | 当期純利益 54億円 | ||
海外進出 | オランダに欧州現地法人を設立 オランダにニッポンデンソー・ヨーロッパ(現デンソー・インターナショナル・ヨーロッパ)を設立した。欧州市場への参入拠点となった。 | FY73 1973/12 | 売上高 1,653億円 | 当期純利益 58億円 | ||
高棚製作所を新設(安城市) メーター計器の量産拠点として新設 | FY74 1974/12 | 売上高 2,054億円 | 当期純利益 47億円 | |||
FY75 1975/12 | 売上高 2,266億円 | 当期純利益 77億円 | ||||
FY76 1976/12 | 売上高 2,774億円 | 当期純利益 132億円 | ||||
FY77 1977/12 | 売上高 3,327億円 | 当期純利益 154億円 | ||||
FY78 1978/12 | 売上高 3,909億円 | 当期純利益 208億円 | ||||
FY79 1979/12 | 売上高 4,545億円 | 当期純利益 260億円 | ||||
冷暖房機器(カーエアコン)の売上が急拡大 電装品の売上1532億円(対全社売上構成比29.6%)に対して、冷暖房機器の売上2024億円(同構成比39.1%)を達成。冷暖房機器(≒カーエアコン・カーヒーター)が全社製品でNo.1の売上高を確保する製品に育つ | FY80 1980/12 | 売上高 5,173億円 | 当期純利益 245億円 | |||
エレクトロニクス本部を発足 | ||||||
FY81 1981/12 | 売上高 5,791億円 | 当期純利益 248億円 | ||||
重要事項 | 売上高1兆円計画 歴史的意義yutaka sugiura 1982年の売上高1兆円計画は、デンソーの成長戦略の原型となった。トヨタ以外の顧客開拓・海外進出・エレクトロニクスの3方針はいずれもその後の事業拡大に寄与したが、トヨタ依存からの脱却だけは40年を経ても実現していない。トヨタが広瀬工場を新設してデンソーを牽制し、2020年にその工場をデンソーに譲渡した経緯は、親会社と部品メーカーの間の事業領域をめぐる緊張と調整の過程を象徴している。 | FY82 1982/12 | 売上高 6,078億円 | 当期純利益 263億円 | ||
大安製作所を新設(三重県いなべ市) | ||||||
FY83 1983/12 | 売上高 6,888億円 | 当期純利益 310億円 | ||||
FY84 1984/12 | 売上高 7,892億円 | 当期純利益 359億円 | ||||
ニッポンデンソー・アメリカを設立 トヨタ自動車のケンタッキー工場の新設を受けて、デンソーも北米現地法人を設立。現地生産の拠点を整備 | FY85 1985/12 | 売上高 9,088億円 | 当期純利益 413億円 | |||
FY86 1986/12 | 売上高 9,647億円 | 当期純利益 287億円 | ||||
豊橋製作所を新設(愛知県豊橋市) | FY87 1987/12 | 売上高 9,940億円 | 当期純利益 278億円 | |||
阿久比製作所を新設(愛知県知多郡) | ||||||
幸田製作所を新設(愛知県知多郡) | ||||||
FY90 1990/12 | 売上高 15,116億円 | 当期純利益 630億円 | ||||
FY91 1991/12 | 売上高 14,813億円 | 当期純利益 607億円 | ||||
北米向け売上高を拡大 | FY92 1992/12 | 売上高 15,237億円 | 当期純利益 419億円 | |||
北米メキシコの生産拠点を拡充 取引先である米ビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)からの要請を受けて、メキシコでの現地生産に着手 | FY93 1993/12 | 売上高 14,246億円 | 当期純利益 272億円 | |||
北九州製作所を新設(北九州市) | ||||||
2期連続減益 円高の進行による輸出の採算悪化や、日米貿易摩擦(自動車)によってトヨタ自動車などの各社で業績低迷。部品メーカーであるデンソーの業績も悪化 | ||||||
FY94 1994/12 | 売上高 14,122億円 | 当期純利益 372億円 | ||||
| 深谷紘一 | FY95 1995/12 | 売上高 3,393億円 | 当期純利益 74億円 | |||
| 深谷紘一 | 社名をデンソーに変更 グローバル展開を見据えて、社名を日本電装から「デンソー」に変更した。 | FY96 1996/12 | 売上高 14,426億円 | 当期純利益 498億円 | ||
| 深谷紘一 | FY97 1997/12 | 売上高 16,249億円 | 当期純利益 713億円 | |||
| 深谷紘一 | 善明製作所を新設(愛知県西尾市) | FY98 1998/12 | 売上高 16,673億円 | 当期純利益 711億円 | ||
| 深谷紘一 | FY99 1999/12 | 売上高 17,588億円 | 当期純利益 589億円 | |||
| 深谷紘一 | FY00 2000/12 | 売上高 18,834億円 | 当期純利益 619億円 | |||
| 深谷紘一 | FY01 2001/12 | 売上高 20,149億円 | 当期純利益 607億円 | |||
| 深谷紘一 | FY02 2002/12 | 売上高 24,010億円 | 当期純利益 723億円 | |||
| 深谷紘一 | 電装(中国)投資有限公司を設立 中国現地法人の統括会社として設立 | FY03 2003/12 | 売上高 23,327億円 | 当期純利益 1,110億円 | ||
| 深谷紘一 | デンソースピリットを制定 海外ではグローバル化により米州・欧州・豪州・アジアにおいて拠点が増加し、売上成長の牽引役となった。国内では「ケイレツ」に対する独占禁止法の観点からの批判が強まった。そこで、デンソーは改めて企業が目指す方向を定義することを決め、全社員が拠り所とすべき精神を明文化した「デンソースピリット」を策定した。 | FY04 2004/12 | 売上高 25,624億円 | 当期純利益 1,100億円 | ||
| 深谷紘一 | FY05 2005/12 | 売上高 27,999億円 | 当期純利益 1,326億円 | |||
| 深谷紘一 | FY06 2006/12 | 売上高 31,883億円 | 当期純利益 1,696億円 | |||
| 加藤宣明 | デンソー・インターナショナル・アジアを設立 アジアの統括会社としてタイに設立 | FY07 2007/12 | 売上高 36,097億円 | 当期純利益 2,051億円 | ||
| 加藤宣明 | FY08 2008/12 | 売上高 40,250億円 | 当期純利益 2,444億円 | |||
| 加藤宣明 | FY09 2009/12 | 売上高 31,426億円 | 当期純利益 -840億円 | |||
組織再編 | 加藤宣明 | 大阪証券取引所の上場を廃止 大阪証券取引所(市場第1部)の上場を廃止した。 | FY10 2010/12 | 売上高 29,767億円 | 当期純利益 734億円 | |
| 加藤宣明 | FY11 2011/12 | 売上高 31,314億円 | 当期純利益 1,430億円 | |||
| 加藤宣明 | FY12 2012/12 | 売上高 31,546億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 892億円 | |||
| 加藤宣明 | FY13 2013/12 | 売上高 35,809億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,816億円 | |||
| 有馬浩二 | FY14 2014/12 | 売上高 40,959億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,873億円 | |||
| 有馬浩二 | FY15 2015/12 | 売上高 43,087億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,930億円 | |||
| 有馬浩二 | FY16 2016/12 | 売上高 45,245億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,442億円 | |||
| 有馬浩二 | 長期経営ビジョン2030を策定 自動車のEV化への危機感から、有馬社長は「長期ビジョン2030」を策定した。2019年からの投資計画では、成長余地のない内燃機関への投資を抑制する一方、電駆動分野(インバータ・MG・電池電源など)へ重点投資し事業構造の変革を進めた。ただし2020年時点でデンソーの売上収益の約50%をトヨタ向けに依存しており、トヨタの電動化の成否がデンソー業績を左右する構造は変わっていない。 | FY17 2017/12 | 売上高 45,271億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,576億円 | ||
富士通テンを買収 カーナビやカーオーディオを手がける富士通テン(1973年にトヨタ自動車が資本参加)を買収。取得対価は205億円。経営は赤字が続いていたが、カーナビなどのソフトウェア技術の習得を目論む。デンソーとしては自動運転の研究開発の強化が狙いであった | ||||||
| 有馬浩二 | FY18 2018/12 | 売上高 51,082億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 3,205億円 | |||
| 有馬浩二 | FY19 2019/12 | 売上高 53,627億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,545億円 | |||
| 有馬浩二 | トヨタ自動車から広瀬製作所を譲受 車載向け半導体製造拠点を取得 | FY20 2020/12 | 売上高 51,534億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 680億円 | ||
| 有馬浩二 | 燃料ポンプのリコール 2019年にデンソーの「燃料ポンプ」について、トヨタ自動車がリコールを届出。これを受けてデンソーはリコールを決定。対象は国内322万台。2021年3月末時点で製品保証引当金2148億円を計上しており、燃料ポンプの単価(完成車メーカー向け販売)は2000円/個に対して、リコール費用は6万円/個に及んだ。 | FY21 2021/12 | 売上高 49,367億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 1,250億円 | ||
| 林新之助 | FY22 2022/12 | 売上高 55,155億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 2,639億円 | |||
| 林新之助 | 売上対比50%をトヨタに依存 一貫してデンソーはトヨタグループ向け売上比率が50%で推移。売上拡大は主にトヨタ向けの売上拡大に起因しており、売上依存の構造は15年以上にわたり変化せず | FY23 2023/12 | 売上高 64,013億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 3,146億円 | ||
| 林新之助 | FY24 2024/12 | 売上高 71,447億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 3,127億円 | |||
| 林新之助 | FY25 2025/12 | 売上高 71,617億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 4,190億円 | |||
FY26 2026/12 | 売上高 75,400億円 | 親会社株主に帰属する当期純利益 4,438億円 |
- 日本電装を設立デンソーの設立は、トヨタ自動車にとって経営危機下の不採算部門の切り離しであった。資本金1500万円に対して1.5億円の負債を引き継ぎ、自己資本比率5%で発足した事実がそれを物語る。社名に「トヨタ」を使うことすら許されなかった点は、トヨタがデンソーの存続を保証しない姿勢の表れであった。設立3か月で473名を解雇するほどの経営難に陥ったが、朝鮮特需という偶発的な外部要因が業績を好転させた。
- 企業再建案を発表。473名の解雇
会社設立直後の1950年3月、デンソーは経営が行き詰まり人員削減を決定。従業員約1400名のうち473名を解雇する再建案を発表し、残留社員にも10%の賃金カットを実施した。労使対立も発生し、設立時から前途多難なスタートとなった。「一番早く潰れる」との悪評も立ったため、岩月取締役が「日本電装は潰れるか」と題する論文を執筆し火消しに注力した。
- 朝鮮特需により業績好転
1950年に勃発した朝鮮特需により自動車の需要が増加し、電装部品を手がけるデンソーの業績が好転。主にトヨタ自動車からの発注により売上を拡大した
- 設備投資で新鋭機械を導入
生産性改善のために1.6億円の設備機械(巻線・研削・歯切盤・自動盤・計器など)の購入を決定。新鋭工作機械を海外から輸入
- 東証1部に株式上場
1951年の上場直後の筆頭株主上位3名の構成は「互恵会」「帝国銀行」「林虎雄(デンソー当時社長)」であり、トヨタ自動車は筆頭株主ではなかった。1953年時点の販売先の売上構成は「トヨタ自動車向け60%」「三輪車メーカー(ダイハツ・マツダなど)向け17%」「いすゞ・オオタ向け11%」「代理店12%」(出所:証券24(12))であり、トヨタ自動車を中心としつつも三輪車メーカーを中心にトヨタ以外の自動車メーカーとの取引にも注力した。
- ロバートボシュと業務資本提携を締結ボシュとの提携の本質は、株式10%の割当と配当連動型ロイヤリティーという対価設計にある。デンソーの業績が向上するほどボシュの収益も増える構造は、技術供与側にとって持続的な利益還元を保証する仕組みであった。この提携を通じてデンソーは4年間でカーヒーター・噴射ポンプ・スパークプラグ・カーエアコンへと製品を拡充し、電装品専業から総合自動車部品メーカーへの転換を果たした。約60年にわたる資本関係の継続がこの提携の実効性を裏付けている。
- 電気洗濯機から撤退
販路構築に苦戦して撤退を決定。製造設備を愛知工場に譲渡し、設備の清算を完了
- 本社工場を増設(北工場竣工)
北工場(第5工場・第6工場)を新設して噴射ポンプおよびメーター計器の生産に従事。ただし本社工場は北工場の新設をもって拡張が難しくなり、これ以降の増産は西三河地区(安城・刈谷・西尾など)に工場を新設する形で対応した
- 池田工場を新設(刈谷市)
本社近くに10万㎡の土地を取得して池田工場を新設。カーヒーター、カークーラーの増産に対応した(1970年の西尾製作所の新設でカーエアコンは西尾に移設)。
- 安城工場を新設(安城製作所)
本社以外では初となる量産工場として新設。不二越の旧安城工場の跡地を取得して活用。電装品(オルターネーター、スターター)の事業部を移設して量産を開始
- 西尾製作所を新設(エアコン増産)
カーエアコン・カーヒーター・噴射ポンプの量産拠点として新設
- 米国に初の海外現地法人を設立
米国にニッポンデンソー・オブ・ロスアンゼルス株式会社(現デンソー・プロダクツ・アンド・サービス・アメリカズ)を設立した。デンソーとして初の海外現地法人となり、グローバル展開の出発点となった。
- タイに現地法人を設立
タイにニッポンデンソー・タイランド株式会社(現デンソー・タイランド)を設立した。アジア地域への現地生産展開の初手となった。
- オランダに欧州現地法人を設立
オランダにニッポンデンソー・ヨーロッパ(現デンソー・インターナショナル・ヨーロッパ)を設立した。欧州市場への参入拠点となった。
- 高棚製作所を新設(安城市)
メーター計器の量産拠点として新設
- 冷暖房機器(カーエアコン)の売上が急拡大
電装品の売上1532億円(対全社売上構成比29.6%)に対して、冷暖房機器の売上2024億円(同構成比39.1%)を達成。冷暖房機器(≒カーエアコン・カーヒーター)が全社製品でNo.1の売上高を確保する製品に育つ
- エレクトロニクス本部を発足
- 売上高1兆円計画1982年の売上高1兆円計画は、デンソーの成長戦略の原型となった。トヨタ以外の顧客開拓・海外進出・エレクトロニクスの3方針はいずれもその後の事業拡大に寄与したが、トヨタ依存からの脱却だけは40年を経ても実現していない。トヨタが広瀬工場を新設してデンソーを牽制し、2020年にその工場をデンソーに譲渡した経緯は、親会社と部品メーカーの間の事業領域をめぐる緊張と調整の過程を象徴している。
- 大安製作所を新設(三重県いなべ市)
- ニッポンデンソー・アメリカを設立
トヨタ自動車のケンタッキー工場の新設を受けて、デンソーも北米現地法人を設立。現地生産の拠点を整備
- 豊橋製作所を新設(愛知県豊橋市)
- 阿久比製作所を新設(愛知県知多郡)
- 幸田製作所を新設(愛知県知多郡)
- 北米向け売上高を拡大
- 北米メキシコの生産拠点を拡充
取引先である米ビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)からの要請を受けて、メキシコでの現地生産に着手
- 北九州製作所を新設(北九州市)
- 2期連続減益
円高の進行による輸出の採算悪化や、日米貿易摩擦(自動車)によってトヨタ自動車などの各社で業績低迷。部品メーカーであるデンソーの業績も悪化
- 社名をデンソーに変更
グローバル展開を見据えて、社名を日本電装から「デンソー」に変更した。
- 善明製作所を新設(愛知県西尾市)
- 電装(中国)投資有限公司を設立
中国現地法人の統括会社として設立
- デンソースピリットを制定
海外ではグローバル化により米州・欧州・豪州・アジアにおいて拠点が増加し、売上成長の牽引役となった。国内では「ケイレツ」に対する独占禁止法の観点からの批判が強まった。そこで、デンソーは改めて企業が目指す方向を定義することを決め、全社員が拠り所とすべき精神を明文化した「デンソースピリット」を策定した。
- デンソー・インターナショナル・アジアを設立
アジアの統括会社としてタイに設立
- 大阪証券取引所の上場を廃止
大阪証券取引所(市場第1部)の上場を廃止した。
- 長期経営ビジョン2030を策定
自動車のEV化への危機感から、有馬社長は「長期ビジョン2030」を策定した。2019年からの投資計画では、成長余地のない内燃機関への投資を抑制する一方、電駆動分野(インバータ・MG・電池電源など)へ重点投資し事業構造の変革を進めた。ただし2020年時点でデンソーの売上収益の約50%をトヨタ向けに依存しており、トヨタの電動化の成否がデンソー業績を左右する構造は変わっていない。
- 富士通テンを買収
カーナビやカーオーディオを手がける富士通テン(1973年にトヨタ自動車が資本参加)を買収。取得対価は205億円。経営は赤字が続いていたが、カーナビなどのソフトウェア技術の習得を目論む。デンソーとしては自動運転の研究開発の強化が狙いであった
- トヨタ自動車から広瀬製作所を譲受
車載向け半導体製造拠点を取得
- 燃料ポンプのリコール
2019年にデンソーの「燃料ポンプ」について、トヨタ自動車がリコールを届出。これを受けてデンソーはリコールを決定。対象は国内322万台。2021年3月末時点で製品保証引当金2148億円を計上しており、燃料ポンプの単価(完成車メーカー向け販売)は2000円/個に対して、リコール費用は6万円/個に及んだ。
- 売上対比50%をトヨタに依存
一貫してデンソーはトヨタグループ向け売上比率が50%で推移。売上拡大は主にトヨタ向けの売上拡大に起因しており、売上依存の構造は15年以上にわたり変化せず