重要な意思決定
2013

保護フィルム「コスモシャインSRF」を開発

背景

液晶テレビ向け偏光子保護フィルムにおける従来品の品質課題

液晶テレビの大型化が進むなかで、偏光子保護フィルムの品質要求は高まっていた。従来の主流であったトリアセチルセルロース(TAC)系フィルムは、大型パネルへの適用において「反り」が発生しやすいという品質上の課題を抱えていた。液晶パネルの製造工程では、偏光子保護フィルムの平坦性が表示品質に直接影響するため、反りの低減は液晶テレビメーカーにとって重要な技術課題であった。

東洋紡は1960年代からフィルム事業を展開しており、犬山工場を起点に二軸延伸ポリエステルフィルムやナイロンフィルムの生産実績を積んできた。長年にわたるフィルム延伸技術の蓄積は、液晶向けという新しい用途領域に対しても技術的な基盤を提供するものであった。

決断

超複屈折フィルム「コスモシャインSRF」の開発と世界シェア60%の確保

2013年、東洋紡は偏光子保護用超複屈折フィルム「コスモシャインSRF」を開発し、液晶テレビ向けに販売を開始した。TAC系フィルムと比較して反りの発生を抑制できる特性を持ち、大型液晶パネルにおける品質課題に対する解決策として液晶テレビメーカーに採用が広がった。従来品の代替として市場を獲得した結果、2024年までに液晶テレビ向け偏光子保護フィルムにおいて世界シェア60%(1位)を確保した。

コスモシャインSRFの販売拡大はフィルムセグメントの利益に貢献し、2015年度以降の同セグメントの増益を支えた。利益の内訳は開示されていないが、世界シェア1位の製品としてフィルム事業における収益の柱に成長したと推定される。東洋紡のフィルム事業は包装用と工業用に大別されるが、コスモシャインSRFは工業用フィルムにおける代表的な高付加価値製品として位置づけられた。