重要な意思決定
1994

広島証券取引所に株式上場。130億円を調達

背景

自己資本比率12%からの脱却と財務体質の転換

1994年にファーストリテイリングは広島証券取引所に株式を上場し、約130億円の資本調達を実施した。1991年から1994年にかけて借入金に依存した急速な店舗拡大を続けた結果、自己資本比率は12%台にまで低下しており、柳井正個人が借入金の保証を背負う状態が続いていた。上場による資本調達で自己資本比率は63%台へと劇的に改善され、財務リスクからの解放を意味した。柳井正が「上場して本当によかった」と述べた背景には、この財務改善に対する安堵があったと推察される。

株式上場に際して、ファーストリテイリングは売上成長と高収益を両立する企業として市場関係者の注目を集めた。広島のみならず国内外から買い注文が相次ぎ、初値がつかない事態に陥った。最終的に公募価格7200円に対して初値14,900円となり、証券会社の値付けが過小であったことを意味した。

決断

上場資金を原資とした年間50店舗出店への加速

上場で得た130億円の資金は、店舗拡大のさらなる加速に充当された。1995年度から1997年度の3ヵ年で年間50店舗ペースの出店計画が策定され、ロードサイド郊外店舗を関東地方にも拡大する方針が固まった。上場によって店舗拡大に目処がついたことは、中国メーカーにとっても大量ロット発注への信頼材料となり、SPA構築の前提条件の一つが満たされた。

バブル崩壊によってアパレル各社が苦戦する中で、急成長を遂げた異色企業としてファーストリテイリングとユニクロの知名度は向上した。広島証券取引所の上場部長が「地域産業育成部銘柄制度で上場を働きかけた」と語るように、地方発の成長企業として地域金融の支援も得ていた。