重要な意思決定
1993

実力主義による人事評価制度を導入

背景

年間30店舗出店を支える人材育成の仕組み

年間30店舗超という出店ペースを支えるために、ファーストリテイリングは人材育成のための人事制度を整備した。柳井正は「人事制度こそ企業の生命線」と考え、年功序列ではなく実力主義による人事を基本方針に据えた。店舗運営の評価基準は「買いやすい売り場づくり」ができているかどうかで判断され、入社後半年から1年の現場経験を経て店長に昇格した後は、実力主義による昇格・昇給が適用された。

四半期ごとに業務評価とペーパーテストを実施し、その結果で職階を決定する仕組みは、降格もあり得る運用であった。1990年代前半の日本企業としては極めて異色の評価制度であり、「人間の能力のピークは25歳」という柳井正の持論がその設計思想にあった。

決断

20代ブロックマネージャーの抜擢で組織の若返りを実現

ファーストリテイリングの店舗運営は、店長→エリアマネージャー(5店舗管轄)→ブロックマネージャー(エリアマネージャー5名管轄)という三層構造で設計された。ブロックマネージャーは20代がほとんどであり、その下に30代の年長のエリアマネージャーや店長が配置されるという、年功序列とは真逆の組織構造であった。

実質的には、SPA構築に必要な店舗拡大速度が、若手への早期権限移譲を不可避にしていた。年間30店舗以上の新規出店を継続するには、短期間で店長を育成し、さらに上位の管理職に引き上げるスピードが必要であった。実力主義の人事制度は、柳井正の経営哲学であると同時に、事業拡大の速度が要請した組織設計でもあった。