重要な意思決定
1991

年間30店舗超の出店計画

背景

SPA実現に必要な店舗数という明確なゴール

1991年からファーストリテイリングは、長銀からの借入調達で得た資金をもとに急速な店舗出店を開始した。1990年度末のユニクロ22店舗に対して、1991年度末には55店舗体制(+48店舗増加)を構築した。この出店ペースは、中国メーカーからの大量ロット仕入れを実現するために必要な販売量を逆算した結果であった。

1店舗あたりの新規開設費用は、人件費(正社員2名+パート4〜5名)と内装設備等で6000万円であった。出店コストを抑制するために、土地と建物はリース契約で賃借し、固定資産の償却負担を回避する「持たざる経営」を徹底した。さらに、初年度から黒字が見込める立地に限定して出店することで、投資回収の確実性を担保した。

決断

中国地方・東海地方でのドミナント展開と出店基準の設計

ユニクロの店舗展開にあたって、ファーストリテイリングは急速な全国展開を避け、中国地方および東海地方に照準を絞ったドミナント戦略を採用した。カジュアルウェアの顧客はファミリー層が主体であり、自動車によるショッピングが前提のロードサイド展開であったため、自動車普及率の高い地域から優先的に出店した。

特定地域に集中出店することで、物流の効率化、店舗運営ノウハウの蓄積、地域内での認知向上を同時に達成する設計であった。全国一斉展開のリスクを回避しつつ、SPA実現に必要な店舗数という明確なゴールに向けて、地域ごとに出店を積み上げていく手法は、限られた資金と人材の制約下での合理的な選択であった。