重要な意思決定
新規事業に対する投資額を80億円に拡大。タクシー配車アプリ「MOV」のサービス提供を開始
背景
ゲーム依存からの脱却を目指した3領域への投資拡大
2018年度、DeNAは新規事業に対する投資額を80億円に拡大し、ゲーム事業に匹敵する新たな収益の柱を育てる方針を発表した。当時のDeNAはモバイルゲーム事業が収益の中核を占めていたが、ソーシャルゲーム市場の成熟化とヒットタイトルへの依存度の高さから、ゲーム単体での持続的成長には限界が見え始めていた。WelQ問題を経てキュレーションメディア事業からも撤退しており、成長戦略の再構築が経営課題として浮上していた。
DeNAが注力先として選定したのはライブ配信・オートモーティブ・ヘルスケアの3領域であった。ライブ配信ではPocochaとSHOWROOMへの投資を本格化し、オートモーティブでは2015年から参入していた自動運転・タクシー配車分野での事業化投資を加速させた。ヘルスケアでは大手保険会社のSOMPOホールディングスとの提携を軸に、保険商品の販売拡大を目論んだ。
決断
タクシー配車アプリ「MOV」の投入と多角化の具体化
3領域のなかでもオートモーティブ事業は、DeNAが最も大きな投資を行った分野であった。神奈川県タクシー協会との共同研究や日産自動車との自動運転の共同実験を経て、2018年にタクシー配車アプリ「MOV」をリリースした。ゲーム事業で培ったモバイルアプリの開発力を、交通領域のサービスに転用する試みであった。
しかし、いずれの新規事業もゲーム事業に匹敵する収益規模には至らなかった。ライブ配信は市場自体が成長過程にあり、オートモーティブは規制や業界構造の壁に直面し、ヘルスケアも収益化に時間を要した。80億円の投資枠は多角化への意思を明確にするものであったが、投資の成果がDeNAの業績を押し上げるには至らず、後年の業績低迷と経営体制刷新の伏線となった。