重要な意思決定
モバオクのサービス提供を開始
背景
ヤフオクに敗れたPC向けオークションからの転換
2004年3月、DeNAはモバイル(ガラケー)向けオークション「モバオク」のサービス提供を開始した。それまでDeNAの主力事業はPC向けオークション「ビッターズ」であったが、同領域ではヤフージャパンが展開する「ヤフオク」が圧倒的なネットワーク効果を形成しており、後発のDeNAがシェアを奪うことは困難な状況にあった。ビッターズの成長が頭打ちとなるなかで、DeNAはベンチャー企業として次の成長軸を必要としていた。
2004年以降、日本国内ではガラケーの普及が急速に進み、モバイルからのインターネット利用が拡大していた。PC向けサービスとは異なる利用動線と課金構造がモバイル領域には存在しており、既存の大手が未だ本格参入していない市場でもあった。DeNAにとってモバイル領域は、PC向けオークションで築けなかった競争優位を獲得しうる数少ない選択肢であった。
決断
モバイル特化によるサービス設計と事業の重心移動
DeNAはモバオクをガラケーからのアクセスに完全特化したサービスとして設計し、PCとは異なるユーザー体験を前提に構築した。この判断は、ビッターズをモバイルに移植するのではなく、モバイル固有の操作性や利用頻度に最適化した新サービスを投入するものであった。FY2005/3Q(2005年12月)にはモバイル領域の売上高がビッターズを上回り、DeNAの主力事業はPC向けオークションからモバイルコンテンツへと明確に移行した。
この事業転換により、DeNAはモバイルコンテンツのサービス会社へと変貌を遂げた。ヤフオクとの正面競争を回避し、成長余地のあるモバイル領域にリソースを集中させた判断は、後年のモバゲーや怪盗ロワイヤルに至る成長の起点となった。ビッターズ単体では描けなかった売上成長を、モバイル領域の拡大によって実現した形である。