重要な意思決定
20154月

AbemaTVを設立

背景

動画時代到来への備え

2015年前後、スマートフォン普及と通信環境の高速化により動画視聴が日常化しつつあった。加えてNetflixの日本進出により、ネット動画市場の拡大は不可逆と認識された。サイバーエージェントは広告とゲームで収益基盤を築いていたが、次の大規模市場として動画領域への参入を検討していた。

一方で同社は番組制作のノウハウを持たず、単独参入には限界があった。藤田晋はテレビ朝日と協議を重ね、ネットの技術力と放送局の制作力を組み合わせる構想を描いた。両社の強みを補完する合弁形態が、動画市場参入の前提条件となった。

決断

AbemaTV合弁設立

2015年4月、テレビ朝日と合弁でAbemaTVを設立し、出資比率はサイバーエージェント60%、テレビ朝日40%とした。主導権を握りつつ、放送コンテンツ制作力を取り込む体制を構築した。2016年4月には無料常時放送型の動画配信サービスとして開局した。

開局時は約18チャンネルを編成し、ニュースやアニメなど多様なジャンルを展開した。番組制作やコンテンツ仕入に多額の原価が発生する構造であり、年間数百億円規模の赤字を前提とする長期投資を決断。藤田晋は10年間投資を継続する方針を明言した。

結果

巨大投資と戦略的布石

AbemaTVは累計ダウンロード数を伸ばし、広告販売も開始されたが、原価負担は重く債務超過に転落した。2022年時点で1111億円の債務超過に至るなど、財務面では大きな負担を伴った。短期収益よりも市場確立を優先する経営判断であった。

しかし、ゲーム事業の高収益が投資原資を支え、同社は自己資金で継続投資を実行した。AbemaTVはネット動画における独自ポジションを築き、テレビ局に匹敵するメディア構想の基盤を形成した。2015年の合弁設立は、同社が次世代メディア企業を目指す長期戦略の起点となった。