サイバークリックの販売開始
クリック保証型広告への着眼
1998年当時、日本のインターネット広告はPV保証型や期間保証型が主流であり、広告主は掲載回数や期間を基準に費用を支払っていた。効果測定は限定的で、広告費と成果の関係は不透明だった。一方、米国ではクリック回数に応じて課金する成果連動型広告が広がり始めており、広告主にとって合理的な仕組みとして注目を集めていた。
創業間もないサイバーエージェントは、当初WebMoneyの営業代行を主業としていたが、営業活動の中でバリュークリックジャパンのクリック保証型広告に出会い、その販売を担うことになった。営業現場では中小企業からの反応が良く、費用対効果を明確に示せる広告モデルへの潜在需要を実感していた。インターネット普及が加速する局面で、市場拡大余地は大きいと判断した。
模倣と独占契約による参入
同社は、営業代行にとどまらず、自社商品としてクリック保証型広告を展開することを決断した。商品名を「サイバークリック」と定め、営業代行から広告会社へ事業軸を転換した。しかし、クリック数計測や不正防止を含むシステム開発は想定以上に難易度が高く、当初の内製化は失敗に終わった。
そこで、オン・ザ・エッヂ(のちのライブドア)に開発と運用を全面委託する契約を締結した。契約は売上高の10%をロイヤリティとして支払う方式で、1998年9月から5年間の独占契約とした。これにより競合への技術流出を防ぎつつ、成果報酬型広告市場への参入体制を整えた。
広告代理モデルへの転換確立
1998年10月のシステム稼働後、サイバークリックの販売を本格化した。2000回保証で14〜18万円という価格設定を行い、従来のDM費用との比較で費用対効果を訴求した。資金力の乏しいベンチャー企業や中小企業を主な顧客とし、従来型媒体とは異なる営業戦略を展開した。
媒体開拓も同時に進め、2000年1月までに4,728媒体を確保した。広告主と媒体をシステムで仲介する体制が確立され、同社は営業代行企業からインターネット広告会社へと本格転換を果たした。1998年7月の販売開始は、祖業からの脱却を象徴する転換点となった。