iOS向けアプリをリリース
背景
スマートフォン普及への対応
2010年前後、日本国内でもiPhoneを中心にスマートフォンが急速に普及し、ECの閲覧環境はPCやフィーチャーフォンからスマホへ移行し始めた。従来のZOZOTOWNはPC設計を前提としており、モバイル対応は簡易表示にとどまっていた。このため、若年層ユーザーの主要接点を失う可能性があったが、国内のネット業界ではスマホの普及は確信として捉えられておらず、様子見の企業が大半であった。
ただし、ファッションECは閲覧体験が購買行動に直結する構造であり、画面設計や操作性の最適化が売上に影響する局面に入っていた。ガラケー中心の時代とは異なり、タッチ操作を前提としたUI設計が求められ、スマホ対応は競争上の優先課題として顕在化していた。
決断
iOS/Androidアプリ本格展開
2010年12月、ZOZOはiOS向けアプリをリリースし、スマホ対応を本格化させた。App Store無料ランキング上位に入るなど早期に利用が広がり、スマホを主要接点とする方針を明確にした。従来のPC表示を流用する方式から脱却し、スマホ専用UIへの転換を進めた。
2011年には開発体制強化を目的にカヤックへ出資し、アプリ改善を加速。2012年5月にはAndroid版も投入し、両OSへの対応を完了した。これにより、スマホを前提としたEC運営へ移行する基盤を整備し、次世代のユーザー接点を自社アプリに集約する構造を構築した。
2010年時点で国内EC業界の大半がスマホ対応を様子見する中、ZOZOはiOSアプリを即座に投入した。ファッションECは画像の見え方と操作性が購買に直結するため、PC表示の流用では不十分と判断したのは的確であった。結果としてスマホ比率は2014年に52.7%、2018年には83.2%に達し、アプリがユーザー接点の主戦場となった。カヤックへの出資で開発力を外部から取り込んだ点も、当時の内製エンジニア不足を補う現実的な判断であった。