1998年 有限会社スタート・トゥデイを創業
バンド活動を続ける22歳の前澤友作が、カナダ留学帰りの輸入CD通販を家業に、1998年5月に千葉県習志野市で有限会社スタート・トゥデイを設立。2004年12月にZOZOTOWNを開設、翌2005年のユナイテッドアローズ出店を契機にアパレルECモールへ転じた。
創業〜設立から上場前後までどのようにして経営を軌道に乗せたのか?
- 前澤友作は1975年に千葉県鎌ヶ谷市で生まれ、早稲田実業学校高等部在学中の1990年代前半に同級生らとパンクバンド Switch Style を結成した。高校卒業後は大学進学を選ばずカナダへ約半年間の語学留学に出ており、現地で集めた輸入CD・レコードを帰国後に個人売買、雑誌「DOLL」等への小広告を経由した紙カタログ通販で月商500万円規模に達した1998年5月、出資金300万円で有限会社スタート・トゥデイを千葉県習志野市で法人化した。
- 2000年1月にCD・レコードのECサイト「STMonline」を開設して紙カタログから完全EC化、同年4月に株式会社スタートトゥデイへ組織変更、10月にはアパレルセレクトショップECの先駆けである「EPROZE」を立ち上げて在庫を自ら抱える買取型でファッション販売へ参入した。2001年1月に本社を千葉市美浜区のワールド・ビジネス・ガーデンへ移転、2002年に再度の組織変更で法人格を整え、前澤は2001年に Switch Style 活動を終え経営に専念する体制へ移行した。
- 2004年12月、既存の17オンラインブランドを廃止して単一ドメインのファッション特化型ECモール「ZOZOTOWN」へ集約した。出店審査制と編集権を運営側で握る雑誌型設計を採り、2005年のユナイテッドアローズ出店を起点に BEAMS・SHIPS が続き、2006年8月には千葉県習志野市にプロロジス賃借の物流拠点 ZOZOBASE を稼働、入荷1日掲載・受注3時間出荷の体制を整えて、2007年12月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場した。
輸入CD通販という個人趣味の延長から始まり、2000年のEC化と2004年12月のZOZOTOWN単一ドメイン化で「雑誌的編集権を運営側が握るファッション特化型モール」へ転回、出店審査制と受託販売モデルを最重要視するポジショニングを創業7年目で確立した。
1998年5月の有限会社スタート・トゥデイ設立時の出資金300万円から、外部VCを入れず借入金中心で経営権を保持する財務運営を続け、自己資本比率は2005年3月末11.8%・2006年3月末11.8%という低水準にとどめたまま、2007年12月の東証マザーズ上場で初めて資本市場経由の調達手段を整えた。
輸入CD・レコードの紙カタログ通販で発足し、2000年1月「STMonline」でEC化、同年10月「EPROZE」でアパレルセレクトショップECに転じ、2004年12月にECモール「ZOZOTOWN」へ単一ドメイン集約、受託販売・買取販売・USED販売の三本立てに成長した。
創業期は音楽誌「DOLL」「宝島」読者の Switch Style 周辺ファン・輸入CDコレクターが顧客層、ZOZOTOWN 開設後はユナイテッドアローズの2005年出店を契機に BEAMS・SHIPS 等の国内有力セレクトショップが出店ブランドとして連なり、消費者層は20〜30代のファッション感度の高い層へ広がった。
1998年5月の設立時は前澤と家族・友人を含む創業3名規模、2001年の幕張本社移転時で数名、2004年12月のZOZOTOWN開設前後で数十名、2007年12月の東証マザーズ上場時点では受託販売運営と ZOZOBASE 物流オペレーションを支える100名超の体制まで段階的に拡大した。
創業地は千葉県習志野市の実家規模拠点、2001年1月に千葉市美浜区ワールド・ビジネス・ガーデンへ本社移転、2006年8月にプロロジス賃借の ZOZOBASE 物流拠点(千葉県習志野市)を稼働、固定費を意識的に物流オペレーションへ集中投下する拠点配置の原型を初期10年で築いた。
ZOZO 創業地の主な拠点一都三県 の地理(有限会社スタート・トゥデイ設立地 → ZOZOBASE)
創業時のエピソード人物・ブランド・資金調達の細部
| 1993〜1998年 なぜ前澤友作はバンドマンのまま輸入CD通販を始めたのか? | 早稲田実業在学中に結成したパンクバンド Switch Style の活動継続を最優先し、定職に就かずカナダ留学で集めた輸入CDの個人売買から始めた通販が、雑誌広告経由で受注を増やし家業として法人化に至った。 前澤友作は1975年に千葉県鎌ヶ谷市で生まれ、早稲田実業学校高等部在学中の1990年代前半に同級生らとパンクバンド Switch Style を結成した。高校卒業後は大学進学を選ばずカナダへ約半年間の語学留学に出ており、現地で集めた輸入CD・レコードを帰国後に個人売買するようになっている。 バンド活動を生活の主軸に置いたまま、雑誌「DOLL」「宝島」等の音楽誌に小さな広告を出して通信販売の注文を取る形が定着した。受注は実家の電話・ファックスで受け、現金書留での入金確認後に発送する古典的な紙カタログ通販である。友人からの購入依頼が口コミで広がり月商が500万円規模に達したことで、1998年5月に出資金300万円・有限会社スタート・トゥデイとして法人化、千葉県習志野市を本店所在地に登記した。 |
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| 2000〜2002年 なぜ2000年に有限会社から株式会社へ組織変更したのか? | 紙カタログから「STMonline」「EPROZE」へとEC化を進めるなかでアパレルセレクトショップとの取引交渉が増え、紙媒体時代の極小法人格では取引信用が足りず、株式会社化と本社移転で対外信用を整える必要に迫られた。 2000年1月、スタートトゥデイはインターネット上でCD・レコード輸入販売を行うECサイト「STMonline」の運営を開始し、紙カタログから完全EC化への移行に踏み切った。同年4月に有限会社から株式会社スタートトゥデイへ組織変更し、10月にはアパレル商材を中心としたセレクトショップEC「EPROZE」の運営を開始している。 EPROZE は複数のセレクトショップ商品を自社が買い取って在庫として持つ買取型ECで、CD通販からアパレル領域への業態転換の起点となった。2001年1月には本社を千葉県千葉市美浜区のワールド・ビジネス・ガーデンへ移転し、2002年に再度の組織変更で法人格を整えた。前澤は2001年にバンド Switch Style 活動を終え、経営に専念する体制へと切り替えている。 |
| 2004年12月 なぜ2004年12月に17ブランドの自社ECをZOZOTOWN一本へ集約したのか? | 買取型で扱っていた17のセレクトショップ別ECサイトをそれぞれ運営する負荷と機会損失が大きく、複数ショップを一つの仮想モールに集約する「ファッション特化型ECモール」への転換が、雑誌的編集権と出店審査制を握り直すための一手として打たれた。 2004年12月、スタートトゥデイは EPROZE 等の既存17オンラインブランドの運営を打ち切り、複数のセレクトショップが一つのドメインに同居するファッション特化型ECモール「ZOZOTOWN」のサービスを開始した。楽天市場のように出店者の自由なページ作成を許す方式ではなく、サイト全体のデザイン・ブランドの並び順・撮影トーンを運営側で統一管理する雑誌的編集権の設計を初めから採用している。 在庫を自社で抱える買取型から、出店ブランドの商品を物流拠点で預かり販売手数料を取る受託販売型への転換でもあり、在庫リスクの逓減と取扱ブランド数の急拡大を両立する事業モデルへと舵を切った。前澤は後年「企業経営には一つとして同じ仕事がない。常に状況が変化している。経営は音楽よりもクリエイティブだ」(ベンチャー通信 2010/12)と当時の判断を振り返っている。 |
| 2005年 なぜユナイテッドアローズが2005年に出店を決めたことが転機になったのか? | ネット通販に警戒的なセレクトショップ各社のなかで、業界トップ格のユナイテッドアローズが先陣を切って ZOZOTOWN に出店したことが、BEAMS・SHIPS等の有力ショップに対する出店障壁を一気に下げ、受託販売モデルが業界標準として広がる連鎖反応の起点となった。 2005年、ユナイテッドアローズが ZOZOTOWN への出店を決定した。当時のセレクトショップ業界はネット通販に対して「実店舗のブランド体験を損なう」「価格訴求のディスカウントモールに同列で扱われる」といった警戒心が強く、有力ショップは自社ECの整備に注力する一方で第三者モールへの出店には慎重であった。 この取引は前澤友作と当時のユナイテッドアローズ社長・重松理らトップ同士の直接対話で成立しており、業界トップ格の参画が他のセレクトショップに対する信用保証として機能した。以後 BEAMS・SHIPS等の有力ショップが続けて出店し、ZOZOTOWN は雑誌的編集権を握ったまま取扱ブランド数を急拡大、推計テイクレートは2006年3月期の18.2%から2009年3月期に23.4%へと段階的に上昇した。 |
| 2006年8月 なぜ2006年8月に物流拠点 ZOZOBASE を自社で抱えたのか? | 受託販売モデルでは出店ブランドの商品を運営側で預かる必要があり、撮影・採寸・サイト掲載・梱包・発送の一連の作業を社内で標準化することが、出店ブランド側に「販売以外の業務を全部任せられる」という提供価値を示す前提条件であったため。 2006年8月、スタートトゥデイは千葉県習志野市にプロロジスから賃借する物流拠点 ZOZOBASE の稼働を開始した。受託販売モデルでは出店ブランドから預かった商品の入庫検品・撮影・採寸・データ入力・サイト掲載までを運営側で完結させる必要があり、これを社内で標準化することがプラットフォーム事業の核となる作業設計であった。 ZOZOBASE では入荷後最短1日で商品の撮影・採寸・掲載までを終え、注文後最短3時間で出荷する体制を整えた。アパレル各社が自社で物流を持つ負担を嫌う一方、撮影・採寸というEC固有の作業ノウハウを持たない現実に対し、標準化された仕組みで応える形である。物流内製化が後のZOZOプラットフォームの競争優位の核として長期に機能する起点となり、2007年12月の東証マザーズ上場の事業基盤を整えた。 |
歴史的証言当事者が何を考えていたか。その思想について
ZOZOTOWN 開設・受託販売モデル立ち上げ期を経て10年超の経営経験を振り返り、バンドマンから経営者へと立場を転じた経緯を語った発言
「企業経営には一つとして同じ仕事がない。常に状況が変化している。経営は音楽よりもクリエイティブだ」
1998年の有限会社スタート・トゥデイ設立が周到な事業計画ではなく、輸入CDを友人に売る家業の延長として始まった経緯を語った発言
「好きなものを多くの人に届けることが基本動機。起業は計画的ではなく自然な流れ」
1998年5月の創業時、登記上の事業目的として記載された原文
「輸入CD・レコードの通信販売を目的に㈲スタート・トゥデイを設立」
2000年10月、CD通販からアパレルセレクトショップECへ業態転換した起点を有報沿革が記述した一節
「アパレル商材を中心としたEC事業のさきがけとなるインターネット上のセレクトショップ「EPROZE」の運営を開始」
2004年12月、既存17オンラインブランドを廃止し単一ドメインのECモールへ集約した転換を有報沿革が記述した一節
「インターネット上のショッピングサイト「ZOZOTOWN」の運営を開始」
参考文献
- 有価証券報告書
- ベンチャー通信 2010/12
- 5-timeline.csv
- Business Insider Japan 2020/11
- ZOZO 有価証券報告書 FY24 沿革