2021 年3月

完全子会社ソウゾウを設立(2代目)

歴史的意義
CtoC基盤でBtoCを成立させる実験と28億円の授業料

メルカリShopsの狙いは、CtoC基盤の集客力を活かして事業者を取り込み、取引総額を拡張することにあった。あえて別会社とすることで既存事業のKPIから切り離し、意思決定速度を確保する設計だった。しかし出店数20万店を超えても、加盟店管理やCSのコスト負担が重く、取引拡大が収益改善に直結しなかった。28億円の減損と100名規模の人員削減は、個人間取引と事業者向け取引では求められるオペレーションが本質的に異なることを示した結果であり、プラットフォームの横展開の難しさを映している。

背景

国内成長鈍化と新収益模索

国内CtoC市場においてメルカリは高い認知と取引量を確立していたが、取引単価や手数料率の構造上、売上成長には限界が見え始めていた。また、フリマ市場を巡る競争が激化する中で、既存モデルの延長のみでは中長期の成長を説明しにくい局面に入っていた。

2020年以降のコロナ禍は、小規模事業者にとってオンライン販売の必要性を顕在化させた一方、メルカリにとってはCtoCの枠を超えた新たな取引主体を取り込む契機ともなった。個人だけでなく事業者を取り込むことで、取引総額の拡張を図る余地が生じていた。

決断

BtoC領域への本格進出

こうした環境を受け、2021年3月に完全子会社ソウゾウ(2代目)を設立し、BtoCサービスである「メルカリShops」の開発を開始した。既存のCtoC基盤とは異なり、加盟店審査や商品管理といった新たな運営要素を取り込む設計となった。

あえて別会社とすることで、既存事業の文化やKPIから切り離し、新規事業としての意思決定速度を確保する狙いがあった。プラットフォームの集客力を活用しつつ、取引主体の拡張による成長を目指す判断であった。

結果

成長実証と収益化の乖離

メルカリShopsは出店数を拡大し、一定の需要を可視化することには成功した。しかし、加盟店管理やサポートに伴うコストは想定以上に重く、取引拡大が即座に収益改善には結びつかなかった。

結果として28億円の減損を計上し、人員削減を含む事業調整を余儀なくされた。この取り組みは、CtoC基盤の延長でBtoCを成立させる難易度と、事業拡張に伴う固定費リスクを明確に示す結果となった。