河合映治がセリア社長就任
IT経営を主導した銀行出身の経営幹部
河合映治は1967年生まれ、岐阜県出身。同志社大学経済学部で理論経済学と実証分析を学んだ後、1990年に大垣共立銀行に入行した。審査部では融資の可否と金額を自動判断するシステムの開発に携わり、統計学に基づく数理モデルで企業の信用リスクを定量化する手法を身につけた。2003年5月、叔父にあたる創業者・河合宏光の招きでセリアに入社し、同年6月に常務取締役に就任。入社の条件として株式上場を求め、2004年12月のジャスダック上場を実現に導いた。以後、経営企画室長としてIR活動に携わりながら、データに基づく経営基盤の構築を推進した。
セリアに転じた河合映治は、銀行時代の融資審査の発想を小売業の発注業務に応用した。2004年9月のリアルタイムPOS全店導入では業務開発部長の岩間靖とともに陣頭指揮を執り、2006年には独自の数理モデルに基づく発注支援システムを稼働させた。店舗ごとに来店顧客数や規模が異なるという前提のもと、条件付き確率で需要を予測する仕組みを設計し、店員の勘と経験に依存しない品揃えの最適化を実現した。2009年3月期にキャンドゥを売上高で逆転して業界2位に躍進し、2014年3月期には売上高が初めて1000億円の大台に乗った。
創業者が経営から完全に退く社長交代
2014年6月、創業者・河合宏光が社長を退任し、河合映治が2代目社長に就任した。注目すべきは、河合宏光が会長職等にとどまることなくセリアの経営から完全に退いた点である。河合映治は就任にあたり、自由闊達な社風の推進と店舗ブランド「カラー・ザ・デイズ」の価値向上を経営方針として掲げた。社長就任に先立って全国の営業拠点の副所長を従来の2倍に増員し、店舗でトラブルが発生した際に手厚い支援ができる体制を整備した。投資家との対話を重視する姿勢も明確にし、創業者が個人で牽引してきた企業から、組織として持続的に成長する企業への転換を宣言した。
河合映治は社長就任後もIT経営の深化を推し進めた。発注支援システムの精度向上に加え、2013年には重回帰分析を用いた人員配置検証モデルを導入し、店舗ごとの売上高や店員の勤続月数から適正な人員構成を算出できるようにした。データ活用の範囲を発注から人事領域にまで広げ、パート社員を含めた現場の生産性向上と働きやすい環境づくりを両立させる経営を志向した。創業者の退任によってセリアは個人商店的な経営から脱し、データとシステムを軸にした組織経営へと本格的に移行することとなった。