重要な意思決定
200711月

新店舗ブランド「Color the days」1号店を千葉県八千代市にオープン

背景

100円ショップの飽きられリスクと雑貨シフトの必要性

2000年代半ば、安さを武器に急成長してきた100円ショップ業界に変調の兆しが見え始めていた。大創産業が圧倒的な店舗数と商品数で市場を支配するなか、後発のセリアは品揃えの量では太刀打ちできず、価格も全社横並びの100円均一である以上、値段で差別化する余地もなかった。2004年にPOSシステムを全店導入し、2006年には発注支援システムを稼働させたセリアは、データに基づく品揃え最適化の基盤を整えつつあったが、店頭での顧客体験そのものを変える施策はまだ打ち出せていなかった。

100円ショップに対する消費者の印象は「安いが雑然としている」というものが根強く、来店動機が価格だけに依存する構造は業態としての脆さを抱えていた。セリアの商品構成は菓子食品の比率が相対的に高く、粗利率の低さが収益を圧迫する要因にもなっていた。客単価が100円均一で固定されている以上、利益率を高めるには粗利の高い雑貨の比率を引き上げる必要があった。同時に、雑貨を売るためには「この店で雑貨を買いたい」と思わせる売場づくりが不可欠であり、店舗のブランドイメージそのものを刷新する必要に迫られていた。

決断

おしゃれ雑貨の新業態「Color the days」を立ち上げ

2007年11月、セリアは千葉県八千代市に新店舗ブランド「Color the days」の1号店をオープンした。「日常を彩る」をコンセプトに掲げ、従来の「Seria 生活良品」とは明確に異なる店舗フォーマットを打ち出した。生活必需品を安く提供するという100円ショップの従来イメージから脱却し、インテリア雑貨やキッチン用品、手芸素材など、デザイン性を重視した雑貨を中心に据えた売場構成とした。店舗の内装や陳列方法も刷新し、雑貨店としての買い物体験を100円均一の価格帯で提供するという新しい業態の確立を目指した。

展開は新規出店と既存店の改装の両面で進められた。2009年3月には岐阜県羽島市にColor the daysの単独店をオープンし、新ブランドの店舗フォーマットを確立した。セリアは直営店比率の引き上げも並行して推進しており、FC店からの転換や新規の直営出店をColor the daysのフォーマットで行うことで、ブランド転換と直営化を同時に進める戦略をとった。2009年3月期末時点でColor the daysは22店舗にとどまっていたが、そこから加速度的に展開を拡大していく。

結果

雑貨比率の急上昇と業界2位への浮上を牽引

Color the daysの展開は急速に進んだ。店舗数は2009年3月の22店から2010年3月に81店、2011年3月に167店、2012年3月には240店に達した。直営店全体に占めるColor the daysの比率は2012年3月期末時点で約25%に上昇し、新規出店の大半がColor the daysのフォーマットで行われるようになった。雑貨の売上比率は2007年頃の約75%から2012年3月期には92.6%まで上昇し、売上総利益率も41.7%に改善した。100円ショップでありながら雑貨専門店に近い商品構成への転換が、利益体質の改善を牽引した。

業績面では、Color the daysの展開開始後にセリアの成長が加速した。2009年3月期に売上高でキャンドゥを抜いて業界2位に浮上し、2010年3月期からは4期連続の増収増益を達成した。2012年3月期には売上高936億円、営業利益77億円、営業利益率8.2%を記録し、前期比で営業利益は52%増となった。既存店売上高も前年比105%と高い伸びを示した。発注支援システムによるデータ経営と、Color the daysによるブランド刷新の両輪が噛み合ったことで、セリアは規模ではなく質で競争する独自のポジションを確立した。