重要な意思決定
減収減益・36期連続増収増益で途絶
背景
円安進行が「円高前提のSPA」を直撃し海外生産のコスト優位が逆転
ニトリのSPAモデルは、東南アジアで自社生産した家具・生活雑貨を円高環境下で日本に輸入し、低価格で販売するという構造の上に成り立っていた。2023年ごろから円安ドル高が急速に進行し、会社計画が前提としていた1ドル=130円の為替水準は大きく外れた。仕入れコストの上昇は商品開発と価格設定の前提を根底から揺さぶり、粗利率の維持が困難になっていった。
FY2023期末時点でニトリは国内822店舗・海外179店舗を展開していたが、売上構成は日本国内に大きく偏重していた。海外で生産し国内で販売するというモデルは、円高局面ではコスト競争力の源泉となるが、円安局面では仕入れコストの増大がそのまま収益を圧迫する。ニトリが長年にわたり構築してきたグローバル調達体制そのものが、為替の逆風を増幅させる構造に転じていた。
決断
決算月変更を経て36期連続増収増益の記録に終止符
ニトリは2023年度に決算月を2月から3月に変更した。翌2024年3月期の決算において前年度の12か月分と比較した結果、減収減益となった。これにより、1988年以降36期にわたって途切れることのなかった連続増収増益の記録に終止符が打たれた。決算月変更という技術的要因が介在するものの、円安によるコスト増という本質的な収益圧迫がその背景にあった。
36期連続増収増益という記録は、ニトリがSPAモデルと大量出店を両輪として成長してきた軌跡そのものであった。その途絶は、単年度の業績悪化にとどまらず、円高を前提に設計されたビジネスモデル全体が環境変化に対する適応を迫られていることを示唆する。国内市場の飽和と為替の構造変化という二つの課題に対して、ニトリがいかなる次の一手を打つかが問われる局面となった。