2021 年1月

島忠を買収・ホームセンターに進出

歴史的意義
DCMから横取りした1,650億円の買収が減損94億円に帰結した誤算

島忠買収はDCMとの経営統合交渉を覆す形で実現したが、買収後の統合は想定通りに進まなかった。「ニトリホームズ」へのブランド転換とニトリ商品の導入で集客を狙ったものの、ホームセンターの品揃えとの両立に苦戦。FY2023でセグメント利益21億円にとどまり、のれん316億円に対して店舗減損94億円を計上する事態となった。SPAモデルで成功したニトリの手法が、異なる業態であるホームセンターには直接移植できないことを示した。

背景

DCMとの経営統合交渉を覆す形でニトリが島忠へのTOBを実施

2020年12月、ニトリはホームセンターを運営する島忠(国内61店舗)に対してTOBを発表した。島忠はもともとDCMとの経営統合を交渉していたが、ニトリが提示した買収条件を受け入れる形でDCMとの統合交渉は白紙となった。2021年1月にニトリは島忠の買収を完了し、取得原価は1650億円、「のれん」を316億円計上した。

ニトリの狙いは、島忠の店舗網を活用してホームセンター事業に参入することにあった。島忠の店舗を「ニトリホームズ」にブランド変更し、ニトリの家具・生活雑貨を導入しつつホームセンターの品揃えを維持する方針を掲げた。ニトリのSPAモデルで培った商品開発力と、島忠の立地・顧客基盤を組み合わせることで、相乗効果を見込んだ。

決断

ブランド転換と商品導入が想定通りに機能せず、減損94億円を計上する事態に

しかし、買収後の統合は苦戦した。ニトリホームズへのブランド変更とニトリ商品の導入は集客の改善につながらず、FY2023の島忠事業は売上高1105億円・セグメント利益21億円にとどまった。2023年10月の取締役会では「島忠事業における経営課題に関する件」が審議されるなど、再建が経営課題として顕在化した。

2024年3月期にニトリは島忠事業の店舗に対して減損損失94億円の計上を決定した。のれん316億円に対して94億円の減損は、買収時の収益見通しが実態と乖離していたことを示す。ニトリのSPAモデルは自社で企画・製造した商品を自社店舗で販売する一貫体制に強みがあるが、ホームセンターという異なる業態への移植は、品揃えの構造や顧客の購買行動の違いによって想定した効果を発揮しなかった。