重要な意思決定
ベトナムでの現地生産を開始・集中生産体制へ
背景
インドネシアの教訓を踏まえ、完全子会社による直接管理でベトナム工場を設立
2004年9月、ニトリは完全子会社の「マルミツ」(2011年にニトリファニチャーへ商号変更)を通じてベトナムでの現地生産を開始した。インドネシア工場では間接運営(当初出資9%)で労務管理に苦戦した教訓を踏まえ、ベトナムでは設立当初から完全子会社として直接管理体制を構築した。1999年にはタイにも現地法人を設立しており、東南アジアにおける生産拠点の多角化を進めていた。
ベトナム工場は人員の大量採用によって急速に拡大し、2020年度末時点で従業員数約9000名を抱えるニトリの主力生産拠点に成長した。拡大に伴い、2017年にはインドネシア工場の操業を停止し、東南アジアの家具生産をベトナムに集約する体制へと移行した。似鳥昭雄が「製造5割・物流2割・小売3割」と語る通り、ニトリの事業の本質は小売業ではなく製造物流業であり、ベトナム工場はその製造部門の中核拠点であった。
決断
ベトナム生産による低コスト体制がリーマンショック時の値下げ原資を創出
2005年以降のベトナム生産の本格化により、ニトリは東南アジアで製造した安価な商品の品揃えを拡充した。円高ドル安環境下でベトナムの低人件費を活かした生産は、ニトリの価格競争力を構造的に強化した。この低コスト生産体制は、2008年12月に開始した「値下げ宣言」の原資となり、2009年のリーマンショック時にも値下げを実現する原動力となった。
消費低迷期に値下げを断行できた背景には、自前の海外工場から直接仕入れる体制があった。商社や卸を介さずに完成品を調達できるため、仕入れコストの変動を自社でコントロールする余地が大きく、ニトリは36期連続増収増益を支える価格設定の柔軟性を確保した。