重要な意思決定
19934月

日本イリジウム株式会社を設立

背景

モトローラ主導の衛星携帯電話構想

1990年に米モトローラ社は、人工衛星を経由して全世界で利用可能な携帯電話を実現する「イリジウム計画」を公表した。総投資額47億ドルを見込む大型プロジェクトであり、地上の基地局に依存しない通信網の構築を目指した。1997年5月にモトローラは人工衛星の打ち上げを実施し、サービス開始の技術的準備を整えた。

DDIはイリジウム計画への参画を決定し、1993年に子会社「日本イリジウム」を設立した。出資比率はDDIが58%、京セラ10%、ウシオ電機5%、セコム5%、三井物産5%、ソニー5%などであり、DDIが過半を握る出資構造であった。DDIとしては国際通信領域への布石という位置づけであった。

決断

高コスト構造と携帯普及による計画の破綻

イリジウムのサービスは月額基本料金50ドルと高額であり、端末の小型化も困難であった。加えて1990年代後半に地上基地局型の携帯電話が急速に普及したことで、衛星経由の通信が持つ優位性は実質的に消滅した。加入者獲得は想定を大きく下回り、モトローラ主導のイリジウム計画は2000年までに頓挫した。

DDIの子会社であった日本イリジウムは事業停止に追い込まれ、負債総額106億円で倒産した。DDIは2000年3月期に「イリジウム事業整理損」として374億円の特別損失を計上し、衛星通信への投資を全額損失処理する結果となった。