重要な意思決定
20194月

首都圏に進出

背景

九州から西日本・中部への段階的拡大の先に

コスモス薬品は2004年の山口県進出を皮切りに、中国・四国地方(2005年〜2012年)、関西地方(2010年〜)、中部地方(2015年〜)と、九州を起点に地続きで出店エリアを拡大してきた。「インクが染み出すように」という表現に象徴されるドミナント出店を一貫して採用し、新規エリアでも物流網と店舗密度を段階的に構築してから次のエリアへ進む手法を取っていた。

創業者の宇野正晃は長年にわたり関東進出を宿願としていたが、「地盤をしっかり固めてからでないと、東京に出てもすぐ倒れてしまう」と慎重な姿勢を貫いてきた。2018年には北陸(福井県)にも進出し、西日本から中部にかけての出店基盤が整った。宇野はこの時点で72歳。代表権のない取締役会長として経営の第一線からは退いていたが、関東進出という創業以来の目標が現実味を帯びていた。

決断

東京・広尾駅前に関東1号店を出店

2019年4月、コスモス薬品は東京都渋谷区の東京メトロ広尾駅前に関東1号店を開店した。宮崎県延岡市の66平方メートルの薬局から出発した企業が、創業から36年を経て日本の首都圏に到達した。

関東進出にあたっては、都市部の立地特性を踏まえた出店を行いつつも、商品構成やオペレーションの基本方針は全国共通のフォーマットを維持した。EDLP戦略も首都圏で同様に適用し、ポイントカードなし・チラシなしの運営を貫いた。宇野は「生きている間に出られて良かった」と周囲に漏らしたと伝えられている。同年6月には全国の店舗数が1,000店を突破した。

結果

年間100店超の出店ペースで首都圏に浸透

関東進出後、コスモス薬品は出店ペースを大きく加速させた。2021年5月期に78店、2022年5月期に120店、2023年5月期に118店、2024年5月期に139店と、年間100店を超える新規出店を継続した。2024年5月期末時点で関東地区は148店舗・売上高894億円に達した。

首都圏での大量出店は、物流網の新設を含む大規模な投資を必要とした。従来は営業キャッシュフローの範囲内で投資を賄う実質無借金経営を維持してきたが、関東・中部への出店加速に伴い銀行借入を活用する局面に入った。有利子負債は2022年5月期の90億円から2025年5月期の428億円へ増加したが、これは攻めの投資の結果であった。