重要な意思決定
20128月

大王製紙の株式取得

背景

業界再編の主導権を狙い大王製紙の創業家から株式を取得

2012年に北越製紙は、業界再編を主導する意図のもとで大王製紙の株式22.3%を創業家から取得した。大王製紙では2011年に創業家出身の前会長による巨額借入事件が発覚し、創業家の影響力が低下していた時期にあたる。北越製紙の岸本社長は、大王製紙を関係会社として取り込むことで製紙業界における発言力を強化し、王子製紙や日本製紙に対抗する第三極の形成を構想した。

しかし大王製紙の経営陣は、北越製紙による実質的な支配を警戒して強く反発した。創業家の持株を外部企業が取得したことに対する危機感が大王製紙の内部で共有され、北越製紙との統合に向けた協議には応じない姿勢を鮮明にした。株式を取得しただけでは経営統合には至らず、資本関係と経営関係の乖離が両社の間に生じた。

決断

大王製紙が転換社債発行で対抗し北越製紙は提訴で応酬

2015年に大王製紙は300億円の転換社債の発行を決定した。転換社債が株式に転換されれば北越製紙の持分比率が希薄化するため、北越製紙は大王製紙の経営陣を相手取り提訴に踏み切った。しかし2020年の訴訟で北越製紙は敗訴し、法的手段による再編推進は頓挫した。北越製紙は大王製紙を関係会社として保有し続けるものの、経営に関与できない膠着状態が長期化した。

この資本関係の歪みは、2021年以降のオアシスによるキャンペーンにおいて顕在化した。オアシスが岸本社長の解任を株主提案した際、大王製紙の関連会社である大王海運(北越コーポレーション株式9.97%保有)はオアシスに同調する姿勢を見せた。再編を仕掛けた側の北越製紙が、被買収対象であった大王製紙系の株主から経営刷新を迫られるという立場の逆転が生じた。