重要な意思決定
1985

郊外おもちゃ専門店「BANBAN」の展開開始

背景

靴事業に続く第二の成長軸探索

靴のマルトミは、靴小売を中核とした多店舗展開によって事業規模を拡大してきたが、店舗数の増加に伴い、単一業態への依存が事業構造上の論点として浮上していた。靴市場は生活必需性が高い一方で、需要変動が緩やかであり、新規出店による成長余地には限界が見え始めていた。

こうした状況の中で、同社は靴に次ぐ事業領域として、郊外型立地と相性の良い小売業態を検討していた。家族客を主な来店層とし、回転率と客単価の両立が可能な商材として、おもちゃが候補に挙がった。靴店舗で培ったロードサイド出店や多店舗運営の知見を転用できる点も、検討を後押ししていた。

決断

郊外型おもちゃ専門店の業態化

1985年、靴のマルトミはおもちゃ専門店「BANBAN」の展開を開始した。店舗は郊外型立地を基本とし、駐車場を備えたロードサイド型店舗を中心に出店された。取り扱い商品は玩具を主軸とし、年齢層や性別を限定しない構成とすることで、家族単位での来店を想定した。

業態設計にあたっては、同業他社が先行して展開していた郊外型おもちゃ専門店の事例を参照しつつ、靴事業で確立していた多店舗管理や仕入れの枠組みを適用した。靴とは異なる商品回転や季節性を持つ商材であったが、独立した事業として位置付け、出店判断と運営体制を分けて進める方針が取られた。

結果

多業態化による事業領域拡張

BANBANは郊外型立地と家族客を軸とした店舗構成により出店を重ね、靴事業とは異なる顧客接点を形成した。玩具という非日常性の高い商材を扱うことで、来店頻度や購買動機は靴とは異なる特性を示し、事業ポートフォリオの幅が広がった。

この取り組みにより、靴のマルトミは靴小売に依存しない収益源を持つ体制へと移行した。おもちゃ事業は単独での拡大を前提とした業態として位置付けられ、その後の多業態展開における一つの基盤となった。靴事業で蓄積した出店と運営のノウハウを、異業種小売へ転用した事例となった。