WUTHELAM HDとのアジア合弁事業8社を連結化
マイノリティ出資で半世紀続いたアジア合弁事業の利益取込みを本格化
2014年12月に日本ペイントはウットラム社と「戦略的提携」を締結し、1962年以来のアジア事業における合弁会社8社の連結化を決定した。合弁8社の展開地域は中国・マレーシア・シンガポールの3カ国であり、いずれも日本ペイントが25〜50%の株式を保有する非連結の関係会社であった。半世紀にわたるマイノリティ出資構造のもとでNIPSEA事業は急成長を遂げていたが、利益の大部分は日本ペイントの連結決算には反映されていなかった。
日本ペイントは合弁8社について保有比率を51%まで引き上げることで連結化を実現した。ウットラム社への第三者割当増資(2014年6月)からわずか半年後にアジア事業の連結化が決まったことは、増資によるウットラムとの関係深化とアジア事業の取り込みが一体の構想として設計されていたことを示唆する。
取得原価2965億円で連結化を実施し段階取得差益1488億円を計上
合弁8社の連結化にあたり日本ペイントは2965億円を取得原価として計上した。1960年代にマイノリティ出資で参画して以来、合弁会社の企業価値が大幅に増加していたことから、段階取得に係る差益として1488億円を特別利益に計上した。また取得に伴うのれんとして1904億円を計上した。
この会計処理は、半世紀にわたるマイノリティ出資期間中に蓄積された含み益が、連結化という資本操作を通じて一時に利益として顕在化する構造を示している。NIPSEA事業の長年の成長が日本ペイントの連結決算に反映されてこなかった分が、連結化を契機に差益として表面化した。
中国事業の売上計上により日本ペイントの財務構造が転換
2016年3月期から日本ペイントはアジア事業における売上計上を開始した。地域別では中国における売上貢献が特に大きく、日本ペイントの連結売上高は連結化を境に大幅な増収を記録した。国内塗料市場の成熟が進むなかで、中国を中心とするアジア事業がグループの成長エンジンとして機能する構図が鮮明となった。
それまでロイヤルティ収入が中心であったアジア事業からの収益が連結売上・利益として直接計上されるようになったことで、日本ペイントは国内中心の塗料メーカーからアジア事業を収益の柱とする企業へと財務構造が転換した。