重要な意思決定
NIPSEAグループで中国市場に注力を表明
背景
東南アジア塗料市場の成熟を予見したゴー氏が中国市場に着眼
1982年の時点でウットラム社の創業者であり、NIPSEAの経営者であるゴー・チェンリャン氏は、1960年代から展開してきた東南アジアにおける塗料事業の成熟化を予見した。すでに東南アジア各国で高いシェアを確保していたNIPSEAにとって、既存市場での成長余地は限られつつあった。ゴー氏は企業グループ全体では病院・百貨店などへの多角化を進める一方、塗料事業においては新たな成長市場の開拓を模索していた。
ゴー氏が中国市場に着眼した理由は、欧米市場では既に競合が確立されており参入が困難と判断したことにあった。1982年時点の中国は市場経済が導入されていなかったが、ゴー氏は将来的な市場化を予見して中国を次の主力市場と位置づけた。市場経済の導入前という段階で中国の成長可能性を見極めた判断は、NIPSEAが1990年代前半から中国進出を本格化する布石となった。
決断
競合が未確立の中国を次の主力市場と定め早期進出の方針を確立
ゴー氏の予見に基づき、NIPSEAグループは1990年代前半から中国への進出を本格化した。中国の経済成長と都市化の進展により建築用塗料の需要が爆発的に拡大し、NIPSEAの中国事業は急成長を遂げた。中国市場はNIPSEA事業における売上・利益の最大の柱に育ち、グローバル展開の中核に位置づけられるようになった。
ゴー氏の中国市場への着眼は、欧米市場と東南アジア市場の双方に制約を感じた経営者が消去法的に残された最大の未開拓市場を選択したという構造的な判断であった。競合が確立されていない市場を選んで先行参入するという方針は、1962年のシンガポール進出時から一貫しており、中国進出はその延長線上に位置づけられる。NIPSEAの成長は先見性によるものであると同時に、競合回避という一貫した市場選択の帰結でもあった。