上場企業の経営論点>資本市場・株主
資本提携と政策保有
資本提携の意味は、技術を借りる対価から、解いて説明すべき拘束へ反転した。戦後の技術導入では、相手に株式を持たせることが条件だった。パナソニックはフィリップスと対等の条件を交渉し、デンソーはボッシュに品質基準を借り、アズビルは米ハネウエルと50対50の折半出資で工業計器へ参入する。高度成長期には企業集団内の持ち合いが重なり、株式は安定株主の確保にも使われた。技術が自立すると株式は費用へ変わる。アズビルは自己株式の取得で49年続いた提携を終え、マツダは36年に及んだフォードとの資本関係を解いている。2015年以降、政策保有株式は保有目的と検証結果の開示を求められる。東京海上HDは2029年度末までに上場株式の残高をなくすと決め、ヤマハはヤマハ発動機株1,800万株を売却して自己株式の取得に充てた。株式で結んだ関係は、保有理由を数字で示せなければ解かれる。
財務諸表のどこを見るか
見るのは「株式の保有状況」である。純投資目的以外の投資株式について、銘柄数と貸借対照表計上額の合計、個別銘柄の株式数の増減、保有目的と定量的な保有効果、取締役会の検証結果が書かれる。合計額を純資産で割れば、資本のどれだけが取引関係の維持に使われているかが出る。売却が進めば特別利益の投資有価証券売却益が立ち、包括利益のその他有価証券評価差額金は縮む。提携の側は関係会社の状況で持分比率と持分法適用の別を確かめる。
2020年代
米Ontoと資本業務提携 カーライル系ファンドが保有する株式27%の提携先への移管と、株主構成の入れ替え 壱番屋の非公開化検討 上場を続けるかどうかを含めた、子会社の位置づけの見直し ハウス食品による非公開化検討 親会社による非公開化の検討と、上場子会社としての11年 デジタルガレージへ出資 約500億円の追加出資と持ち分法適用会社化、その半年後に生じた449億円の評価損 日本郵船によるTOBで非公開化 公開買付けへの賛同と、日本製鉄の持分縮小をともなう上場の取りやめ ライズコンサルへの出資 資本を投じての事業領域の拡張と、かつて手がけた領域への回帰 ヤマハ発動機株1,800万株を売却 政策保有株式の縮減と自己株式の取得・消却 米ファラロンの株主提案 社外取締役2名選任と政策保有株売却の要求に対する、全議案の否決 エリオットの株主提案 アクティビスト・住友不動産の対応 山下通郎氏が生え抜き社長就任 通産省OB社長からの交代と創業以来初の生え抜き社長の起用、下限配当引き上げによる株主還元方針の見直し 長期ビジョン2030へ資産振替 政策保有株式・遊休不動産の売却と、3年で最大1,400億円の設備投資への振り替え ケーヨーの完全子会社化 持分法適用だった関連会社の全株取得と、本体への吸収合併 2026中計でROIC導入 ROICとWACCの比較に基づく事業別の立て直しと政策保有株式の売却 鴻海からの出資受け入れ検討 自動車機器事業を会社分割で切り出した三菱電機モビリティの設立と、外部資本への開放 コスモエネルギー株取得 株式の取得に踏み込んだ資本業務提携による関係の強化 大和証券と資本業務提携 証券大手を引受先とする519億円の第三者割当増資による資本の受け入れ 丸紅の出資受け入れ 第三者割当増資による20%の資本参加と、総合商社の持分法適用関連会社化 政策保有株ゼロ化 2029年度末までに上場株の残高をなくすと決め、取引関係を株式で結ぶ慣行を捨てた 名古屋鉄道と資本業務提携 創業者に代わる筆頭株主の登場と、資本の後ろ盾の入れ替え オリエンタルランド株を売却 保有株の一部を手放すことによる資本配分の見直しへの着手 キリン堂と持分法提携 完全子会社化に踏み込まない、持分法にとどめた資本参加 KDDIとの資本業務提携 NTTグループの傘下からの離脱と、組む相手の乗り換え 商船三井と業務提携 14.86%の株式を持たせて結んだオフショア事業での連携 東芝グループからの独立 東芝による保有株式の段階的な処分と芝浦メカトロニクスの独立企業化 NTTドコモとの共同持株会社 設立と、マネックス証券の持分法適用会社化 森永乳業株の政策保有縮減 プライム移行に合わせた持ち合いの解消と統治の形の立て直し 凸版印刷からフォトマスク事業承継 無対価での事業承継と、投資ファンドによる49.9%取得 自己株式取得を6,000億円へ 上限1,500億円から3年で拡大した株主還元と、消却による発行済株式の削減 日立製作所の保有株売却 保有株26%の放出と、伊藤忠・日本産業パートナーズ連合への筆頭株主の異動 プライム上場と資本独立 富士通・パナソニック・日本政策投資銀行という親会社株主からの離脱 楽天証券への出資 資本業務提携——対面のみずほ、ネットの楽天 オアシスのキャンペーン開始 「より「強い」北越」を掲げた外部からの経営改善要求 UDトラックスの取得 ボルボとの戦略的提携と引き換えに手にした国内商用車大手 双日との資本業務提携 主要取引行4行を割当先とする優先株式による資本増強 米ジェフリーズと資本提携 海外投資銀行の機能を自前ではなく提携で補うという選択 LINEからの第三者割当増資 未来Fund有限責任事業組合も加えた総額300億円の資本の受け入れ AVIが株主提案 増配・自社株買いと、ヒューリック政策保有株の売却を迫る要求 米Aircastleの買収 単独ではなく丸紅と組んだ共同買収と、議決権25%の取得
2010年代
英ロイバントとの提携 戦略的提携によるスミトバントの子会社化と、相手方株式11%の取得 みずほとの資本業務提携 メガバンクの持分法適用関連会社化と、それに伴う商号変更 東京電力との合弁JERA設立 国内火力発電事業の全面移管による発電資産の切り出し 日本農薬の連結子会社化 1928年に分離した相手を公開買付けと第三者割当増資で51%まで戻す資本の再結合 三菱商事と資本業務提携 総合商社を筆頭株主に迎える資本の受け入れと、TOYO TIREへの改称 米アフラックに7%出資 出資を通じた、持分法適用をめざす戦略提携 中国平安保険との資本提携 第三者割当による外資の筆頭株主化と、業務面まで含めた協業関係の構築 合弁でペプチスター設立 塩野義製薬・積水化学工業と三社で担う原薬製造の内製化 日本電気の子会社化 公開買付けによる、その他の関係会社から親会社への関係の転換 富士通との資本関係解消 親会社による全株売却と、後ろ盾を失って始まる独立経営への移行 トヨタとの資本業務提携 米アラバマ折半合弁の設立 グラフィックコントロールズの買収 メディカルへの事業転換 — Graphic Controls 買収に始まるCDMOシフト 日立キャピタルと業務提携 単なる業務提携にとどまらない、資本を伴う提携関係の構築 任天堂との資本業務提携 相互出資を伴う、スマートデバイス向けゲームの共同開発への踏み込み 三井住友FGとの資本提携 約80億円の第三者割当増資による大手金融グループの資本受け入れ パイオニアAV事業の取得 投資ファンドを交えた当初スキームの組み替えと、全株取得への切り替え KDDIと資本業務提携 インターネット直販一本からの脱却と、多チャネル化への転換 フォードとの提携解消 36年に及ぶ資本関係の終了と、自主独立路線への転換 ハウス食品の子会社化 創業家保有株23.17%の譲渡による独立経営の手放し CITICへの出資提携 6890億円を投じての資本参加と、中国の企業集団との戦略的な提携 イオンの連結子会社化 公開買付けへの賛同と傘下入り、M&Aによる規模拡大の加速 北越紀州製紙経由で株式取得 創業家との資本関係の解消と、関連会社等株式の買い戻し ViiVへHIV事業移転 合弁持分を手放す代わりに受け取った相手方株式10%の保有 Cygames株をDeNAへ一部譲渡 子会社株式460株の譲渡と引き換えに結んだ資本業務提携 中国・富通集団と資本提携 第三者割当増資による筆頭株主の交代と、業務面まで踏み込んだ協業 PEファンドOEPと資本提携 JPモルガン系ファンドを筆頭株主に迎えた、約103億円の資本業務提携 三菱商事・日揮の資本参加 環境・水処理事業の分社再編と、水事業子会社 日本政策投資銀行へCB発行 森トラストの増資提案の見送りと、150億円の資金調達先の選び直し 新和海運と日鉄海運が合併 郵船系と新日鉄系の2社の統合による、NSユナイテッド海運の発足 ジュピターテレコムへの資本参加 自社網の積み増しから327万世帯の顧客基盤の持分取得への転換
2000年代
カーライル・ペプシコとの資本提携 外部資本を迎え入れた業務提携と、東証一部への上場 親会社が米Graingerに交代 自己株式取得と公開買付を通じた、住友商事の傘からの離脱 キーエンスへ第三者割当増資 45億円の払い込みと引き換えに議決権の4割を明け渡す資本提携 フォルクスワーゲン提携解消 独最大手との資本提携と、一年九カ月で終わった蜜月の終幕 大和証券SMBCの合弁解消 三井住友保有40%株の買取による完全子会社化 東芝不動産の株式取得 ジオ・アカマツの全株式と65%の持分取得による商業・賃貸ビル事業の拡張 双日への第三者割当増資 商社を引受先に迎えて資本を入れ直すことによる債務超過の解消 イーバンク銀行を傘下化 200億円の出資による銀行の取り込みと、金融事業の中核への据え直し ブリヂストンと資本提携 業界首位を相手にした業務提携と、対等ではない株式の持ち合い トヨタとの資本提携 出資比率16.5%の受け入れと、実質的なグループ入りの選択 モルガン・スタンレー出資 リーマン危機のさなかに踏み切った米投資銀行への90億ドルの資本投入 三菱UFJの連結子会社化 メガバンク傘下への移行と、それでも手放さなかった上場の維持 三菱UFJの系列入り 20%出資の受け入れと、日本信販の個品割賦承継 ミタルと提携し資本防衛 世界最大手の攻勢に備えた提携覚書の締結と、3社連合による資本防衛 シャープと資本提携 同業大手からの出資受け入れと、業務面まで踏み込んだ関係の構築 三菱商事との資本提携 自己株式162万株の譲渡による資本・業務両面での結び付き 住信SBIネット銀行の設立 住友信託銀行との折半出資で銀行業へ入り、連結子会社にはしなかった選択 米ユニシス株の全売却 保有株の全売却による日米合弁体制の解消と独立経営への移行 三菱商事から後継者招聘 社長職の世襲を退け、自己株式の処分と引き換えに三菱商事から後継を迎えた承継 住友製薬との合併 社名を改め、化学系グループの一員へと位置づけを変える再編 帝国石油株を買い増し 国際石油開発との経営統合案への反対と、20%超まで持分を高めた対抗 NTTとの合弁会社化 自動車リース子会社を50対50の対等出資へ組み替える再編 ダノンとの戦略提携 世界最大手の乳製品会社との連携と、16年後の資本関係の解消 「ラービグ」への進出 サウジ・アラムコとの折半出資による石油精製と石油化学の一体運営 髙島屋とカード事業提携 系列の枠を越えて百貨店と組み、特定の資本系列に偏らない提携方針への転換 GE事業を閉じ電通単独に 祖業の閉鎖を伴う資本と事業の整理と、単独親会社体制への移行 新日鉄と資本提携 神戸製鋼所を加えた三社での相互出資と、国内鉄鋼再編に向けた足場固め スイス・ロシュとの提携 資本業務提携と引き換えに差し出した経営権の過半の譲渡 新日鉄と相互出資 住友金属工業と結んだ株式の持ち合いと、23年後に迎えたその解消 中国ハイアールと資本提携 「箱舟経営」を掲げ、普及品市場を相手に譲り渡す選択 ハネウエルとの資本解消 保有株1,099万株の自己株式取得による、49年続いた提携の終幕 個人株主10万人構想 株主を「ファン」へ変えることによる、値動きで動かない持ち手の厚み付け 東証一部への上場 創業から100年を経ての株式公開——資金需要のないまま選んだ資本市場入り ビスキャスへ事業切出 電力ケーブル事業の古河電工との合弁への移管と、15年後の国内事業の振り分け サンディスクとNAND生産で合弁 四日市工場の増産投資を米社と折半し、設備を自前で抱える形を手放した選択 米マーチファーストと合弁 米SIPS最大手と組んだネット時代のコンサルティング事業への進出 ダイエーからローソン株取得 取引先からの株式取得と、資本業務提携への踏み込み 郵政事業庁と宅配便連合 宅配便連合構想の提示と、共通ブランドをめぐる協議の開始 AT&T Wirelessへ出資 iモード・W-CDMAの世界展開を狙った海外通信事業者への約1.9兆円出資
1990年代
米HPとの合弁解消 36年続いた合弁の清算と、持分売却による単独経営への移行 住友銀行との資本提携 証券業界初の純粋持株会社化 ソニー出資による再建 「一太郎オフィス8」の失速による初の赤字と、人員削減を伴う外部資本の受け入れ 三井物産・トヨタへ増資要請 三井グループ各社への総額約 スイス銀行との資本提携 業務・資本の両面で組む投資銀行への転換と、住友信託銀行への合併申し入れ 米ヤフーとの合弁設立 米国企業との共同出資による国内法人の設立と日本での事業展開 東芝との資本提携解消 36年に及ぶ親会社の傘からの離脱と、大朏直人氏個人による株式取得での独立 米ボーデンとの提携解消 事業運営の移管提案を拒み、20年続いた関係を断つ選択 三菱電機と資本業務提携 筆頭株主として大手を迎え入れることで描いた経営再建の道筋
1980年代
1970年代
1960年代
ボーグ・ワーナーと合弁 AT特許の壁を折半出資の合弁会社設立で乗り越えた選択 芙蓉グループ6社による共同設立 丸紅飯田と富士銀行を軸とする共同出資による総合リース会社の設立 米ITWとの合弁設立 日英物産との出資による日本工業ファスナーの立ち上げ 日本郵船グループへ系列編入 海運集約のもとでの独立経営の断念と、大手グループ傘下入りという選択 仏ロレアルと技術提携 国内資本にこだわらず、外資との合弁を受け入れる道の選択 新城工場建設で立て直し 首位を明け渡した後の巻き返しと、島崎敬夫社長による経営刷新 ダンロップから経営権移管 住友電気工業を中心とする日本側への経営権の移行と、住友ゴム工業への商号変更 住友グループに加入 磐城セメントの企業集団入りと、住友セメントへの商号変更
1950年代
日本ベークライトとの合併 住友化工材工業との合併と、住友化学傘下での新会社の発足 三菱セメントを設立 石炭に代わる事業の選定と、系列各社の共同出資による別会社方式での参入 米ハネウエルと資本提携 50対50の折半出資と、工業計器・空調制御機器・マイクロスイッチの包括的な技術導入 ボッシュとの資本業務提携 外部の品質基準と製品領域を借りることで築いた技術自立の土台 フィリップスと技術提携 「5分と5分、対等である」を貫いた条件交渉と、対等での技術導入 ウエスチングハウスと再提携 技術・資本両面での関係の復活と、「三菱」商号の存続 米グッドリッチとの合弁設立 技術を持つ相手と組んで興した新会社による塩化ビニル樹脂の国産化