GMOペイメントゲートウェイ三井住友FG・SMBCとの資本業務提携と約80億円の第三者割当増資
銀行の加盟店基盤とEC決済の技術を、どの持ち分で組み合わせるか
- 概要
- 2015年6月9日、GMOペイメントゲートウェイは三井住友フィナンシャルグループ・三井住友銀行・親会社のGMOインターネットと資本業務提携契約を締結し、三井住友銀行とGMOインターネットを割当先とする第三者割当増資で約80億円を調達した。同年11月には三井住友銀行との合弁会社を設立した経営判断。
- 背景
- 2015年9月期の連結売上高は90.3億円で前年比25.3%増。オンライン決済では地歩を固めていたが、銀行が抱える加盟店基盤や対面決済には手が届いていなかった。三井住友銀行の側もグループ会社で決済代行を手がけながら、EC向けの実績には乏しかった。
- 内容
- 2015年6月25日に普通株式2,587,300株を発行して7,999,931千円の払込を受け、資本金は47億1,024万円となった。三井住友銀行は1,250,800株・議決権3.36%を取得。11月2日には資本金3.1億円のSMBC GMO PAYMENT株式会社を設立した。
- 含意
- 合弁の議決権は初年度が三井住友銀行80%・GMOペイメントゲートウェイ20%で、2年目以降に49%まで引き上げる設計であった。2016年9月には対面決済のGMOフィナンシャルゲートを子会社化し、2022年9月期の連結売上高は502.9億円と提携時の5.6倍に達した。
3.36%という距離のとり方
この提携で目を引くのは、銀行に渡した株式の少なさである。三井住友銀行の持株比率は3.36%で、親会社のGMOインターネットは51.65%を保った。資本の関係を薄く保ったまま、業務の実体は別会社の合弁へ移し、その合弁では逆に銀行が8割を握る。どちらの側も相手に主導権を渡さずに済む配分で、提携の重みは株式ではなく、合弁が扱う加盟店の側に置かれていた。
設計の一部は後に書き換えられている。GMOペイメントゲートウェイが2年目以降に49%まで持分を引き上げるという当初の取り決めは実現せず、2021年4月の資本構成見直しで同社の持分は40%となり、筆頭は三井住友カードの50%に替わった。提携から7年後の2022年9月期、本体の連結売上高は502.9億円まで伸びている。銀行と組んで得たものは合弁の議決権ではなく、対面決済まで含む決済の商流に手が届く位置であった。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
背景
25%成長を続けるオンライン決済会社
2015年9月期の連結売上高は9,030,892千円で前年同期比25.3%増、営業利益は2,977,270千円で同20.2%増、当期純利益は1,853,449千円であった。売上の内訳はランニング売上が4,839,648千円、加盟店売上が3,664,591千円で、月次の固定費と処理量に応じた課金が収益の柱を成していた。「GMO-PG送金サービス」の提供開始や「GMO後払い」の伸長も寄与している。従業員は309名で、決済代行専業として国内上位の位置にあった[1][2]。
拡大の方向は二つに伸びていた。ひとつは海外で、2012年10月のシンガポールを皮切りに、香港・マレーシア・台湾・タイへ2014年までに拠点を置いている。もうひとつは決済の周辺にある金融サービスで、後払い決済を担うGMOペイメントサービスを2013年1月に設立し、送金や早期入金といったマネーサービスビジネスに手を広げた。いずれも運転資金と信用力を要する領域で、決済代行の手数料収入だけを積み上げる段階からは離れつつあった[3][4]。
銀行の加盟店基盤との距離
三井住友銀行の側にも欠けているものがあった。同行はグループ会社で決済代行を手がけていたものの、EC向けの実績には乏しかった。日本経済新聞は、新会社の設立でGMOペイメントゲートウェイのノウハウを取り込む狙いがあり、GMOペイメントゲートウェイの側は三井住友銀行が抱える厚い顧客基盤を使えるようになると報じている。片方に技術と加盟店運用の蓄積があり、もう片方に法人取引の網がある。組み合わせの理屈は明快であった[5]。
提携前のGMOペイメントゲートウェイは、オンライン決済に寄った事業構成であった。店頭の端末を通す対面決済は持分法適用関連会社のシー・オー・シー(後のGMOフィナンシャルゲート)が扱うにとどまり、連結の内側には入っていない。銀行がカード加盟店の獲得と入金を担う対面の世界と、加盟店のサイトに決済画面を組み込むオンラインの世界は、当時なお別々の商流であった。銀行と組むことは、その境目をまたぐ最も短い道筋にあたる[6]。
決断
4社契約と約80億円の第三者割当増資
2015年6月9日、GMOペイメントゲートウェイは取締役会で、三井住友フィナンシャルグループ・三井住友銀行・親会社のGMOインターネットとの資本業務提携契約の締結と、三井住友銀行およびGMOインターネットを割当先とする第三者割当による新株式の発行を決議した。契約は同日付で締結され、新株の払込は6月25日に完了している。発行した普通株式は2,587,300株、払込金額は7,999,931千円で、資本金は47億1,024万円となった[7][8]。
引受けの内訳は、メガバンクを株主に迎えつつ親会社の持分を薄めない設計であった。三井住友銀行は1,250,800株を取得し、2015年9月30日時点の持株比率は3.36%となった。日本経済新聞はこの取得額を約38億円と報じている。同じ増資でGMOインターネットも引き受けており、期末の持株比率は51.65%と過半を保っている。銀行の資本参加は3%台にとどめ、支配関係は動かさないまま提携の証しを株式に置いた形になる[9][10]。
合弁SMBC GMO PAYMENTの持ち分設計
提携の実体は、株式の持ち合いよりも合弁会社に置かれた。2015年11月2日、三井住友銀行との合弁でSMBC GMO PAYMENT株式会社を設立した。資本金は初年度3.1億円、議決権の持分は初年度が三井住友銀行80%・GMOペイメントゲートウェイ20%で、2年目以降にGMOペイメントゲートウェイが増資して49%まで引き上げる取り決めであった。代表者は三井住友銀行から1名、GMOペイメントゲートウェイからは取締役の村上知行氏が就き、事業開始は2016年1月を予定した[11]。
合弁の役割は、三井住友銀行の顧客に対して、GMOペイメントゲートウェイと同等の決済手段を備えた決済代行サービスを提供することにあった。三井住友フィナンシャルグループの社史も、2015年6月に4社で資本・業務契約を締結し、同年11月に三井住友銀行51%・GMOペイメントゲートウェイ49%の出資でSMBC GMO PAYMENTを設立したと記している。GMOペイメントゲートウェイは同じ期の決算説明資料で、この提携と第三者割当増資による約80億円の調達を並べ、「経営基盤の強化」として掲げた[12][13]。
結果
対面決済の連結と売上5.6倍
提携の翌年、事業の形が変わった。2016年9月、持分法適用関連会社であったGMOフィナンシャルゲート株式会社を子会社化し、店頭端末を使う対面決済の処理機能が連結の内側に入った。2016年9月期の連結売上高は121.1億円、営業利益は38.2億円で、前期の90.3億円・29.8億円から一段伸びている。オンラインに寄っていた事業構成へ対面決済が加わり、銀行の加盟店をめぐる商流にも接点ができた[14][15]。
合弁の持ち分は、当初の設計どおりには進まなかった。2021年4月、三井住友フィナンシャルグループはキャッシュレス決済戦略の強化を理由にSMBC GMO PAYMENTの資本を増強し、資本構成を三井住友カード50%・GMOペイメントゲートウェイ40%・三井住友銀行10%へ組み替えている。合弁は同社の持分法適用関連会社にとどまった。一方で本体の規模は、2022年9月期の連結売上高502.9億円・営業利益162.4億円と、提携時の5.6倍に達した。GMOフィナンシャルゲートは2020年7月に東証マザーズへ上場している[16][17]。
- GMOペイメントゲートウェイ 有価証券報告書 第22期(2015年9月期)
- GMOペイメントゲートウェイ 有価証券報告書 第23期(2016年9月期)
- GMOペイメントゲートウェイ 有価証券報告書 第29期(2022年9月期)
- GMOペイメントゲートウェイ 有価証券報告書 第32期(2025年9月期)【沿革】
- GMOペイメントゲートウェイ 決算説明資料(2015年9月期)
- 日本経済新聞(2015年6月9日)「三井住友銀、電子決済代行の新会社 GMO系と組む」
- 三井住友フィナンシャルグループ SMBCグループ二十年史 第2編第5章「決済代行サービスの強化」