筆者の見解
系列を捨てることで得た自由
この判断の核心は、出自であるセゾングループの記憶をむしろ制約とみなし、それを断ち切ることで交渉の自由を得た点にあるのだろう。緑屋として西武の傘下に入り、セゾングループのクレジット中核として育った会社が、旧西武のライバルである髙島屋と組む選択は、来歴からすれば逆説的である。だが林野宏社長にとって、系列は守るべき資産ではなく、規模の競争で優位に立つうえで捨てるべき制約であった。丸井、ローソン、りそな、そして髙島屋と、かつての対立相手を次々に提携先へ変えていく身のこなしに、系列を捨てることで動きの自由を得るという発想がうかがえる。
もっとも、系列を超えた提携の束が、そのまま盤石の優位を約束したわけではなかった。シェアを足し合わせて描いた17.9%という数字は、あくまで提携先を寄せ集めた合計であり、緩やかな連合が一枚岩の競争力に転じるかどうかは、その後の統合運営に委ねられていた。実際、クレディセゾンは2006年にUCカードを吸収合併し、連合を資本の内側へ取り込む方向へ進んでいく。等距離政策で広げた提携の輪を、どこまで自社の収益基盤へ集約し直せるかが、系列を捨てた同社に残された問いであっただろう。
Yutaka Sugiura, 2026年7月