クレディセゾンの直近の動向と展望
クレディセゾンの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。
セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。
直近の動向と展望
スルガ銀行資本参加と新中計1,000億円目標
2023年7月、クレディセゾンはスルガ銀行株式会社に資本参加し、同行を持分法適用会社とした。両社は「Non-Bank×Bank」連携の枠組みを掲げ、コラボレーションローン・住宅ローン保証・不動産ファイナンスの共同開発を進めた。この持分法適用会社化によって2024年3月期には負ののれん発生益が計上され、連結純利益は前年比+67.4%の729億円へと伸びた。会計上の一過性要因ではあるが、国内ファイナンス事業の再編の象徴的な動きとして決算説明会でも強調された。地方銀行との提携は、国内で法人向けファイナンス事業の出口を広げる意味を持ち、クレディセゾンが長年築いてきた地域金融機関とのアライアンスの延長にある動きでもあった。
2024年4月、会社は新中期経営計画(FY24-26)を発表し、連結事業利益FY26目標1,000億円、ROE9.5%、自己株式取得700億円という数値目標を掲げた。中計期間中の配当性向30%以上、海外IR活動の拡充といった方針もあわせて打ち出し、資本政策の開示水準を従来よりも引き上げた。FY24-2Q決算では通期予想を期初の770億円から800億円へ上方修正し、新中計の1年目としてペイメント・ファイナンス・グローバルの3つの事業すべてが計画を上回る進捗となったことを強調した。インベストメント事業での出資先評価損という特殊要因を打ち返しながらの上方修正であり、本業の「稼ぐ力」の向上を繰り返し説明した格好である。
- 有価証券報告書
- 決算説明会 FY24
- 決算説明会 FY25
FY2024過去最高益936億円とインド事業4,100億円計画
2025年3月期の連結事業利益は936億円、純収益は4,228億円、ROEは9.4%となり、コロナ特別引当金取崩し約95億円を除いた実力値の840億円でも過去最高の水準を更新した。2025年度計画は連結事業利益960億円で、中計最終年度FY26の1,000億円到達に向けて残り2年の進捗は順調と説明している。自己株式取得は前年度に500億円を実行し、2025年度は中計枠700億円の残りの200億円を実施する予定で、配当は1株あたり120円から130円と5年連続の増配を見込む。株主還元の方針を具体的な数字で示していくことで、国内カード業界の成熟と海外レンディング依存という事業構造への投資家の側の警戒に、資本政策の側からも応える構えを取った形である。
Credit Saison Indiaは2024年度に債権残高3,000億円超を達成し、2025年度計画は4,100億円に置いた。支店数は2024年度実績の62店から2026年度計画の150店へ、エンベデッドファイナンスの提携先は12社から15社へと広げる。2024年12月に不良債権比率は1.4%まで上がったが、2025年3月には1.2%へと戻り、RBI(インド中央銀行)の引当方針の変更で貸倒引当金カバー率も42%から67%へと上昇した。水野社長は決算説明会で「第2のインドを目指す中で、2023年から事業をスタートし、約2年経過しましたが、現状のトラックレコードを見る限り、今回インドが成長したモデルを、ブラジルが一番踏襲できている」(決算説明会 FY25)と述べ、ブラジルを次の成長ドライバーとして位置付けた。支店網の拡大と引当方針の見直しによって、インド事業は量の拡大と健全性の両立を示す段階に入った。
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- 決算説明会 FY24
- 決算説明会 FY25
プレミアム戦略とNon-Bank×Bank連携
ペイメント事業は量を追わず、プレミアム会員と、法人カード・個人事業主カードの単価で稼ぐ路線を示した。2024年度の時点で稼働会員の20%にあたるプレミアム会員が、利益構成の45%を担う形となり、プレミアムカードのリボ残高単価は一般カードの約1.5倍(一般の約40万円に対してプレミアムは約70万円)と説明している。ショッピングリボと分割の残高は、2024年度の約5,150億円から2025年度計画では5,500億円超へ伸ばす計画で、金利上昇のなかで変動金利商品・リボ収益の拡大が追い風となる。国内カード取扱高の拡大では利益成長が見込みにくいなか、収益性の高い残高の質を高める方向へ事業の重心を移した。
ファイナンス事業では、クレディセゾン・セゾンファンデックス・スルガ銀行の3社連携の枠組みが定着し、保証残高は2024年度の約7,500億円から2025年度計画では9,300億円へと伸ばす見込みである。資金調達の面ではみずほ銀行との提携、ECB(対外商業借入)の活用によって調達手段の多様化を進め、インド事業の成長を支える資金源を確保した。水野社長はブラジル・ベトナム・インドの3カ国でのレンディングを2025年度以降の重点領域として位置付け、アメリカン・エキスプレスとの連携によるニッチな富裕層・法人層の取り込みを、国内ペイメント事業の柱として据えている。1951年の月賦百貨店から始まった会社は、2020年代には海外のノンバンクと、国内の地方銀行アライアンスという、出自から遠い二つの足場の上で利益を作る構造へと姿を変えた。
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