ディーア・フィアットと提携(1988年・日立建機の決断)

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論点 専業の品揃えを提携で補うか
日立建機:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
欧米2社と組んで築いた日米欧3極の供給体制

何をなぜ決めたか:欧米2社と組んで築いた日米欧3極の供給体制

概要

油圧ショベルで世界首位に立つ日立建機が、1980年代後半に米ディーア・伊フィアットアリスと合弁と相互OEM供給で結び、日米欧3極体制を構築して米キャタピラー・小松製作所の総合建機2大巨人に挑んだ経営判断。

背景

日立製作所の一事業部門から出発した日立建機は、油圧ショベルが売上の約7割を占める専業メーカーであった。総合建機の2大巨人に品揃えで劣り、円高と貿易摩擦で輸出一辺倒の海外戦略も限界に達していた。

内容

得意分野が重ならない3社が、欧州でフィアットと、米国でディーアと合弁で現地生産し、製品を相互にOEM供給してフルライン化を図った。単独進出でなく現地企業のインサイダーとして受け入れられる道を選んだ。

含意

専業ゆえの弱点を単独海外進出でなく2番手連合で補った点に特徴がある。フルライン化という課題は"第2ラウンド"に残され、提携は永続でなく次の自力展開への段階的な足場という性格を帯びていた。

いつ何が起きたか 4件
考察:提携は足場か、目的か
考察

考察:提携は足場か、目的か

この経営判断の核心は、油圧ショベル専業という強みと弱みの表裏を、単独の海外進出でなく2番手連合で補った点にある。総合の2大巨人に品揃えで劣る日立建機は、得意分野の重ならない米欧のメーカーと組むことで、互いの強い地域と製品を持ち寄り、単独では届かなかった世界のフルライン化へ近づこうとした。円高と貿易摩擦のなかで、現地企業のインサイダーとして受け入れられる合弁の形を選んだのは、摩擦を避けつつ市場に食い込む現実的な設計だったと推察される。

もっとも、3社の思惑がジグソーパズルのようにはまった提携も、永続を約束するものではなかった。フルライン化という課題は当時"第2ラウンド"に持ち越され、その後の日立建機は2001年に欧州フィアットとの提携を解消して自力展開へ転じ、2021年には北米のディア(ディーア)との合弁も解消していく。2番手連合は、次の自力の海外展開へ向けた段階的な足場という性格を帯びていた。提携を目的とみるか、力をつけるまでの足場とみるか——日立建機の3極体制は、その使い分けを問う事例といえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
参考文献

参考文献

参考
  • 日経ビジネス 1989年4月10日号(日経BP社)
  • 日立建機 日立建機50年史ほか社史

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