ケーヨーの完全子会社化(2024年・DCMHDの決断)

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DCMHD:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
持分法適用だった関連会社の全株取得と、本体への吸収合併2024年1月、DCMホールディングスが公開買付けと株式等売渡請求により、持分法適用関連会社であった株式会社ケーヨーの全株式を取得して完全子会社とし、同年9月にDCM株式会社を存続会社として吸収合併した経営判断。子会社化の取得原価は687億5,300万円で、うち445億9,700万円が公開買付けで追加取得した株式の対価、241億5,500万円は企業結合日直前から保有していた株式の時価であった。

何をなぜ決めたか:持分法適用だった関連会社の全株取得と、本体への吸収合併

概要

2024年1月、DCMホールディングスが公開買付けと株式等売渡請求により、持分法適用関連会社であった株式会社ケーヨーの全株式を取得して完全子会社とし、同年9月にDCM株式会社を存続会社として吸収合併した経営判断。子会社化の取得原価は687億5,300万円で、うち445億9,700万円が公開買付けで追加取得した株式の対価、241億5,500万円は企業結合日直前から保有していた株式の時価であった。

背景

両社の関係は1990年代のジャスコを交えた3社共同仕入れと共同ブランドに始まる。2017年1月の資本業務提携で持分法適用関連会社となり、2019年にはケーヨーの仕入の92パーセントをDCMホールディングスが供給していた。

内容

2023年9月29日の取締役会で公開買付けを決議し、11月20日に90.70パーセントを取得して連結子会社化、2024年1月9日に完全子会社化。のれん263億3,400万円を20年で均等償却し、2024年9月の合併でケーヨーデイツーの店名を"DCM"へ統一した。

含意

商品供給で7年かけて実質的な一体化を進めてから資本を動かす手順をとった。連結売上高は5,361億円へ伸びた一方、従業員数の減少と20年にわたるのれんの償却負担が残る。同じ手順はエンチョー・ホームテックの子会社化にも続いた。

いつ何が起きたか8件
筆者考察
考察

考察:92パーセントの供給先を、なぜ7年も外に置いたのか

ケーヨーの仕入の92パーセントをDCMホールディングスが供給していた2019年の時点で、商品の面では両社はほとんど一つの会社であった。それでも資本は20.1パーセントにとどまり、取締役会は二つに分かれたままであった。2023年に公開買付けへ動いた理由として有価証券報告書が挙げたのも、価格でも規模でもなく、協業上の制約を無くした意思決定の体制であった。商品で7年確かめてから資本を動かす順序に、この会社の買い方がうかがえる。

統合が数えられる成果として効いたのは、現在のところ規模の側だけである。2025年2月期の売上高が前期比111.4パーセントとなったのはケーヨーの売上917億円を取り込んだ結果であり、既存の店が強くなったことの証明ではない。連結従業員数は4,955人から4,646人へ減少し、当期純利益は段階取得に係る差益が消えて171億円へ減少した。20年で償却するのれん233億円も残る。共同仕入れに始まった関係を一つの会社に統合し終えるには、まだ時間がかかるのだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

数字で見る

DCMHD:連結業績と総資産の推移

DCMHD:連結業績と総資産の推移

売上高(百万円)営業利益率(%)
DCMHD:連結業績と総資産の推移
(百万円)売上高営業利益親会社株主に帰属する当期純利益総資産備考
2019年2月期438,68321,01312,246415,684
2020年2月期430,00020,83213,783434,733
2021年2月期464,21230,25418,594490,849
2022年2月期437,72230,64918,809449,151
2023年2月期469,78230,06818,135515,955
2024年2月期481,31028,68521,446622,734ケーヨーは第4四半期のみ連結。段階取得に係る差益7,694を特別利益に計上
2025年2月期536,13233,23017,144647,936ケーヨーの通期連結で増収。段階取得に係る差益が消えて当期純利益は減
2026年2月期533,10731,01417,310670,854
出所:DCMホールディングス 有価証券報告書 第13期〜第20期(連結損益計算書、連結貸借対照表)
出所:DCMホールディングス 有価証券報告書 第13期〜第20期(連結損益計算書、連結貸借対照表)
DCMHD:のれんの残高と、うちケーヨーに係る金額

DCMHD:のれんの残高と、うちケーヨーに係る金額

のれん(百万円)のれん以外の無形固定資産(百万円)
DCMHD:のれんの残高と、うちケーヨーに係る金額
(百万円)のれんうちケーヨーに係るのれん無形固定資産備考
2019年2月期1,320−13,233
2020年2月期1,025−12,725
2021年2月期730−12,326
2022年2月期488−13,306
2023年2月期20,382−33,650エクスプライスの子会社化でのれんが増加した
2024年2月期45,15526,00557,222ケーヨーの取得でのれん26,334が発生。うちエクスプライス分は19,039
2025年2月期42,68524,68855,103
2026年2月期50,86623,37264,060エンチョーで3,463、ホームテックで7,221ののれんが新たに発生した
出所:DCMホールディングス 有価証券報告書 第13期〜第20期(連結貸借対照表、重要な会計上の見積り)
出所:DCMホールディングス 有価証券報告書 第13期〜第20期(連結貸借対照表、重要な会計上の見積り)
買収の条件

買収の条件

買収の条件
科目概要備考
被取得企業の名称と事業の内容株式会社ケーヨー/ホームセンター業
株式の取得の理由両社にある協業上の制約を無くすことより機動的で統一感のある意思決定ができる体制を構築し総合力を高める
企業結合日2023年11月20日みなし取得日は2023年11月30日。連結は第4四半期の業績のみ
企業結合の法的形式現金を対価とした株式取得2023年9月29日開催の取締役会で公開買付けによる取得を決議した
企業結合直前に所有していた議決権比率31.87%2017年1月の資本業務提携で第三者割当増資を引き受けて議決権20.1%を得て以降の持分
企業結合日に追加取得した議決権比率58.83%公開買付けによる取得。企業結合日時点の議決権比率は90.70%
企業結合日以降に追加取得した議決権比率9.30%株式等売渡請求による取得。追加取得後の議決権比率は100.00%
取得企業を決定するに至った主な根拠現金を対価として株式を取得したこと
取得原価68,753百万円結合日直前に保有していた株式の時価24,155と追加取得の対価44,597
取得関連費用590百万円アドバイザリー費用等
段階取得に係る差益7,694百万円取得原価と、取得するに至った取引ごとの取得原価の合計額との差額
のれん26,334百万円今後の事業展開によって期待される将来の超過収益力から発生
のれんの償却方法及び償却期間20年間にわたる均等償却
受け入れた資産・引き受けた負債資産83,589百万円/負債34,457百万円流動資産34,319・固定資産49,270/流動負債22,082・固定負債12,375
完全子会社化の追加取得額7,048百万円2024年1月9日に非支配株主から取得。資本剰余金が2,667百万円減少
通期換算した業績への影響売上高61,880百万円営業利益2,353百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,158百万円
吸収合併の効力発生日2024年9月1日DCM株式会社を存続会社、ケーヨーを消滅会社とする吸収合併
出所:DCMホールディングス 有価証券報告書 第18期(2024年2月期)【企業結合等関係】【経営上の重要な契約等】
出所:DCMホールディングス 有価証券報告書 第18期(2024年2月期)【企業結合等関係】【経営上の重要な契約等】
当時の取締役12名

取締役12名(2024年5月株主総会議決)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務久田宗弘取締役:取締役業務執行:会長担当:
石黒靖規取締役:代表取締役業務執行:社長・CEO担当:DCM株式会社代表取締役社長
清水敏光取締役:取締役業務執行:執行役員担当:エクスプライス事業管掌、エクスプライス株式会社代表取締役社長
大亀裕取締役:取締役業務執行:担当:
中川真行取締役:取締役業務執行:執行役員担当:内部統制、経営戦略・広報管掌
本田桂三取締役:取締役業務執行:執行役員担当:ホダカ事業管掌、ホダカ株式会社代表取締役社長
實川浩司取締役:取締役業務執行:担当:(株)ケーヨー代表取締役社長
寺田健次郎取締役:監査等委員・常勤業務執行:担当:
独立役員宇野直樹金融取締役:監査等委員業務執行:担当:
射場瞬取締役:監査等委員業務執行:担当:
増川道夫金融取締役:監査等委員業務執行:担当:
小口光法曹取締役:監査等委員業務執行:担当:
この一覧は2024年5月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

  • 証券アナリストジャーナル 1997年6月号 別冊付録 ケーヨー(儘田公明・ケーヨー常務取締役、1997年5月8日講演)
  • 証券アナリストジャーナル 1998年5月号 別冊付録 ケーヨー(儘田公明・ケーヨー専務取締役、1998年4月24日・28日講演)
  • DCMホールディングス 2020年2月期第2四半期決算説明会(2019年10月2日開催)
  • DCMホールディングス 有価証券報告書(2017年2月期・2018年2月期・2024年2月期・2025年2月期・2026年2月期)
  • DCMホールディングス 有価証券報告書「第18期(2024年2月期)【企業結合等関係】」
  • DCMホールディングス 有価証券報告書「第18期(2024年2月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】」
  • DCMホールディングス 有価証券報告書「第19期(2025年2月期)・第20期(2026年2月期)【重要な会計上の見積り】」
  • DCMホールディングス 決算説明会資料「2020年2月期第2四半期決算説明会(2019年10月2日開催)」

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