DCMホールディングス カーマ・ダイキら5社合併 ホームセンター事業会社5社の吸収合併によるDCM株式会社の発足と、店名の「DCM」への統一

更新:

時期 2019年12月
当時の社長 久田宗弘
論点 グループ経営体制と屋号
何をなぜ決めたか
概要

2021年3月1日、DCMホールディングスはホームセンター事業を承継させた分割準備会社を存続会社とし、DCMカーマ・DCMダイキ・DCMホーマック・DCMサンワ・DCMくろがねやの5社を吸収合併し、DCM株式会社が発足した。

掲げた目的は、経営面(戦略的意思決定)と執行面(地域・店舗・商品等の戦略)をより明確に分け、法人格を統一してホームセンター事業全体の戦略に関する意思決定を速めることである。合併直前の663店の内訳は、カーマ168・ダイキ154・ホーマック300・サンワ19・くろがねや22であった。

背景

2015年にサンワドー、2016年にくろがねやを株式交換で迎えて事業会社は5社になり、規模も収益力も屋号もそろわないまま並んでいた。既存店売上高は2018年2月期上期に5.1%減、2020年2月期上期に2.9%減と減少していた。

内容

店舗業務システムを2019年9月に完全統一し、事業会社間で店舗運営部長・エリアマネージャー・店長を入れ替える実験と人事制度の仮貼り付けを済ませたうえで、2020年4月10日の取締役会で吸収分割を決議し、同日契約を締結、5月28日の株主総会で承認を得た。

手順は二段である。持株会社が営むホームセンター事業を吸収分割で分割準備会社へ承継させ、同じ2021年3月1日に同社が事業会社5社を吸収合併した。分割に際して持株会社への株式その他の財産の交付はなく、承継する債務はすべて重畳的債務引受の方法によった。共通支配下の取引として会計処理したため、のれんは発生していない。

含意

法人格の統一は、システム・店舗運営・人事をそろえ終えた後に置かれた最後の手続きであった。新会社は東日本・中日本・西日本の3販売統括部と管理本部・商品本部・販売本部に組み替えられ、機能子会社のホーマックニコットはDCMニコットへ改称した。

店舗数は合併直前の663店から合併期末の669店とほとんど動かず、就業人員も4,059人から4,025人にとどまった。店名の"DCM"への統一は合併から1年後の2022年3月に公表され、看板の掛け替えにさらに2年を見込んだ。

いつ何が起きたか 7件
筆者の見解
筆者の見解

合併の日には、変えるものが残っていなかった

久田宗弘社長が2019年10月の説明会で挙げたのは、店舗運営部長・エリアマネージャー・店長を事業会社の間で入れ替えても『今現在なんの問題もなく回る』という確認であった。合併の1年5カ月前に、店舗業務システムも店舗運営の手順も人事制度もそろえ終えていた。2021年3月1日に行われたのは、その下ごしらえを登記が追認する手続きに近い。中身を変え終えた後に法人格が追いつく、という順序であった。

ただ、統合が既存店の売上を戻したわけではない。2018年2月期上期の5.1%減、2020年2月期上期の2.9%減という減少は、法人格をそろえても解けない問題であり、利益を支えたのはPB構成比を16.8%から22.1%へ引き上げた粗利の改善であった。店名の統一に至っては合併の1年後に発表され、看板の掛け替えにさらに2年を見込んでいる。一つの会社になることと、一つの店に見えることの間には、なお隔たりが残っていた。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
会社分割と合併の条件

会社分割と合併の条件

科目 概要 備考
目的 法人格の統一による意思決定の迅速化 経営面(戦略的意思決定)と執行面(地域・店舗・商品等の戦略)を明確に分ける
分割会社 DCMホールディングス株式会社 対象事業はホームセンター事業。資本金11,939百万円、総資産334,085百万円
承継会社 DCM株式会社 2020年4月1日に設立したDCM分割準備株式会社が2021年3月1日付で商号変更
会社分割の法的形式 吸収分割 分割に際して分割会社への株式その他の財産の交付はない
承継する権利義務 ホームセンター事業に関して有する権利義務 承継する債務はすべて重畳的債務引受の方法による
存続会社 DCM株式会社 設立時の資本金は100百万円。分割前は事業を行っていない
消滅会社 DCMカーマ・ダイキ・ホーマック・サンワ・くろがねや 5社ともホームセンター事業。社名はいずれも「DCM」を冠する
企業結合の法的形式 吸収合併 DCM株式会社を存続会社とし、事業会社5社を消滅会社とする
企業結合日 2021年3月1日 会社分割と5社の吸収合併の効力発生日は同じ
決議と承認 取締役会2020年4月10日、株主総会2020年5月28日 取締役会の決議と同日に吸収分割契約を締結
会計処理 共通支配下の取引 企業結合に関する会計基準(企業会計基準第21号)に基づく。のれんは発生しない
合併直前の店舗数 663店(2021年2月末) カーマ168・ダイキ154・ホーマック300・サンワ19・くろがねや22

出所:DCMホールディングス 有価証券報告書 第16期(2022年2月期)【企業結合等関係】・第15期(2021年2月期)・第14期(2020年2月期)【重要な後発事象】

店舗数の推移

DCMホールディングス:店舗数の推移

(店) 店舗数 備考
2017年2月期 656
2018年2月期 669
2019年2月期 671
2020年2月期 673 DCMカーマ167・ダイキ155・ホーマック297・サンワ32・くろがねや22
2021年2月期 663 合併直前期。新規出店11・退店11のほかカー用品店10店舗を譲渡
2022年2月期 669 期首の2021年3月1日に5社が合併しDCM株式会社が発足。1社体制の初年度
2023年2月期 675
2024年2月期 840 2022年12月に子会社化したケーヨーが連結に加わる
2025年2月期 843
2026年2月期 918
店舗数
店舗数(店)

出所:DCMホールディングス 有価証券報告書 第11〜20期(業績等の概要)

従業員数の推移

DCMホールディングス:従業員数の推移

(人) 就業人員臨時雇用者 備考
2017年2月期 4,43311,411
2018年2月期 4,34311,566
2019年2月期 4,33111,472
2020年2月期 4,24811,172
2021年2月期 4,05911,091
2022年2月期 4,02510,857 5社を1社に合併した初年度。就業人員の減少は34人にとどまる
2023年2月期 4,10210,717
2024年2月期 4,95512,238 ケーヨーの連結による増加を含む
2025年2月期 4,64611,739
2026年2月期 4,98212,521
就業人員と臨時雇用者
就業人員(人)臨時雇用者(人)

出所:DCMホールディングス 有価証券報告書 第11〜20期(従業員の状況)

のれんと無形固定資産の推移

DCMホールディングス:のれんと無形固定資産の推移

(百万円) のれん無形固定資産総資産 備考
2017年2月期 1,98912,351393,261
2018年2月期 1,61512,726403,136
2019年2月期 1,32013,233415,684
2020年2月期 1,02512,725434,733
2021年2月期 73012,326490,849
2022年2月期 48813,306449,151 共通支配下の取引のため合併によるのれんはなく、既存分の償却だけが進んだ
2023年2月期 20,38233,650515,955 2022年12月のケーヨー子会社化でのれんが増加
2024年2月期 45,15557,222622,734
2025年2月期 42,68555,103647,936
2026年2月期 50,86664,060670,854
のれんと無形固定資産
のれん(百万円)のれん以外の無形固定資産(百万円)

出所:DCMホールディングス 有価証券報告書 第11〜20期(連結貸借対照表)

同じ問いに直面した会社

同じ問いに直面した会社

買収・合併後の統合2013年KADOKAWA持株会社傘下の事業会社を吸収合併し1社に束ねる組織の一本化グループ再編と組織形態
2016年ファミリーマートサークルK・サンクスの自社ブランドへの一本化と店舗網の統合規模拡大とブランド統一
2009年エディオン事業会社を東西2社へ集約後に持株会社が吸収合併、純粋持株会社体制から単一運営体制への移行経営体制とコスト構造
2005年バンダイナムコHD共同持株会社の発足と、両社を一体で束ねる経営体制への移行縮小市場での成長基盤とIP展開規模の確保
2021年オープンアップグループ現金を使わず株式だけで行う統合と、3か月後に314億円を削られたのれん経営統合とブランドの再設定
ブランドへの投資2020年ツルハホールディングスグループ共通のプライベートブランドと商品調達の統合による、事業会社の強みとの両立社長交代と成長戦略の転換
2022年円谷フィールズホールディングス持株会社体制への移行と、商号を変更したグループ再編グループ組織と企業の自己定義
2009年ファミリーマート買収による店舗網の取り込みと、自社ブランドへの看板の一本化首都圏の店舗網の獲得とブランドの一本化
2006年花王約4,291億円を投じての、後発から国内2位への一気の浮上化粧品事業の取得と買収後の統合
1994年ラウンドワン旧ラウンドワンの吸収合併と、それに合わせた社名の刷新社名の切替と施設運営事業の一本化
参考文献
出典・参考
  • ログミーファイナンス(2017年10月10日)
  • ログミーファイナンス(2019年10月8日)
  • 流通ニュース(2019年12月10日)
  • DCMホールディングス 有価証券報告書「第16期(2022年2月期)【企業結合等関係】」
  • DCMホールディングス 有価証券報告書「第15期(2021年2月期)【重要な後発事象】」
  • DCMホールディングス 有価証券報告書「第14期(2020年2月期)【重要な後発事象】」
  • DCMホールディングス 決算説明会資料「2021年2月期決算説明会」
  • DCM株式会社 適時開示「店舗ロゴマークの変更、店名統一について」
  • DCMホールディングス 有価証券報告書「第11〜20期(2017年2月期〜2026年2月期)」

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