杉野興産からラウンドワンへの商号変更は、単なる社名の書き換えという言葉に収まらない。1990年の石津店で固めた屋内型複合レジャーという業態を、家業の遊戯場を営む杉野興産ではなく、その業態のために新設したラウンドワン(旧)の名で統合し直したところに、この再編の芯があるのだろう。創業者の杉野公彦氏は、子会社として作った新しい名を本体へ引き取り、会社そのものの看板に据えた。
もっとも、社名を切り替えた1994年の時点では、ラウンドワンはまだ近畿を中心とする非上場のチェーンにすぎなかった。全国区の知名度も、東証一部という舞台も、この先の出店と上場によって初めて手に入るものであった。それでも、業態を象徴する名を早い段階で会社の看板に据えたことが、複合レジャーのチェーンとして拡大していく足場になっただろう。名を定めることは、事業の輪郭を定めることでもあったといえる。