ファミリーマートユニーグループ・ホールディングスの吸収合併と、サークルK・サンクスのファミリーマートへのブランド統一

3位のまま縮むか、4位と組んで1万8,000店を取るか——上田準二会長が10年越しで動かした経営統合

時期 2016年2月
意思決定者(推定) 上田準二・中山勇 会長・社長
論点 規模拡大とブランド統一
概要
2015年3月10日に協議入りを公表し、2016年9月1日に実行した、ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスの経営統合。ファミリーマートを存続会社とする吸収合併でユニーグループ・ホールディングスを取り込み、商号をユニー・ファミリーマートホールディングスへ改めた。コンビニエンスストア事業は傘下のサークルKサンクスへ承継し、同社が株式会社ファミリーマートへ商号を変更している。
背景
コンビニエンスストアはセブン-イレブンの独走が続き、3位のファミリーマートと4位のサークルKサンクスは1店当たりの売上高でも大きく引き離されていた。ユニーグループ・ホールディングスは3期連続の減益に沈み、2015年1月の会長・社長の退任発表を経て、長く掲げてきた自主独立路線を降りた。
内容
合併比率はユニーグループ・ホールディングス1株に対しファミリーマート0.138株、交付予定株式数は3,175万株。統合でコンビニエンスストアは単純合算約1万8,000店となり、店舗数でセブン-イレブンとほぼ並んだ。サークルKとサンクスの看板は2018年11月30日までに累計5,003店がファミリーマートへ転換し、同日で消えた。
含意
規模では首位に並んだものの、1店当たりの売上高の差は統合そのものでは埋まらない。統合を主導した上田準二社長は発足から半年で辞任し、自ら社長を引き受けた理由に挙げた総合スーパーの改革は、ユニー株式の譲渡というかたちで統合会社の外へ出た。
筆者の見解

規模で並ぶことと、質で並ぶこと

上田準二氏が2004年にユニーへ持ち込んだ「うちも入れて一本化しませんか」(週刊東洋経済 2016/3/18)という申し入れは、当時は通らなかった。10年あまり後に通ったのは、提案の中身が変わったからではなく、ユニーが3期連続の減益で自主独立を続けられなくなり、前村会長と中村社長が退いたからであった。統合が取りにいったのは店舗数であり、セブン-イレブンの66万円に対する52万円と43万円という1店当たりの差は、店を足し合わせても動かない。日販の差は、店を足し合わせても縮まない。

規模を取った代償は、早い段階から見えていた。統合会社の社長は発足から半年で代わり、上田氏が自ら社長を引き受けた理由である総合スーパーの改革は後任へ渡った。ユニー株式は2017年11月に4割、2019年1月には残り全部がドンキホーテホールディングスへ移り、統合で抱えた総合スーパーは3年足らずで手元から消えた。残ったのは看板を一つにそろえた1万6,000店強の店舗網であり、統合の成否はそこから先の商品と運営で測るほかないといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年8月

背景

セブン-イレブン一強のもとの3位と4位

2015年3月10日、ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスは、経営統合に向けた協議に入ると共同で発表した。統合の決定ではなく交渉の開始だけを告げる会見は、流通業では異例だった。コンビニエンスストア3番手のファミリーマートと、4番手のサークルKサンクスを傘下に置くユニーグループ。両社のコンビニ事業を単純に合算すると、2013年度末で全店売上高2兆8,000億円、国内1万6,900店に達し、業界2位級に並ぶ計算になる[1]

並ぶといっても、それは店舗数と売上高の話にとどまった。2015年11月末の1店当たり1日平均売上高は、セブン-イレブンの66万円に対し、ファミリーマートが52万円、サークルKサンクスは43万円にとどまった。ユニーグループの佐古則男社長は会見で「真っ向勝負ができる規模になりえた」(週刊東洋経済 2015/3/13)と語ったが、単価の低い店を足し合わせても平均は上がらない。質の差を抱えたまま規模だけを先に取りにいく統合である[2][3]

自主独立を降りたユニー

両社の統合話は以前から流通業界で繰り返し取り沙汰され、そのつどユニー側の自主独立路線に阻まれてきた。前村哲路会長は「独立独歩が基本。第三極で生きていく」(週刊東洋経済 2015/3/13)と周囲に語り、2014年7月にサークルKサンクス売却の観測記事が出た際には、まったくの捏造で事実無根だと強い調子で否定していた。その前村会長と中村元彦社長が2015年1月に退任を発表する。3期連続の減益がほぼ確定したなかでの、実質的な引責交代だった[4]

東海地方ではイオンが大型ショッピングセンターを相次いで開き、岐阜が地盤のバローが価格攻勢をかけていた。ユニーのアピタとピアゴは、安いわけでも上質でもないと競合他社に評されていた。同じころファミリーマートは店舗数の上積みを続け、2015年10月に東海地方を地盤とするココストアを株式取得で完全子会社とし、12月に吸収合併している。ファミリーマートは規模を取りにいき、ユニーは自主独立を守りきれなくなっていた。統合協議は両社のその差を抱えたまま進んだ[5][6]

決断

存続会社をファミリーマートとする二段構え

2015年10月15日、両社は経営統合の基本合意書を締結した。組んだ枠組みは、ファミリーマートを吸収合併存続会社、ユニーグループ・ホールディングスを消滅会社とする吸収合併と、その効力発生を条件に統合会社のコンビニエンスストア事業をユニー傘下のサークルKサンクスへ承継させる吸収分割の二段構えを採った。2016年2月3日、両社の取締役会は吸収合併契約と吸収分割契約の締結を決議する。合併比率はユニーグループ1株に対しファミリーマート0.138株で、交付予定株式数は3,175万株とした[7]

法人として残るのはファミリーマートであったが、看板の付け替えは入り組んでいた。存続会社は2016年9月1日に商号をユニー・ファミリーマートホールディングスへ改め、コンビニエンスストア事業を手放して純粋持株会社となる。事業を受け取ったサークルKサンクスは、同じ日に商号を株式会社ファミリーマートへ改めた。有価証券報告書は統合の理由を、両社の経営資源を結集して新たな小売グループを形成し、変化する国内外の小売事業環境下の競争を勝ち抜くことと記している[8][9]

上田準二会長が10年越しで持ち込んだ話

統合を主導したのはファミリーマート会長の上田準二氏であった。上田氏は2002年の社長就任時から、21世紀に生き残るのは首位とその対抗勢力の2社までだと言い続けてきた。2004年にユニーがサークルKとサンクスを一つにする際には、自らユニーへ出向き、「うちも入れて一本化しませんか」(週刊東洋経済 2016/3/18)と持ちかけている。当時のユニーもサークルKサンクスもまだ堅調で、この話はまとまらなかった[10]

10年あまりを経て話が動いたのは、両社がそろって減益に沈み、ユニーの経営陣が入れ替わったからである。業界の懇親会でユニーのOBから「あのとき一緒にやればよかった」(週刊東洋経済 2016/3/18)と言われた上田氏は、その場で再検討を促している。上田氏自身は2015年3月での引退を考えていたが、総合スーパーを含む改革は自分がやるほかないとして統合会社の社長を引き受け、コンビニ事業会社の社長には元ファーストリテイリング副社長の澤田貴司氏を外部から招いた[11][12]

結果

1万8,000店と、5,003店の看板替え

2016年9月1日、統合会社が発足した。上田社長は同じ日に「セブン-イレブンにキャッチアップしていきたい」(週刊東洋経済 2016/9/10)と述べた。コンビニエンスストアの店舗数は単純合算で約1万8,000店となり、セブン-イレブンの約1万8,800店とほぼ並んだ。統合の重さは決算にも出た。2017年2月期の連結総資産は前期の7,303億円から1兆6,439億円へ、従業員数は7,622人から1万6,601人へ増えている[13][14]

看板の付け替えは、統合と同じ日に東京・晴海の1号店から始まった。2016年7月末に6,251店あったサークルKとサンクスのうち約1,000店を閉め、残りをファミリーマートへ転換する計画で、上田社長は2年半という予定に対して現場に「1年半でやれ」(週刊東洋経済 2017/2/18)と求めた。実際の完了は2018年11月30日で、国内すべてのサークルK店とサンクス店が同じ日に営業を終えた。転換した店舗は累計5,003店に達した[15][16]

半年での社長交代と、総合スーパーの切り離し

統合会社の発足から半年で、社長が代わった。2017年2月3日に辞任を表明した上田社長は、理由を「古稀を迎えたら会社人生に区切りをつけようと思っていた」(週刊東洋経済 2017/2/18)と説明した。統合後ほぼ3カ月で830店がファミリーマートへ転換した進み方を見て、想定より早く完了すると確信したとも語った。後任には伊藤忠商事副社長の髙柳浩二氏が就き、2017年3月に社長執行役員、5月に代表取締役社長となった[17][18]

上田氏が自ら社長を引き受けた理由である総合スーパーの改革は、統合会社の手では終わらなかった。ユニー株式は2017年11月に40.0%が、2019年1月には残る全部がドンキホーテホールディングスへ譲渡される。統合から2年半で、ユニー・ファミリーマートホールディングスの手元にはコンビニエンスストア事業が残った。規模を取るために抱えた総合スーパーは、規模がそろった時点で切り離された[19]

出典・参考
  • 週刊東洋経済 2015年3月13日号「緊急特集 コンビニ大淘汰 ファミマ×サークルKサンクス 負け組同士、統合の成否」
  • 週刊東洋経済 2015年3月13日号「緊急特集 コンビニ大淘汰 自主独立路線とついに決別 追い詰められたユニー」
  • 週刊東洋経済 2016年3月18日号「巻頭特集 セブンの背中狙う上田バズーカ 新生ファミリーマート セブンの背中狙う上田バズーカ!」
  • 週刊東洋経済 2016年3月18日号「巻頭特集 セブンの背中狙う上田バズーカ INTERVIEW 経営統合は祭りだ! ファミリーマート会長 上田準二」
  • 週刊東洋経済 2016年3月18日号「巻頭特集 セブンの背中狙う上田バズーカ 規模はトップ級だが実力は大差 ファミマはこうして1強を超える」
  • 週刊東洋経済 2016年9月10日号「ニュース最前線04 統合前にユニー大量閉店 ファミマ主導で続々整理」
  • 週刊東洋経済 2017年2月18日号「ニュース最前線03 ユニーファミマ上田社長 「電撃辞任」の真相を語る」
  • 株式会社ファミリーマート 有価証券報告書【重要な後発事象】(2016年2月期)
  • ユニー・ファミリーマートホールディングス 有価証券報告書【沿革】【主要な経営指標等の推移】【役員の状況】(2017年2月期)
  • ユニー・ファミリーマートホールディングス 有価証券報告書【沿革】【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(2019年2月期)

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