ファミリーマート ユニーグループの吸収合併 サークルK・サンクスの自社ブランドへの一本化と店舗網の統合

更新:

時期 2016年2月
当時の社長 上田準二
論点 規模拡大とブランド統一
何をなぜ決めたか
概要

2015年10月15日に基本合意書を結び、2016年2月3日に吸収合併契約と吸収分割契約を締結して、同年9月1日に実行した経営統合。ファミリーマートを吸収合併存続会社、ユニーグループ・ホールディングスを吸収合併消滅会社とし、存続会社は同日付でユニー・ファミリーマートホールディングスへ商号を変更した。

効力発生と同時に、統合会社を吸収分割会社、ユニーグループ・ホールディングスの完全子会社であるサークルKサンクスを吸収分割承継会社とする吸収分割を行い、コンビニエンスストア事業をサークルKサンクスへ承継した。サークルKサンクスは同日、株式会社ファミリーマートへ商号を変更している。

背景

統合の理由に挙げたのは、両社の経営資源を結集して新たな小売グループを形成し、大きく変化する国内外の小売事業環境下で競争優位を確保することであった。2016年2月期末のファミリーマートは国内11,656店、海外5,846店の計17,502店。2015年10月にココストアを株式取得で完全子会社とし、同年12月に吸収合併して、東海地盤の店舗網を先に取り込んでいた。

相手のユニーグループ・ホールディングスは、総合小売、コンビニエンスストア、専門店、金融サービス事業などで構成される企業グループの運営企画・管理を担う純粋持株会社で、2013年2月に持株会社へ移行したばかりだった。傘下のサークルKサンクスは、2004年9月にシーアンドエス、サークルケイ・ジャパン、サンクスアンドアソシエイツの3社が合併して発足した会社である。

内容

合併比率はユニーグループ・ホールディングスの普通株式1株に対しファミリーマートの普通株式0.138株で、交付した株式数は31,785,870株。うち2,756,690株は自己株式の割当てで、新株発行は29,029千株にとどまり、資本金16,658百万円と資本準備金17,056百万円は増減しなかった。支払対価の公正価値は235,533百万円で、現金の支出はない。

取得した議決権比率は100.00%。のれんは取得時に暫定で39,977百万円を計上したが、2018年2月期第2四半期に取得原価の配分が確定し、有形固定資産と繰延税金資産の見直しで112,139百万円増えて152,116百万円となった。2017年2月期末の国内店舗数は18,125店、国内外合わせて24,500店である。

含意

サークルK店とサンクス店のファミリーマートへのブランド転換は累計5,003店に達し、2018年11月30日付で国内全店の営業が終了して完了した。一方で統合が生んだのれんは毎期削られている。旧サークルKサンクスへ配分した分は、2018年2月期に9,216百万円、2019年2月期に7,075百万円というように減損が続き、確定時の152,116百万円は2022年2月期末に125,322百万円まで減った。

抱えた総合小売事業は、2017年11月にユニー株式の40.0%、2019年1月に残る全株式をドンキホーテホールディングスへ譲渡して手元から消えた。統合のために作った持株会社も2019年9月に子会社のファミリーマートを吸収合併して解消され、商号は株式会社ファミリーマートへ戻っている。

いつ何が起きたか 13件
筆者の見解
筆者の見解

規模で並ぶことと、質で並ぶこと

この統合で手に入れたものを金額で言えば、235,533百万円の株式を刷って、152,116百万円ののれんを背負い、国内の店舗網を11,656店から18,125店へ引き上げたということになる。ただし、のれんの正体は「取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果及び超過収益力」であり、暫定の39,977百万円が確定で112,139百万円ふくらんだのは、シナジーが大きく見積もり直されたからではなく、受け入れた有形固定資産と繰延税金資産を時価で評価し直した差が、そのまま残りとしてのれんへ落ちたからである。買ったのは店の数であって、1店の稼ぐ力ではなかったと推察される。

もっとも、看板を一つにそろえる作業そのものは期日どおりに終わった。2018年11月30日までに5,003店を転換し、国内全てのサークルK店とサンクス店の営業を終えている。それと引き換えに、旧サークルKサンクスへ配分したのれんは毎期の減損で削られ、確定した152,116百万円は2022年2月期末に125,322百万円まで減った。抱えた総合小売事業は3年足らずで譲渡され、統合のために立てた持株会社も2019年9月に解消されて、商号は株式会社ファミリーマートへ戻った。残ったのは一つの看板へそろえた店舗網だけで、統合の成否はそこから先の商品と運営で測るほかない。

Yutaka Sugiura, 2026年8月

業績の推移
経営統合の条件

経営統合の条件

科目 概要 備考
吸収合併存続会社 ファミリーマート 効力発生日にユニー・ファミリーマートホールディングスへ商号変更
吸収合併消滅会社 ユニーグループ・ホールディングス 総合小売、コンビニエンスストア、専門店、金融サービス事業などを営む企業グループの純粋持株会社
統合の法的形式 当社を存続会社とする吸収合併 同日に吸収分割でコンビニエンスストア事業をサークルKサンクスへ承継
契約の締結日 2016年2月3日 2015年10月15日に基本合意書。2016年5月26日の定時株主総会で承認可決
効力発生日(企業結合日) 2016年9月1日
合併比率 ユニーグループHDの1株に0.138株 第三者算定機関はシティグループ証券とKPMG FAS、野村證券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券
交付した株式数 31,785,870株 うち2,756,690株は自己株式の割当て。発行済株式総数は126,712千株となった
資本金の額 16,658百万円 新株発行は29,029千株。資本金と資本準備金17,056百万円はいずれも増減なし
支払対価の公正価値 235,533百万円 取得企業の資本持分。現金の支出はなく、株式のみを対価とした
取得した議決権比率 100.00% 企業結合直前に所有していた議決権比率は-%
取得企業を決定するに至った主な根拠 交付した株式と自己株式を対価に株式を取得 会計上の取得企業はファミリーマート。ユニーグループHDが被取得企業となる
取得資産及び引受負債の純額 89,095百万円 暫定は201,234百万円。有形固定資産と繰延税金資産の見直しで112,139減
のれん 152,116百万円 取得時は暫定で39,977百万円。2018年2月期第2四半期に取得原価の配分が確定
のれんの償却方法 償却せず毎期減損テスト 第36期よりIFRSを適用。コンビニエンスストア事業セグメントへ配分
取得関連コスト 439百万円 全額を販売費及び一般管理費で費用処理
取得日以降の業績への寄与 営業収益432,667百万円 親会社の所有者に帰属する当期利益は4,045百万円。期首に実施と仮定した営業収益は1,267,329百万円

出所:ファミリーマート 有価証券報告書 第35期(2016年2月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】・ユニー・ファミリーマートホールディングス 有価証券報告書 第36期(2017年2月期)・第37期(2018年2月期)【企業結合等関係】

のれんと資産合計の推移

ファミリーマート:のれんと資産合計の推移

(百万円) のれん旧サークルKサンクス分資産合計 備考
2012年2月期 380472,822 日本基準。以下2016年2月期まで同じ
2013年2月期 5,322526,758
2014年2月期 8,622588,136
2015年2月期 9,395666,244
2016年2月期 16,471730,295 IFRSへ組み替えるとのれん11,483、資産合計728,976
2017年2月期 161,4961,667,074 統合の期。のれんは暫定で39,977を計上し、第36期よりIFRSを適用
2018年2月期 155,763142,9001,732,506 取得原価の配分が確定。旧サークルKサンクス分ののれんに減損9,216
2019年2月期 142,732135,8251,372,117 ユニー株式の全部譲渡で資産合計が減少。のれんの減損は7,075
2020年2月期 139,557132,6961,976,116 IFRS第16号の適用で使用権資産を計上。のれんの減損は3,015
2021年2月期 133,197126,7821,896,269 収益性が著しく低下した店舗にのれんの減損5,914
2022年2月期 131,738125,3221,606,167 収益性が低下した店舗と閉鎖店舗にのれんの減損1,460
のれんの残高と資産合計に占める比率
のれん(百万円)のれん率(%)

出所:ファミリーマート/ユニー・ファミリーマートホールディングス 有価証券報告書 第31〜41期(連結貸借対照表・連結財政状態計算書、注記「のれん及び無形資産」「減損損失」)

報告セグメント別の営業収益

ファミリーマート:報告セグメント別の営業収益

(百万円) コンビニエンスストア事業総合小売事業 備考
2016年2月期 424,435 統合後の区分へ組み替えた外部収益。総合小売事業は該当なし
2017年2月期 484,225359,590 統合の期。総合小売事業は2016年9月からの6か月分
2018年2月期 558,673716,626 総合小売事業が通期で寄与。コンビニは減損29,130で損益△1,285
2019年2月期 524,173638,200 ユニーを非継続事業へ振り替え、連結の外部収益は617,174
コンビニエンスストア事業と総合小売事業の営業収益
コンビニエンスストア事業(百万円)総合小売事業(百万円)

出所:ユニー・ファミリーマートホールディングス 有価証券報告書 第36〜38期(連結財務諸表注記「セグメント情報」外部収益)

同じ問いに直面した会社
参考文献
出典・参考
  • ファミリーマート 有価証券報告書「第35期(2016年2月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】」
  • ユニー・ファミリーマートホールディングス 有価証券報告書「第36期(2017年2月期)連結財務諸表注記「7.企業結合及び支配の喪失」」
  • ユニー・ファミリーマートホールディングス 有価証券報告書「第37期(2018年2月期)連結財務諸表注記「7.企業結合及び支配の喪失」【企業結合等関係】」
  • ユニー・ファミリーマートホールディングス 有価証券報告書「第38期(2019年2月期)【経営成績等の状況の概要】注記「17.減損損失」」
  • ファミリーマート 有価証券報告書「第39〜42期(2020年2月期〜2023年2月期)注記「16.のれん及び無形資産」「17.減損損失」」

免責事項およびポリシー