昭和電工マテリアルズとの統合(2022年・レゾナックHDの決断)

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論点 買収した二社を社名ごと一体化するか
レゾナックHD:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
レゾナックへの社名変更を伴う二社の一体化と経営基盤の再構築

何をなぜ決めたか:レゾナックへの社名変更を伴う二社の一体化と経営基盤の再構築

概要

2023年1月1日、昭和電工と完全子会社の昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が統合し、持株会社レゾナック・ホールディングス(証券コード4004)と事業会社レゾナックが発足した案件。半導体後工程材料で世界級の機能性化学メーカーが誕生した。

背景

日立製作所が"選択と集中"で上場子会社を整理し、御三家の一角だった日立化成を売却。汎用素材の市況変動に収益を左右されてきた昭和電工は、半導体・電子材料など高機能材料への事業転換を急いでいた。

内容

仕組みは吸収合併1件と会社分割3件の組み合わせである。2022年8月4日の取締役会で契約の締結を決議し、9月29日の臨時株主総会が承認した。旧日立化成を保有していた中間持株会社HCホールディングスを昭和電工マテリアルズへ吸収合併し、昭和電工は黒鉛電極事業(資産25,862百万円)をレゾナック・グラファイト・ジャパンへ、それ以外の全事業(資産517,002百万円)をレゾナックへ承継させた。

相手はすでに完全子会社であったため統合比率は存在せず、共通支配下の取引として処理され、のれんも生じていない。

含意

日本基準最後の通期となった2022年12月期の売上高は1兆3,926億円、うち半導体・電子材料が4,271億円を占めた。統合初年度の2023年12月期は半導体市況の底と重なり、売上収益1兆2,953億円・営業損失94億円まで悪化する。

そこから2024年12月期に半導体・電子材料が4,451億円へ31.7%伸び、全社の営業利益は890億円へ戻った。2025年12月期には同セグメントが5,063億円・コア営業利益1,083億円となり、後工程材料でグローバルトップを掲げた統合の狙いが数字に表れはじめている。

いつ何が起きたか 7件
当時の取締役 10名

当時の取締役(2022年3月株主総会決議)

  • 尾嶋正治:取締役
  • 森川宏平:会長
  • 髙橋秀仁:社長
  • 西岡潔:取締役
  • 一色浩三:取締役
  • 酒井浩志:取締役
  • 森川典子:取締役
  • 丸山寿:取締役
  • 染宮秀樹:取締役
  • 眞岡朋光:取締役
考察:「買収」から「統合」へ、そして事業転換へ
考察

考察:「買収」から「統合」へ、そして事業転換へ

2023年1月の統合は、新しい資本関係を作る取引ではない。相手はすでに完全子会社で、統合比率も対価の算定もなく、会計上は共通支配下の取引としてのれんすら生じていない。動いたのは組織形態のほうで、昭和電工は資産5,170億円の事業をまるごと事業会社へ移し、自らはグループ経営管理だけを持つ持株会社になった。つまりこれは買収の後始末ではなく、二つの会社の意思決定を一つの事業会社へ集める組織設計の決断だっただろう。社名の刷新は、その組織形態の入れ替えを内外へ示す装置として働いた面があるだろう。

もっとも、体制を替えた初年度の数字は厳しかった。半導体・電子材料のセグメント利益は前期の44,228百万円から3,343百万円へ落ち、連結は営業損失を計上している。市況の底と重なった不運はあるにせよ、統合そのものが短期に利益を生む種類のものではないことを、この一年はよく示している。 そこから2024年・2025年と同セグメントの利益は73,713百万円、108,365百万円へ回復した。統合前の水準を超えたという意味では、軸足の移動はひとまず果実を出しはじめている。ただしケミカルの縮小と入れ替わりで生じた回復でもあり、"第2の創業"の真価は半導体一本で持ちこたえられるかにかかっているのだろう。

数字で見る 3表

数字で見る

図と表

レゾナックHD:連結業績の推移

売上高・売上収益(百万円)親会社に帰属する当期利益率(%)
レゾナックHD:連結業績の推移
(百万円) 売上高・売上収益親会社に帰属する当期利益総資産 備考
2017年12月期 780,38737,4041,026,999
2018年12月期 992,136111,5031,074,983
2019年12月期 906,45473,0881,076,381
2020年12月期 973,700△76,3042,203,606 日立化成を完全子会社化し、総資産が2兆円台へ乗った
2021年12月期 1,419,635△12,0942,142,390
2022年12月期 1,392,62130,7932,100,421 8月に吸収合併・吸収分割契約を締結。日本基準で開示した最後の通期
2023年12月期 1,295,395△6,5052,054,594 1月に統合。第115期から国際財務報告基準を適用し、売上収益で表示
2024年12月期 1,391,48073,5032,172,626
2025年12月期 1,347,12529,0312,106,723
出所:レゾナック・ホールディングス 有価証券報告書 第113〜117期【主要な経営指標等の推移】
出所:レゾナック・ホールディングス 有価証券報告書 第113〜117期【主要な経営指標等の推移】

レゾナックHD:半導体・電子材料セグメントの推移

売上高・売上収益(百万円)セグメント利益率(%)
レゾナックHD:半導体・電子材料セグメントの推移
(百万円) 売上高・売上収益セグメント利益 備考
2021年12月期 422,94149,563 4区分へ改めた2022年12月期の有報で遡及開示された前期の値
2022年12月期 427,17144,228 日本基準のセグメント損益(営業損益)ベース。連結の営業損益は59,371
2023年12月期 338,1183,343 国際財務報告基準のコア営業利益ベースへ変わる。半導体市況の底と重なった
2024年12月期 445,13973,713
2025年12月期 506,336108,365 2025年12月期の有報では前期のコア営業利益を73,718へ組み替えている
出所:レゾナック・ホールディングス 有価証券報告書 第114期・第116期・第117期【セグメント情報】および販売実績
出所:レゾナック・ホールディングス 有価証券報告書 第114期・第116期・第117期【セグメント情報】および販売実績

統合の条件

統合の条件
科目 概要 備考
決議日 2022年8月4日 取締役会で吸収合併契約1件と吸収分割契約2件の締結を決議し、同日付で締結した
承認した株主総会 2022年9月29日 基準日は2022年6月30日。一部機能を戻す吸収分割は簡易・略式の要件を満たし決議を経ていない
効力発生日 2023年1月1日 吸収合併・3件の会社分割・両社の商号変更が同日に効力を生じた
吸収合併の当事会社 消滅=HCホールディングス 存続会社は完全子会社の昭和電工マテリアルズ。旧日立化成を保有する中間持株会社を消した
合併の対価 普通株式6株 HCホールディングスの普通株式に3株、A種優先株式に3株を昭和電工へ割当交付した
会社分割①(黒鉛電極事業) 資産25,862百万円/負債558百万円 承継先はレゾナック・グラファイト・ジャパン(旧信州昭和)
会社分割②(黒鉛電極を除く全事業) 資産517,002百万円/負債170,110百万円 承継先はレゾナック。グループ経営管理と黒鉛電極事業を除くすべての事業を移した
会社分割③(一部機能) 資産22,938百万円/負債22,938百万円 レゾナックから持株会社へ戻した分割で、事業を承継するものではない
会計処理 共通支配下の取引 企業結合会計基準第21号と適用指針第10号に基づく処理で、のれんは発生していない
移行後の商号と資本金 レゾナック・ホールディングス 資本金182,146百万円。事業会社レゾナックは15,554百万円で、本社を丸の内から芝大門へ移した
出所:レゾナック・ホールディングス 有価証券報告書 第114期(2022年12月期)【経営上の重要な契約等】・第115期(2023年12月期)【企業結合等関係】
出所:レゾナック・ホールディングス 有価証券報告書 第114期(2022年12月期)【経営上の重要な契約等】・第115期(2023年12月期)【企業結合等関係】
当時の取締役 10名

当時の取締役(2022年3月株主総会決議)

  • 尾嶋正治:取締役
  • 森川宏平:会長
  • 髙橋秀仁:社長
  • 西岡潔:取締役
  • 一色浩三:取締役
  • 酒井浩志:取締役
  • 森川典子:取締役
  • 丸山寿:取締役
  • 染宮秀樹:取締役
  • 眞岡朋光:取締役
参考文献

参考文献

参考

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