レゾナックHDの直近の動向と展望

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レゾナックHDの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

石油化学パーシャル・スピンオフという最後の整理

2024年2月の決算説明会で、髙橋秀仁は石油化学事業のパーシャル・スピンオフ検討開始を発表した。20%弱の株式を保有しレゾナックの研究開発リソースを使えるスキームを採用するとし、「現時点でノックアウトファクターはない」(決算説明会 FY23)と説明した。同年8月1日には分離準備会社を設立し、2025年1月には石油化学事業を子会社のクラサスケミカルへと承継した。1957年の昭和油化設立から数えて68年続いた石油化学事業を、本体から切り離したことになる。電気化学・石油化学・半導体材料という三度目の主力事業の入れ替えが、ここで形のうえでも完結した。連結外しではなく一部保有に留める設計には、分離後も研究機能を共有する意図がにじんでいた。

並行して構造改革にともなう費用も計上されている。2023年12月期は売上高1兆2888億円、営業損失▲38億円、純損失▲190億円となり、黒鉛電極事業の減損や事業再編に関わるコストが業績を大きく押し下げた。2024年12月期の決算では、IFRSへの会計基準変更と合わせて「減損損失を出し切るための金額」(決算説明会 FY24)として非経常項目の織り込みを進めており、出自である総合化学事業の整理は最終段に入っている。短期の損失計上を引き受けてでもバランスシートを軽くするという選択は、半導体材料への集中投資を裏側から支える経営判断だった。損失を先送りせず一度に出し切る姿勢は、金川時代以降の信越化学や住友化学の再建局面とも対照的である。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 決算説明会 FY23
  • 決算説明会 FY24

半導体後工程材料に賭けるEPS500円目標

新しいレゾナックの主たる収益柱は半導体・電子材料セグメントである。2024年12月期の同セグメントの下期EBITDAマージンは30%程度の水準に達し、目標とする水準に近づきつつあると会社は説明している。生成AI向けにノンコンダクティブフィルム(NCF)、TIM、銅張積層板、感光性ソルダーレジストといった後工程材料の販売が伸び、AI関連推定材料は後工程材料売上の約1割を占めるに至っている。米国にパッケージングソリューションセンターを設立する目的についても、髙橋秀仁は「GAFAMなどAI向け半導体をデザインする企業とコンタクトを取れるようにすること」(決算説明会 FY23)と説明している。

中期目標としてEBITDAマージン20%、ROIC10%、EPS500円という水準が新たに提示されている。2024年12月期の実績は売上収益1兆3914億円、営業利益890億円、純利益735億円で、IFRS移行後の本業利益基準であるコア営業利益を経営管理の中心に据える体制へと切り替わっている。営業キャッシュ・フローの半分から2/3を半導体材料等の成長事業への設備投資に充当し、残りを借入の返済と株主への還元へと振り向けるキャピタル・アロケーションの方針を維持している。森矗昶が沃度から始めた電気化学会社は、いま半導体後工程材料の世界トップ企業として自己定義を書き換えている途上にあるといえる。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 決算説明会 FY23
  • 決算説明会 FY24

参考文献・出所

有価証券報告書
日本会社史総覧 1995/11/1
決算説明会 FY23
決算説明会 FY24