ファミリーマート am/pmジャパンの買収 買収による店舗網の取り込みと、自社ブランドへの看板の一本化

更新:

時期 2009年11月
当時の社長 上田準二
論点 首都圏の店舗網の獲得とブランドの一本化
何をなぜ決めたか
概要

2009年11月13日、ファミリーマートが取締役会で、レックス・ホールディングスの保有する㈱エーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)の全株式と貸付債権の取得を決議した経営判断。同年12月28日に議決権の100%を取得して完全子会社とし、2010年3月1日に吸収合併したうえで、am/pm店舗をファミリーマートブランドへ転換した。

背景

有価証券報告書が挙げる企業結合の理由は、首都圏を中心とした店舗網の拡充によるスケールメリットの獲得と、事業インフラの統合による効率化を通じて事業価値を高めることにある。ファミリーマートの国内店舗数は2009年2月期末で7,404店にとどまり、首都圏のドミナントを自力の出店だけで厚くする速度には限りがあった。

内容

取得の対価は128億58百万円、取得に直接要した費用が2億99百万円で、取得原価は131億57百万円となった。契約の調整手続きを除いた実質的な取得の対価は120億円である。企業結合日に受け入れた資産は284億38百万円、引き受けた負債は391億16百万円で、差額の238億34百万円をのれんとして認識した。

含意

のれんは2010年3月1日の吸収合併に伴う繰延税金資産の見直しで消滅し、貸借対照表には一期だけ残った。実体の側では、2010年2月期末に別掲された1,104店のam/pm店が2011年2月期末に469店へ減り、2011年12月をもって2年に及ぶ事業統合が完了して計733店がファミリーマート店へ転換された。

いつ何が起きたか 7件
筆者の見解
筆者の見解

買ったのは純資産ではなく立地であった

企業結合日に受け入れた資産は284億38百万円、引き受けた負債は391億16百万円で、資産より負債が106億78百万円多い会社に131億57百万円を払っている。貸借対照表だけを見れば説明のつかない値づけであり、その差額238億34百万円がのれんとして立った。一方で、のれん以外の無形固定資産に配分されたのは個店営業権46億74百万円のみで、加重平均償却年数は12年とされている。取得原価の配分先として個々の店の営業権が単独で立つという処理は、ファミリーマートが買ったものが純資産ではなく、首都圏に散らばる店の立地であったことを会計の側から示している。

そののれんは翌期の貸借対照表から消えた。2010年3月1日の吸収合併で繰延税金資産を見直すため、当連結会計年度に一時的に発生するものだと有価証券報告書は説明しており、実際に2011年2月期ののれんは計上されていない。成否が残るのは店舗数の側で、2010年2月期末に国内店舗数とは別に掲げられた1,104店のam/pm店は、翌期末に469店へ減り、2011年12月の統合完了をもって計733店がファミリーマート店へ転換された。国内店舗数は7,688店から8,834店へ増えており、買収の成果は会計上の残高ではなく、看板を掛け替えた店の数として現れている。

Yutaka Sugiura, 2026年8月

業績の推移
買収の条件

買収の条件

科目 概要 備考
被取得企業の名称 ㈱エーエム・ピーエム・ジャパン 「am/pm」を中心としたコンビニエンスストアの経営、FC店管理、店舗コンサルタント等
企業結合を行った主な理由 首都圏を中心とした店舗網の拡充 スケールメリットの獲得及び事業インフラの統合による効率化等を通じた事業価値の向上
契約の締結 2009年11月13日 取締役会で全株式及び貸付債権の取得を決議し、同日付で株式及び債権譲渡契約を締結
企業結合日 2009年12月28日 当連結会計年度末をみなし取得日としたため、当期の連結業績に業績は含まれない
企業結合の法的形式 株式の取得
取得した議決権比率 100%
取得の対価 12,858百万円 契約の調整手続きによる対価を含む。実質的な取得の対価は120億円
取得に直接要した費用 299百万円
取得原価 13,157百万円
受け入れた資産の額 28,438百万円 流動資産15,119百万円、固定資産13,319百万円
引き受けた負債の額 39,116百万円 流動負債36,921百万円、固定負債2,194百万円
のれんの金額 23,834百万円 企業結合時の時価純資産が取得原価を下回った差額。償却方法・償却期間の記載はない
のれんの帰趨 吸収合併に伴い消滅 合併で繰延税金資産を見直すため、当連結会計年度に一時的に発生するものとされた
個店営業権 4,674百万円 のれん以外の無形固定資産に配分した額。加重平均償却年数は12年
取得原価の配分 暫定的な会計処理(未完了) 翌期の第30期有価証券報告書にも、配分が確定した旨の注記はない
合併契約の締結 2010年1月23日 取締役会で吸収合併を決議し、同日付で合併契約書を締結した
合併の企業結合日 2010年3月1日 共通支配下の取引として処理。存続会社は㈱ファミリーマート

出所:ファミリーマート 有価証券報告書 第29期(2010年2月期)【企業結合等関係】【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】・第30期(2011年2月期)【企業結合等関係】

国内店舗数とam/pm店の推移

ファミリーマート:国内店舗数とam/pm店の推移

(店) 国内店舗数am/pm店(別掲) 備考
2006年2月期 6,734 当社6,284店と国内エリアフランチャイザー2社の合計
2007年2月期 6,974 当社6,501店と国内エリアフランチャイザー3社の合計
2008年2月期 7,187
2009年2月期 7,404
2010年2月期 7,6881,104 am/pmはジャパン854店とエリアフランチャイザー3社250店。国内店舗数には含めない
2011年2月期 8,248469 am/pmは当社335店とエリアフランチャイザー2社134店。転換が進み前期から635店減
2012年2月期 8,8340 2011年12月に事業統合が完了し、計733店をファミリーマート店へ転換した
2013年2月期 9,481 当社8,772店と国内エリアフランチャイザー4社の合計。am/pm店の別掲は消えた
2014年2月期 10,547 国内エリアフランチャイザー4社計767店を含む
2015年2月期 11,328 国内エリアフランチャイザー4社計814店を含む
国内店舗数とam/pm店
国内店舗数(店)am/pm店(別掲)(店)

出所:ファミリーマート 有価証券報告書 第25期〜第34期(コンビニエンスストア事業に係る店舗数) / ファミリーマート 有価証券報告書 第25期〜第34期(業績等の概要)

のれんと無形固定資産の推移

ファミリーマート:のれんと無形固定資産の推移

(百万円) のれん個店営業権無形固定資産合計 備考
2005年2月期 2258,385 当時の科目名は連結調整勘定で、償却期間は5年
2006年2月期 1666,892 当時の科目名は連結調整勘定
2007年2月期 1095,720 当時の科目名は連結調整勘定
2008年2月期 2,6017,947 第27期からのれんの科目へ切り替わった
2009年2月期 1,7058,940
2010年2月期 25,0604,67438,291 am/pm取得によるのれん23,834と個店営業権4,674を計上し、無形固定資産が4倍超へ
2011年2月期 02,91814,527 吸収合併に伴う繰延税金資産の見直しで、am/pm取得によるのれんが消滅した
2012年2月期 3804,80015,674
2013年2月期 5,3224,24620,409
2014年2月期 8,6223,59423,145
2015年2月期 9,3953,06623,365
のれんと個店営業権
のれん(百万円)個店営業権(百万円)

出所:ファミリーマート 有価証券報告書 第25期〜第34期(連結貸借対照表)

同じ問いに直面した会社

同じ問いに直面した会社

買収・合併後の統合2021年オープンアップグループ現金を使わず株式だけで行う統合と、3か月後に314億円を削られたのれん経営統合とブランドの再設定
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参考文献
出典・参考
  • ファミリーマート 有価証券報告書 第29期(2010年2月期・連結)
  • ファミリーマート 有価証券報告書 第30期(2011年2月期・連結)
  • ファミリーマート 有価証券報告書 第31期(2012年2月期・連結)
  • ファミリーマート 有価証券報告書 第25期〜第34期(連結貸借対照表・コンビニエンスストア事業に係る店舗数)
  • ファミリーマート 有価証券報告書「第29期(2010年2月期)有価証券報告書」
  • ファミリーマート 有価証券報告書「第30期(2011年2月期)有価証券報告書」
  • ファミリーマート 有価証券報告書「第31期(2012年2月期)有価証券報告書」

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