カテナ吸収合併と商号変更(2009年・システナの決断)

更新:
論点 携帯偏重の顧客基盤を合併で替えるか
システナ:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
合併した二社を「システナ」の新社名の下に一体化する再編

何をなぜ決めたか:合併した二社を「システナ」の新社名の下に一体化する再編

概要

2009年12月14日、株式会社システムプロは取締役会で持分法適用関連会社カテナ株式会社の吸収合併を決議し、同日付で合併契約を締結した経営判断。システムプロを存続会社とし、カテナ株式1株にシステムプロ株式0.0048株を割り当てる比率で、2010年4月1日に効力が発生した。カテナは解散し、合併直前に39.8%だった議決権比率は100.0%となった。

交付した株式は91,959株で評価額6,183百万円。取得に直接要したアドバイザリー費用等122百万円を加えた取得原価は6,306百万円となる。商号はいったんシスプロカテナへ改め、2010年7月1日付で株式会社システナへ変更した。

背景

上場後のシステムプロは携帯電話端末ソフトウエアの仕様策定・設計開発・品質評価に売上が集中し、総販売実績の2割超を1社が占める期が続いた。第26期22.6%、第27期23.7%、5か月決算の第28期27.5%と、売上の4分の1前後を1社に頼る状態にあった。2007年2月28日にカテナと資本・業務提携して出資比率29.92%の持分法適用関連会社とし、同年11月29日の第三者割当増資の引受けで35.97%へ引き上げ、2009年4月17日からは共同でクラウドソリューションの提供を開始していた。

内容

金融機関向けを中心とするシステム開発、システムの運用・保守とヘルプデスク、IT関連商品の販売を営むカテナは、2009年3月期の売上高372億1,100万円と、システムプロの2009年10月期81億6,100万円の4倍を超える規模だった。合併で受け入れた資産は17,984百万円(流動11,387・固定6,596)、引き受けた負債は12,617百万円(流動9,379・固定3,237)。

企業結合時の資産・負債の純額が取得原価を下回った差額939百万円をのれんとして認識し、5年間で均等償却することとした。決議期に後発事象として開示した時点では1,020百万円だった。段階取得に係る差益288百万円は特別利益に計上している。

含意

合併を挟んで連結の姿は一変した。総資産は2010年3月期末の8,414百万円から2011年3月期末に24,453百万円へ、純資産は6,265百万円から14,692百万円へ膨らみ、売上高は39,176百万円、営業利益2,579百万円、当期純利益2,957百万円となった。有利子負債の残高は合併直後に比べ4,389百万円減り、現預金が有利子負債を上回る実質無借金に戻っている。

2011年2月1日には、金融機関向けシステム開発で事業が重複していた連結子会社を1,500百万円で譲渡し、578百万円の売却益を得た。同じ期に、総販売実績の10%以上を占める相手先は一社も無くなった。

いつ何が起きたか 8件
考察:顧客をひとつ持つことの危うさ
考察

考察:顧客をひとつ持つことの危うさ

この合併を、規模の小さい側が大きい側を飲み込んだ逆転劇として読むこともできる。ただ、開示された経緯をたどると、逆転そのものは目的ではなかったように見える。システムプロが抱えていた問題は成長率ではなく、売上の4分の1を一社に握られている構造にあった。技術者を増やせば売上が伸びる事業では、増員の速度を決めるのは自社の判断ではなく、発注元の開発計画になる。三年をかけて出資比率を引き上げ、最後に合併へ進んだ経緯は、その依存を解くための順序であったと推察される。

もっとも、合併の理由として掲げられたエア・シンクライアント・サービスは、その後の主力事業として語られなくなった。合併で実際に効いたのは、構想として説明された新事業ではなく、旧カテナが抱えていた金融系の顧客と、それを売り歩く営業の存在であった。掲げた名目と、後から振り返って効いたものが一致しない点に、この判断の性格がうかがえる。1社への集中を解いた会社が、2020年代に次世代モビリティという新しい集中先を選んでいることを思えば、専門特化と顧客分散のどちらに寄るかという問いは、この会社に繰り返し戻ってくる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
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図と表

システナ:連結業績の推移

売上高(百万円)営業利益率(%)
システナ:連結業績の推移
(百万円) 売上高営業利益当期純利益 備考
2006年10月期 5,917961602
2007年10月期 7,9301,595849
2008年10月期 9,6031,8161,275
2009年10月期 8,1611,2611,180
2010年3月期 3,636490340 決算期変更により2009年11月1日から2010年3月31日までの5か月決算
2011年3月期 39,1762,5792,957 カテナの業績を通年で取り込んだ最初の期。合併の効力発生は期首の4月1日
2012年3月期 30,6301,822904 金融機関向けの連結子会社と基幹システム開発事業の売却が通年で効いた期
2013年3月期 31,6622,2441,203
2014年3月期 33,9691,6561,797
2015年3月期 36,9512,226940
2016年3月期 42,6953,1722,249 第33期以降は親会社株主に帰属する当期純利益
出所:株式会社システムプロ 有価証券報告書 第28期(主要な経営指標等の推移・連結損益計算書) / 株式会社システナ 有価証券報告書 第29期・第34期(主要な経営指標等の推移・連結損益計算書)
出所:株式会社システムプロ 有価証券報告書 第28期(主要な経営指標等の推移・連結損益計算書) / 株式会社システナ 有価証券報告書 第29期・第34期(主要な経営指標等の推移・連結損益計算書)

システナ:総資産と純資産の推移

純資産(百万円)負債(百万円)
システナ:総資産と純資産の推移
(百万円) 総資産純資産 備考
2006年10月期 5,7614,747
2007年10月期 8,2754,982
2008年10月期 8,3845,229
2009年10月期 8,5016,189
2010年3月期 8,4146,265 5か月決算。合併の効力発生前で、カテナは持分法適用関連会社のまま
2011年3月期 24,45314,692 総資産は16,039百万円増。受け入れた資産17,984百万円・負債12,617百万円による
2012年3月期 21,87113,586
2013年3月期 20,00512,848
2014年3月期 20,25513,139
2015年3月期 21,42513,110
2016年3月期 22,93213,561
出所:株式会社システムプロ 有価証券報告書 第28期(主要な経営指標等の推移) / 株式会社システナ 有価証券報告書 第29期・第34期(主要な経営指標等の推移)
出所:株式会社システムプロ 有価証券報告書 第28期(主要な経営指標等の推移) / 株式会社システナ 有価証券報告書 第29期・第34期(主要な経営指標等の推移)

合併の条件

合併の条件
科目 概要 備考
結合当事企業 システムプロ(存続)とカテナ(消滅) カテナは金融機関向けを中心とするシステム開発、運用・保守、IT関連商品の販売
取締役会の決議日 2009年12月14日 同日付で合併契約を締結した
企業結合の法的形式 吸収合併 システムプロを存続会社とする吸収合併方式で、カテナは解散した
効力発生日(企業結合日) 2010年4月1日 連結損益計算書に含めた業績は2010年4月1日から2011年3月31日まで
合併比率 1:0.0048 カテナ株式1株にシステムプロ株式0.0048株を割当交付。自己保有分には割当てなし
合併比率の算定方法 市場株価法とDCF法 評価レンジは市場株価法0.004679〜0.005262、DCF法0.003476〜0.005242
交付した株式数 91,959株 評価額6,183百万円。保有する自己株式を割当てに充当した
取得した議決権比率 100.0% 合併直前に所有していた39.8%に、企業結合日に60.2%を追加取得した
取得原価 6,306百万円 対価は当社株式6,183百万円と、取得に直接要したアドバイザリー費用等122百万円
段階取得に係る差益 288百万円 取得原価と、取得するに至った取引ごとの取得原価の合計額との差額。特別利益に計上
のれん 939百万円 5年間の均等償却。決議期に後発事象として開示した時点では1,020百万円だった
受け入れた資産合計 17,984百万円 流動資産11,387百万円、固定資産6,596百万円
引き受けた負債合計 12,617百万円 流動負債9,379百万円、固定負債3,237百万円
取得企業を決定した根拠 対価の種類が株式であること 株式を交付したシステムプロを取得企業と決定した
結合後企業の商号 シスプロカテナ株式会社 2010年7月1日付で株式会社システナへ商号変更した
カテナの上場廃止日 2010年3月29日 東京証券取引所市場第二部。合併契約の締結時に予定日として示された日
出所:株式会社システナ 有価証券報告書 第29期(2011年3月期)【企業結合等関係】 / 株式会社システムプロ 有価証券報告書 第28期(2010年3月期)【重要な後発事象】
出所:株式会社システナ 有価証券報告書 第29期(2011年3月期)【企業結合等関係】 / 株式会社システムプロ 有価証券報告書 第28期(2010年3月期)【重要な後発事象】
参考文献

参考文献

参考
  • 株式会社システナ 公式サイト「システナのあゆみ(沿革)」(https://www.systena.co.jp/about/history.html)
  • 株式会社システムプロ 適時開示「株式会社システムプロとカテナ株式会社の合併契約締結について」
  • 株式会社システムプロ 有価証券報告書「第28期(2010年3月期)【重要な後発事象】【対処すべき課題】」
  • 株式会社システナ 有価証券報告書「第29期(2011年3月期)【企業結合等関係】【事業分離等関係】」
  • 株式会社システナ 有価証券報告書「第29期(2011年3月期)【業績の概況】【財政状態の分析】」
  • 株式会社システナ 有価証券報告書「第28期・第29期・第34期【主要な経営指標等の推移】」

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