光洋精工と豊田工機の合併(2005年・ジェイテクトの決断)

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論点 グループ内の重複事業を合併で解消するか
ジェイテクト:業績の推移
売上高(億円)親会社株主に帰属する当期純利益率(%)
軸受と工作機械の統合による新会社ジェイテクトの誕生

何をなぜ決めたか:軸受と工作機械の統合による新会社ジェイテクトの誕生

概要

2005年2月に基本合意し同年5月に合併契約書を結んだ光洋精工と豊田工機が、2006年1月1日に合併して株式会社ジェイテクトとなった経営判断。軸受・工作機械・ステアリングの3事業が1社に集まった。

背景

1980年の第三者割当増資でトヨタ自動車工業が筆頭株主となった光洋精工と、1941年にトヨタ自動車工業から分離独立した豊田工機は、いずれもステアリングを手がけ、北米・欧州にそれぞれ独自の拠点網を築いていた。

内容

光洋精工を存続会社とする合併で、商号をジェイテクトへ変更。豊田工機の1株に光洋精工の0.76株を割り当て、98,605千株を交付した。資本金は増えず資本準備金が278億円増加し、連結の就業人員は8,792人増えた。社長には旧光洋精工社長の吉田紘司氏が就任した。

含意

トヨタグループ内でステアリング事業を1社へ集約する再編の先行例となった。合併後にステアリングの世界シェアは高水準を保った一方、旧2社が別々に築いた海外拠点網の二重構造は残り、ブランド統一は2022年までかかった。

いつ何が起きたか 9件
考察:重複をなくす合併と、混ざりきらない会社
考察

考察:重複をなくす合併と、混ざりきらない会社

この合併の理屈は明快であった。同じ製品を2社が別々の設備で作り、別々の海外拠点で顧客に納めている——その重複を消せば、開発も購買も生産も一本化できる。トヨタグループという単一の親会社を共有していたことが、合併の意思決定を早めたと思われる。実際、合併前の2005年3月期に5,702億円だった連結売上高は、通年で寄与した2007年3月期に1兆253億円と1.8倍になり、総資産も5,105億円から9,453億円へ膨らんだ。数字で測る限り、統合の効果は説明のつく形で表れている。

ただ、会社が一つになることと、事業が一つに混ざることは別であった。国内の事業ブランドが統一されるまでに16年、本店が刈谷へ移るまでに15年を要し、その後も3事業の融合は経営計画の主題として残っている。1921年の大阪の軸受専業と1941年のトヨタ直系の工作機械メーカーという出自の違いは、商号を揃えただけでは消えなかったのだろう。重複の解消は合併の日に完了するが、異なる事業をどう一体で動かすかという問いは、その日から始まるのかもしれない。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る 3表

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図と表

ジェイテクト:連結売上高と総資産の推移

売上高(百万円)経常損益率(%)
ジェイテクト:連結売上高と総資産の推移
(百万円) 売上高経常損益総資産 備考
2002年3月期 404,2944,724479,261
2003年3月期 446,77812,043457,559
2004年3月期 505,20621,761490,730
2005年3月期 570,24331,769510,548 合併前の光洋精工単独の連結
2006年3月期 724,34946,804849,233 合併は2006年1月1日。豊田工機の損益は期末3か月分のみ
2007年3月期 1,025,29766,968945,308 通年で寄与した最初の期。売上高が1兆円を超えた
2008年3月期 1,157,59472,896974,819
2009年3月期 1,017,07111,109813,461
2010年3月期 769,682△252847,005 需要の急減で経常損益が赤字に転じた
2011年3月期 955,47040,263842,220
出所:ジェイテクト 有価証券報告書 第106期(2006年3月期)・第110期(2010年3月期)・第114期(2014年3月期)【主要な経営指標等の推移】
出所:ジェイテクト 有価証券報告書 第106期(2006年3月期)・第110期(2010年3月期)・第114期(2014年3月期)【主要な経営指標等の推移】

ジェイテクト:事業別売上高の推移

機械器具部品(百万円)工作機械(百万円)
ジェイテクト:事業別売上高の推移
(百万円) 機械器具部品工作機械 備考
2006年3月期 608,282116,066 合併で工作機械等の割合が高まり、当期からセグメント情報が開示された
2007年3月期 825,636199,660
2008年3月期 954,638202,956
2009年3月期 830,328186,743
2010年3月期 678,44691,235 工作機械等事業は10,287百万円の営業損失
2011年3月期 828,962126,508 当期から区分の名称が工作機械等事業から工作機械へ変わった
出所:ジェイテクト 有価証券報告書 第106期〜第111期(事業の種類別セグメント情報・セグメント情報。外部顧客に対する売上高)
出所:ジェイテクト 有価証券報告書 第106期〜第111期(事業の種類別セグメント情報・セグメント情報。外部顧客に対する売上高)

合併の条件

合併の条件
科目 概要 備考
合併の方法 光洋精工を存続会社とする合併 消滅会社は豊田工機。合併後の会社の名称は株式会社ジェイテクト
合併比率 豊田工機1株に光洋精工0.76株 豊田工機が所有する自己株式には割り当てていない
合併契約書の締結日 2005年5月13日 基本合意は2005年2月。合併登記は2006年1月5日
合併期日 2006年1月1日 同日付で商号を光洋精工から株式会社ジェイテクトへ変更した
交付した株式数 98,605千株 発行済株式総数は215,241千株から318,164千株へ増えた
増加した資本金 なし 合併により資本金は増加せず、資本準備金が27,863百万円増えた
引き継いだ資産 231,330百万円 流動資産88,396百万円、固定資産142,933百万円
引き継いだ負債 133,479百万円 流動負債64,638百万円、固定負債68,840百万円
差引正味財産 97,850百万円 豊田工機から引き継いだ資産と負債の差額
豊田工機の規模 売上高186,420百万円 2005年3月期。当期純利益4,963百万円、従業員3,878人
増えた関係会社 子会社37社・関連会社6社 合併により子会社は130社、関連会社は22社となった
増えた従業員 8,792人 連結の就業人員数。合併が主な要因と記載されている
企業結合等関係の注記 記載なし 企業結合会計基準の適用前で、取得原価やのれんの開示はない
出所:ジェイテクト 有価証券報告書 第106期(2006年3月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】【発行済株式総数、資本金等の推移】【従業員の状況】
出所:ジェイテクト 有価証券報告書 第106期(2006年3月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】【発行済株式総数、資本金等の推移】【従業員の状況】
参考文献

参考文献

参考
  • ジェイテクト 有価証券報告書 第125期(2025年3月期)【沿革】
  • ジェイテクト 有価証券報告書 第106期(2006年3月期)・第107期(2007年3月期)
  • ジェイテクト 適時開示 2006年1月5日「代表取締役の異動及び子会社の商号変更に関するお知らせ」
  • ジェイテクト 有価証券報告書「第106期(2006年3月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】【発行済株式総数、資本金等の推移】【従業員の状況】」
  • ジェイテクト 有価証券報告書「第106期・第110期・第114期【主要な経営指標等の推移】、第106期〜第111期【事業の種類別セグメント情報】【セグメント情報】」
  • ジェイテクト 有価証券報告書「第125期(2025年3月期)【沿革】」

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