ジェイテクトの直近の動向と展望

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ジェイテクトの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

北米タスクフォースチームと欧州NRB事業譲渡

近藤体制下で最も大きな収益改善テーマとなっているのが、北米と欧州の構造問題の解消である。北米では生産効率悪化に伴うロスコストが2024年3月期までに約80億円規模で発生しており、FY24 3Q時点で9カ月累計約70億円、FY25計画45億円と段階的に縮小を進めている。対策として「①内製費改善・生産安定化 ②業務プロセス最適化 ③体質改善・中期戦略策定」の3チーム構成の北米タスクフォースチーム(TFT)を結成し、日本からの短期駐在員派遣を含む集中投入で改善に当たってきた(決算説明会 FY24-3Q)。1970年代以来の北米拠点網が合併後もそのまま温存されてきた反動が、ここで一気に対処対象として浮かび上がった形である。

欧州では2025年8月にニードル・ローラー・ベアリング(NRB)事業の譲渡手続きが完了し、上期実績に約5億円の事業利益増効果をもたらした。FY25 2Q時点で北米TFT活動は価格適正化50億円・生産性改善15億円の効果を上げ、北米は上期黒字化を達成している(決算説明会 FY25-2Q)。近藤社長は「現地スタッフのモチベーション向上など好循環が始まりつつある」(近藤禎人 決算説明会 FY25-2Q)と述べ、2006年の合併以来重荷となってきた北米・欧州事業が、ようやく再建の見通しを得つつある局面に入った。縮小と改善を同時に進める手法は、合併後のジェイテクトが拠点網を自らトリミングする段階に移ったことを示している。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 決算説明会 FY24-3Q
  • 決算説明会 FY25-2Q
  • レスポンス 2024/6/27

トランプ関税対応と「能動型」ビジネスへの転換

2024年秋以降の米国トランプ政権による関税政策は、ジェイテクトの事業運営に新たな変動要因を加えている。メキシコ・カナダからの輸入品には年間50〜60億円規模のコスト影響があり、北米Automation Direct社(ADC)の供給体制は中国からの仕入れから日本からの仕入れへと順次切り替えが進行している。主要顧客との関税転嫁交渉は日系・米系ともに前向きに受け入れられており、FY25下期は回収の期ズレリスク(3カ月程度)を織り込んで通期業績予想を据え置いた(決算説明会 FY25-2Q)。合併以来の北米事業の重荷に、貿易政策の変動という新しい外的要因が重なり、近藤体制の構造改革の難度はさらに上がった局面である。

近藤が掲げる「能動型」ビジネスへの転換は、ソリューション共創センターの発足、コアコンピタンスのプラットフォーム化、業務プロセスのデジタル化という3本柱で進んでいる。「デジタル化が遅れているので、まずはデジタルの底上げをしていく」(近藤禎人 レスポンス 2024/06/27)というDX戦略は、リードタイム半減や工場での「デジタル祭り」など現場起点の改善活動につながっている。統合ECUの潮流に対してはソフトウェア製品「Pairdriver®」による統合制御の立ち位置を明確化する方針を示した(決算説明会 FY25-2Q)。ステアリング世界シェアNo.1という看板の下で、軸受・工作機械との融合によって一つの顔を持つ会社に再定義できるかどうかが、次期中計以降のジェイテクトの課題である。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 決算説明会 FY24-3Q
  • 決算説明会 FY25-2Q
  • レスポンス 2024/6/27

参考文献・出所

有価証券報告書
JBpress 2025/2/20
日経xTECH 2024/6
決算説明会 FY23
決算説明会 FY24-3Q
決算説明会 FY25-2Q
レスポンス 2024/6/27
レスポンス