この統合を、規模を追った地銀再編の一例として片づけるのは、設計の芯を見落とすことになる。足利HDと常陽銀行は、合併して看板を一つにする方針を採らず、持株会社の下に二つの銀行を残したまま統括した。常陽銀行1株にめぶきFG1.17株という穏当な交換比率にも、どちらかがどちらかを飲み込む統合ではないという含意が読み取れる。栃木と茨城で長く根を張った看板と地盤に手をつけず、戦略・財務・リスク管理という後方の機能だけをHDへ集める——顧客との接点を動かさずに規模だけを合わせるところに、この判断の狙いがあったと思われる。
もっとも、二つの銀行を残す設計は、規模を得ても現場の重なりが完全には消えないことと背中合わせであった。ゆえに発足後のめぶきFGは、リースや証券といった顧客の信用に直結しない機能子会社から順に"めぶき"へ一本化し、看板は二つ、事業の中身は一つという使い分けを重ねていった。連結総資産で国内最大級に並んだことよりも、地域ごとの信用をどう守りながら統合の実を積み上げるかに、この判断のその後は懸かっているといえる。