筆者の見解
輸入材依存から現地資源保有へ、海外製造拠点モデルの最初の実例
この決断の核心は、原木を輸入に頼るだけの立場から、自ら現地に資源と製造拠点を持つ立場へ切り替えた点にあるのだろう。合板需要がほぼ存在しない市場に工場を建設するという判断は、短期的な採算だけを見れば無謀にも映るが、政府との約束を履行しながら現地の需要変化に合わせて内需へ転換した対応力が、事業を軌道に乗せる決め手になったといえる。
クタイでの経験は、1984年のニュージーランドにおけるMDF生産、1990年のインドネシアでのパーティクルボード生産へと引き継がれ、木質ボード事業の海外生産体制を構築する第一歩となった。資源を持つ土地に製造拠点を開設し、現地の需要とともに事業を育てるという手法は、木材専業の商社的な会社から、海外に自前の生産基盤を持つメーカーへと住友林業の性格を変えていく最初の一歩であったことがうかがえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月