住友金属工業新日鉄と資本提携:神戸製鋼所を加えた三社での相互出資と、国内鉄鋼再編に向けた足場固め

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時期 2002年11月
意思決定者(推定) 下妻博 住友金属工業 社長
論点 信用不安を断つために、統合に加わるか、独立を保ったまま資本を受け入れるか
概要

2003年1月、住友金属工業新日本製鐵神戸製鋼所と住友グループ各社を引受先とする第三者割当増資を実施し、二度の信用不安を断った経営判断。下妻博社長が神戸製鋼所の水越浩士社長を巻き込み、三社の資本提携を新日鉄へ提案する形で成立した。

背景

1999年度末の有利子負債は1兆8,833億円に膨らみ、2001年末には株価が40円割れ寸前まで下落した。市場には"危ない会社リスト"が出回り、2002年秋には"四〇社リスト"が二度目の危機を呼んだ。

内容

2001年12月、新日鉄との包括提携交渉を発表して一度目の危機を越えた。この時点の提携は生産・技術に限られ資本を含まない。2002年11月14日の新中期経営計画で新日鉄・神戸製鋼との相互出資を掲げ、2003年1月に増資を実施した。

含意

旧川崎製鉄の江本寛治社長からのラブコールに応じていれば、2002年9月に発足するJFEへ住金も加わっていた。その"大JFE"が生まれれば新日鉄が圧倒的に不利になる。この一点を交渉材料として、出資を渋っていた新日鉄から資本提携を引き出した。独立を保つために競合の資本を入れる選択であった。

筆者の見解

独立に付いた値段

この判断の核心は、独立を守るために競合の資本を招き入れた点にある。統合に加われば規模の問題は解決するが、住金という会社は消える。単独で耐えれば会社は残るが、市場は資金繰りを疑い続ける。下妻博社長が取ったのは第三の道であった。最大手に株主になってもらい、その与信で時間を買い、その間に和歌山問題を片づけるという順序である。資本を入れた相手は同時に競合でもあり、上工程では三社で協力し、対顧客では互いに競争するという線引きが提携の前提に置かれた。

もっとも、この構図には値段が付いていた。第三者割当増資で招いた新日鉄・神戸製鋼との資本関係は、資金繰りへの疑いを断つと同時に、買収防衛としても働いている。出資を渋る新日鉄から資本提携を引き出した交渉材料は、住金が旧川崎製鉄と組めば"大JFE"が生まれ、新日鉄が圧倒的に不利になるという一点であった。2012年10月、住金は新日本製鐵と合併する。独立を買うために借りた与信は、九年後に会社そのものと引き換えになった。ただしその九年は、和歌山の熱延ライン休止と鹿島の新高炉を自社の論理で決めるために使われており、順序は逆にできなかった。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

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出典・参考
  • 日経ビジネス 2004年10月18日号
  • 有価証券報告書(2006年3月期)

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