住友金属工業新日鉄と資本提携:神戸製鋼所を加えた三社での相互出資と、国内鉄鋼再編に向けた足場固め
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筆者の見解
独立に付いた値段
この判断の核心は、独立を守るために競合の資本を招き入れた点にある。統合に加われば規模の問題は解決するが、住金という会社は消える。単独で耐えれば会社は残るが、市場は資金繰りを疑い続ける。下妻博社長が取ったのは第三の道であった。最大手に株主になってもらい、その与信で時間を買い、その間に和歌山問題を片づけるという順序である。資本を入れた相手は同時に競合でもあり、上工程では三社で協力し、対顧客では互いに競争するという線引きが提携の前提に置かれた。
もっとも、この構図には値段が付いていた。第三者割当増資で招いた新日鉄・神戸製鋼との資本関係は、資金繰りへの疑いを断つと同時に、買収防衛としても働いている。出資を渋る新日鉄から資本提携を引き出した交渉材料は、住金が旧川崎製鉄と組めば"大JFE"が生まれ、新日鉄が圧倒的に不利になるという一点であった。2012年10月、住金は新日本製鐵と合併する。独立を買うために借りた与信は、九年後に会社そのものと引き換えになった。ただしその九年は、和歌山の熱延ライン休止と鹿島の新高炉を自社の論理で決めるために使われており、順序は逆にできなかった。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
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