神戸製鋼所の決断社史:経営の意思決定を振り返る

更新:

決断

一つの素材に絞らず、どの分野でも首位に達しないまま事業を並べ続けた。1959年に灘浜で高炉に火を入れ、1965年に尼崎製鉄を合併し、1970年3月に加古川製鉄所を新設して加工メーカーから銑鋼一貫へ移った。1983年には米ミドレックス社を買収して天然ガス直接還元の技術を取得し、同じ年に油谷重工へ資本参加して建設機械にも参入する。手放したのは2001年のテキサス・インスツルメンツとの半導体合弁の全株式譲渡くらいで、事業部ごとに収益を競わせる構造は投資を速める一方、品質保証を事業部の内側へ置いたままにした。2017年10月に公表したアルミ・銅などの品質データ改ざんは拠点で常態化した検査値の書き換えで、出荷先は600社を超えた。分野を横へ並べた経営が、収益の分散と統制の空白を同時に生んだ。

免責事項およびポリシー