神戸製鋼所の直近の動向と展望

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神戸製鋼所の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

創業120年目の過去最高純利益

2025年3月期、同社は売上高2兆5550億円(前期比+118億円)、経常損益1571億円、親会社株主に帰属する当期純損益1201億円を計上した。当期純利益は過去最高更新で、創業1905年から数えて120年目にして初めて1200億円の大台に乗った。ROICは6.9%、ROE10.8%、純資産比率42.8%(+4.2pt)、D/Eレシオ0.76倍と安全性指標も改善した。機械セグメントはエネルギー・化学向けの売上増加で経常損益+100億円、アルミ板は自動車向けパネル事業の再構築に伴う損失解消で+50億円、電力は一過性増益影響の縮小で減益となる一方で鉄鋼・海外関係会社の業績改善が支えた。

2025年度の業績見通しは経常損益1200億円・当期純損益1000億円・年間配当80円・ROIC5%程度と保守的で、前年度の一過性利益剥落と米国関税影響を慎重に見込んでいる。米国関税政策は2025年度計画に未反映で、素材系・機械系事業で米国向け輸出があり、米国に複数生産拠点を持つ同社にとって業績影響の読みづらさが続く。2026年1月には神戸発電所3号機の定期点検期間延長が発生、高圧タービンを取り付けている大型ナットが緩まず配管切断対応を余儀なくされ、運転再開は2026年5月中旬予定に後ろ倒しされた。電力事業の安定収益源化の途上で設備トラブルが顕在化した形である。

参考文献
  • 決算説明会 FY2025
  • 決算説明会 FY2026-Q3

勝川四志彦体制下の複合経営モデル

勝川四志彦社長は当グループの最大の強みは多様な人材と多様な技術・事業の掛け算によって新たな価値を創造できる点にあると述べ、複合経営を戦略的アセットとして再定義した。脱炭素領域では、1983年買収の米ミドレックス社が持つ直接還元製鉄技術が、高炉に代わる水素還元製鉄の中核技術として世界の鉄鋼業界の注目を集めている。40年前に電気炉向け特殊工法として買収した技術が、脱炭素という新しい文脈で再評価される巡り合わせである。

2025年度第3四半期(2026年2月発表)時点では、累計売上高1兆7780億円・経常損益895億円・当期純損益843億円と前年同期比減益ながら通期見通しを据え置き、機械系事業の増益と在庫評価影響の改善で鉄鋼メタルスプレッド悪化と神戸発電所3号機定期点検延長の影響を相殺する計画となった。鉄鋼・アルミ銅・機械・溶接・建設機械・電力・エンジニアリングという7つのセグメントがそれぞれ独立した市況サイクルを持ち、どれか一つが強烈に伸びてもどれか一つが足を引っ張るという複合経営特有のプロファイルは、鈴木商店時代から120年続く同社の構造的特徴として残っている。

参考文献
  • 決算説明会 FY2025
  • 決算説明会 FY2026-Q3

参考文献・出所

有価証券報告書
日本会社史総覧 1995/11/1
決算説明会 FY2025
決算説明会 FY2026-Q3