配当を止めた3カ月半後に519億円の増資を決めたという順番が、この判断の性格を語っている。あおぞら銀行は公的資金完済後の2016年3月期から配当性向約50%を掲げ、四半期配当で個人株主を集めてきた銀行で、その看板を下ろしてなお資本が足りなかった。相手が大和証券グループ本社になったのは、上場企業約4,000社の半数で幹事を務める顧客基盤という取引上の理由が大きいとみられるが、再上場の主幹事であり社長同士が10年来の間柄という関係の近さも、短い時間で条件をまとめる助けになったと考えられる。
ただ、提携で埋まったのは資本と紹介経路であって、収益構造そのものではない。2027年度に業務純益100億円という提携効果は現場の200回超の会議から積み上げた見積もりで、実額としてはこれから確かめられる段階にある。しかも本稿の時点で、高い金利で集めた個人預金は1年に3,763億円流出し、預金利回り0.43%は中期経営計画の前提を上回る。20年以上どこの系列にも属さずに来た銀行が独立を放棄して得たのは、時間と選択肢であって、稼ぐ力の保証ではなかったといえる。