2012年10月という期限が、この判断のかたちを決めた。1,553億円を返せなければ政府保有の優先株は普通株に変わり、国が普通株主として経営に加わる。あおぞら銀行が選んだのは、資本金を4,200億円から1,000億円へ削減して原資を作り、227億円の買い戻しと毎年205億円の特別優先配当という現金の形で返す方針であった。減資は聞こえのよい施策ではないが、希薄化と国の関与を同時に避けられる手立ては、当時ほかに見えていなかったと思われる。
もっとも、3年で完済できたのは自力だけの成果ではない。株価の回復という前提が満たされ、筆頭株主のサーベラスが約1,500億円で持分を降りたことも、返済と資本構成の整理を同時に進める条件になった。新生銀行が優先株を普通株に転換されていたために相対での分割返済に持ち込めなかった事実を並べると、完済の差は経営努力の差というよりも、破綻処理の時に公的資金を優先株で入れたか普通株で入れたかという設計の差でもあったといえる。