あおぞら銀行の直近の動向と展望

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あおぞら銀行の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

中期経営計画 ── 純利益330億円という実証実験

2025年5月、同行は新中期経営計画(2025-2027年度)を公表した。2025年度親会社株主純利益予想220億円、2027年度目標330億円、配当性向55%という設計である。中核ドライバーはGMOあおぞらネット銀行の黒字化加速、大和証券G提携効果、2026年度以降の市場部門改善で、2024年度の親会社株主純利益205億円(2023年度▲499億円からの回復)を起点に積み上げる想定である。CET1比率は中計期間中に国内貸出積み上げによる一時低下を許容し、2029年度に9%以上へ戻す資本運営で、投資銀行モデルに整合する水準に置いた。2023年度赤字から330億円という回復カーブは、過去3度の崖を経て選び取った投資銀行型ビジネスモデルの実証実験に当たり、同行の歴史で初めて純損失なしに独自モデルを実証する3年間となる。

国内LBO市場の拡大を成長ドライバーに据え、国内LBO向けアセットは2027年度までに倍増計画とした。地銀との連携深化も中核施策で、大見社長は「M&A関連融資で地銀から出向者受け入れ拡大」(Bloomberg 2025/12)へ舵を切った。330億円目標への進捗について、2025年度第3四半期時点で経営陣は「いずれのビジネスも想定以上に順調に進捗していると評価」しつつ、「必ずしも右肩上がりのトレンドのみで成長していくものではない」として変動要因の存在も示した(決算説明会 FY2025-3Q)。国内LBO市場では1,000億円規模のMBOや事業承継型案件が増えており、同行は草創期から知見を蓄えた事業者としてこの流れを取りに行く位置にある。

参考文献
  • 決算説明会 FY2024
  • 決算説明会 FY2025-2Q
  • 決算説明会 FY2025-3Q
  • Bloomberg 2025/12

レガシー資産処理の終盤と金利正常化対応

2023年度赤字の震源だった米国オフィス向けノンリコースローンと有価証券レガシー資産の処理は、2025年度に終盤に入った。米国オフィス向けローンは複数件の売買契約が締結済みで、2025年度末時点の破綻懸念先は5件程度・残高200百万米ドル未満が視野に入り、通常のリスク管理体制への移行が現実味を増した。有価証券レガシー資産も、満期のないクレジットETFを約70百万米ドル売却するなど優先処理を進め、満期のあるアセットは基本的に償還待ちへ整理した。震源地の処理が終われば、同行のバランスシートは2024年度以降の収益回復を素直に反映する状態へ戻る見通しである。

並行して日銀の金利正常化に合わせた預金金利運営も進む。2025年12月の利上げ以降、BANK普通預金の100万円以下部分は0.75%(追随率100%)、100万円超は0.50%へ引き上げた。定期預金も5年物で他行比高めの金利を設定し、個人預金残高は増加傾向に転じた。マイナス金利下の2019年に他行先行で始めたBANKブランドの個人預金基盤が、金利正常化時代にもコントロール可能な調達源として働くかが、投資銀行型ビジネスの前提を支える。対面店舗を持たないという制約から生まれた独自の調達モデルが、金利正常化時代でも機能するか。単なるニッチ深掘りではなく、調達構造の安定性も合わせて問われる段階に入った。

参考文献
  • 決算説明会 FY2024
  • 決算説明会 FY2025-2Q
  • 決算説明会 FY2025-3Q
  • Bloomberg 2025/12

参考文献・出所

有価証券報告書
ダイヤモンド 2021
東洋経済オンライン 2023
日本経済新聞 2024/1/26
決算説明会 FY2024-2Q
決算説明会 FY2024
決算説明会 FY2025-2Q
決算説明会 FY2025-3Q
Bloomberg 2025/12
Bloomberg