新生銀行との合併破談(2009年・あおぞら銀行の決断)

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論点 同業大手と合併するか
あおぞら銀行:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
長信銀を前身とする2行の対等比率による合併構想と、統合契約の解消

何をなぜ決めたか:長信銀を前身とする2行の対等比率による合併構想と、統合契約の解消

概要

2009年7月1日、あおぞら銀行は新生銀行とAlliance Agreement(統合契約)を結び、2010年に予定する両行の株主総会の承認と関係当局の認可を前提に、対等比率での合併に合意した。合併比率は普通株1対1、効力発生日の目標は2010年10月とした。2009年3月末の連結総資産はあおぞら銀行が6兆773億円、新生銀行が11兆9,491億円で、合わせて約18兆円となる。合併行は国内銀行第6位の資産規模になるはずだった。しかし2010年5月14日、両行は取締役会で統合契約の解消を決議し、合併を見送った。

背景

両行はともに長期信用銀行を前身とする。新生銀行の前身の日本長期信用銀行は1998年10月に特別公的管理に入って上場を廃止し、2000年3月にニュー・エルティーシービー・パートナーズが経営権を取得した。あおぞら銀行の前身の日本債券信用銀行は同年12月に特別公的管理に入り、2000年9月にソフトバンク・オリックス・東京海上火災保険などへ株式が譲渡された。2003年9月の公開買付けで、主要株主はソフトバンクからサーベラス系のファンドに替わった。

合意の直後、両行はそろって金融庁から業務改善命令を受ける。あおぞら銀行は2009年7月28日、2009年3月期の収益が経営健全化計画の目標を大幅に下回ったことなどを問われ、新生銀行も同じ7月に収益実績と計画の大幅な乖離で命令を受けた。あおぞら銀行が返済すべき公的資金は、再上場前で3,550億円あった。

内容

合併はあおぞら銀行を消滅会社、新生銀行を存続会社とする吸収合併の形をとる。7月7日には池田憲人氏が両行の顧問に就き、統合委員会と統合アドバイザリーグループ、分科委員会を設けた。合併行の戦略には国内事業金融、個人向け業務、地域金融機関との連携の3つを掲げ、メガバンクでも地域金融機関でもない中立性を特色とした。

新生銀行は2008年9月にGEコンシューマー・ファイナンスを連結子会社とし、あおぞら銀行は2009年8月に関東つくば銀行グループ・茨城銀行グループとの戦略的提携の基本合意を公表するなど地域金融機関との提携を広げていた。新生銀行の八城政基社長は 『来年度、あおぞら銀行との合併に向けて、健全なバランスシートを確保できるよう、流動性を十分に確保しつつ資本の強化に努めてまいります』 と語っている。2010年6月に合併契約を結び、両行の株主総会で承認を得る段取りだった。

含意

2010年2月の時点でも、両行は統合委員会などを通じて新銀行のビジネスモデルやIT戦略を協議していた。その3か月余り後の5月14日、両行の取締役会が統合契約の解消を決議した。解消の理由は両行の有価証券報告書に記載がなく、あおぞら銀行の財政状態と経営成績への重要な影響もない。

新生銀行は単独での営業基盤と財務基盤の強化に注力し、あおぞら銀行とは新たな業務提携を検討する方針に転じた。あおぞら銀行は2010年3月期に連結当期純利益83億円を計上し、連結自己資本比率14.03%を背に、国内事業金融を中心とするビジネスモデルへの転換を掲げた。

いつ何が起きたか 6件
考察:出自の近さと、語られなかった破談の理由
考察

考察:出自の近さと、語られなかった破談の理由

新生銀行とあおぞら銀行の合併構想は、規模の拡大を狙った統合というより、ともに公的資金の返済を背負い、同じ月に業務改善命令を受けた2行が、互いの得手を足し合わせて再起の道を探った試みだったとみられる。新生銀行は消費者金融の子会社を抱えて個人向けに厚く、あおぞら銀行は地域金融機関との提携を広げていた。合併行の戦略に国内事業金融・個人向け業務・地域金融機関との連携を並べた設計は、その足し算の表れだろう。ただ、対等比率をうたいながら存続会社を新生銀行とした形には、どちらの路線を軸に据えるのかという問いが残されていたのではないか。

もっとも、解消の理由を両行は有価証券報告書で明らかにしていない。解消の3か月前まで新銀行のビジネスモデルやIT戦略を協議していたことからすれば、条件の細部よりも、合併後に何を本業とする銀行になるのかという土台で折り合えなかったと推察される。解消後、あおぞら銀行は国内事業金融を中心とするビジネスモデルへの転換を掲げ、新生銀行は単独での基盤強化に向かった。出自の近い2行であっても、目指す銀行像の擦り合わせは合併の手続きより重かったと思われる。

参考文献

参考文献

参考
  • 新生銀行 平成22年3月期 第1四半期決算短信(2009年7月30日)
  • あおぞら銀行 2009年度(平成22年3月期)中間決算説明会資料(2009年11月20日)
  • あおぞら銀行 有価証券報告書 第77期(2010年3月期)【対処すべき課題】
  • 新生銀行 有価証券報告書 第10期(2010年3月期)【沿革】
  • あおぞら銀行 有価証券報告書 第77期(2010年3月期)【沿革】
  • 新生銀行 有価証券報告書 第10期(2010年3月期)【対処すべき課題】
  • あおぞら銀行 有価証券報告書 第77期(2010年3月期)【経営上の重要な契約等】
  • 新生銀行「決算・ビジネスハイライト」(2009年7月31日)
  • あおぞら銀行 Interim Report 2009
  • 新生銀行 平成22年3月期 第3四半期決算短信(2010年2月3日)
  • 新生銀行 有価証券報告書 第10期(2010年3月期)【経営上の重要な契約等】
  • あおぞら銀行 Annual Report 2010
  • 新生銀行 有価証券報告書 第10期(2010年3月期)【業績等の概要】
  • 新生銀行 有価証券報告書 第22期(2022年3月期)【沿革】
  • 新生銀行 決算短信「平成22年3月期 第1四半期決算短信」
  • 新生銀行 ニュースリリース「平成22年3月期 第1四半期決算について」
  • 新生銀行 決算説明会資料「決算・ビジネスハイライト」
  • あおぞら銀行 決算説明会資料「2009年度(平成22年3月期)中間決算説明会資料」
  • 新生銀行 決算短信「平成22年3月期 第3四半期決算短信」
  • あおぞら銀行 統合報告書「Interim Report 2009」
  • あおぞら銀行 統合報告書「Annual Report 2010」
  • あおぞら銀行 有価証券報告書「第76期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】」
  • 新生銀行 有価証券報告書「第9期(2009年3月期)【主要な経営指標等の推移】」
  • あおぞら銀行 有価証券報告書「第77期(2010年3月期)【沿革】【対処すべき課題】【経営上の重要な契約等】」
  • 新生銀行 有価証券報告書「第10期(2010年3月期)【沿革】【業績等の概要】【対処すべき課題】【経営上の重要な契約等】」

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